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市場を見て回る。昨日の宿屋の食事処の料理からして、食べ歩きをするつもりは無い。目的は剣とかの武器防具系である。何があるか分からないし、その時に丸腰なのは避けたい。あるだけで、少しは盗賊とかに効果があるかもしれないし。そう思って、探すと一件だけあった。


「へい、らっしゃい。」


「どうも。」


露店に並べられる品を見る。……が主な物はクワや鎌などの農作業用品ばかりだった。


「ここには、剣とかは扱ってないの?」


「ここは農村だからねぇ…。どうしてだい?」


「ここらか旅に出るんだよ。もし襲われたりした時に丸腰じゃ嫌だから何かないかなと思ってさ。」


「そうかい。なら直剣は無いが、短剣ならあるぞ。」


露店の店主らしき老婆が、木箱から二振りの短剣を見せてくれる。飾り気のない、シンプルな短剣である。


「これ二振りでいくら?」


「銀貨八枚だね。」


短剣なら、武器として以外でも色々な用途に使えるし、金額的にも全然余裕だったから、袋に手を入れると、


《マスター、ぼったくられています。その短剣の相場は二振りで銀貨三枚、多くても四枚です。》


と相棒からの警告が届く。それって本当に?


《マスターが市場を見て回っている時に相場の検証をしていましたが、そんなに払っている光景はありませんでしたよ。》


へぇー……。なら値引きをしろと?嫌ですよ?めんどくさいし。


《無駄!無駄!無駄!無駄!無駄!無駄!無駄!無駄!無駄!無駄!無駄!無駄!無駄!マスターは将来、銀貨一枚に泣くことになるでしょう。》


そんなに言わなくてもいいじゃん!


《マスター、頑張ってください。》


チッ!苦手なんだよな…。


「この二振りが銀貨八枚なのかい?それは高過ぎるよ。二枚でどう?」


「坊主、それじゃ商売上がったりだよ。値を引いても六枚だね。」


相棒?僕はここまで頑張った。次なんて言えばいいのか教えてよ。


《ではマスターは私の言うことをトレースしてください。》


了解。


「銀貨六枚なら、そこのすり鉢とハサミも付けて欲しいね。」


「無茶を言うんじゃないよ。すり鉢は付けてもいいが、ハサミは無理さね。」


「短剣二振りとすり鉢、ハサミの三点で六枚だ。それかそこのカゴも付けて八枚だ。」


「…………銀貨八枚だしな!」


結局銀貨八枚払っているけど?


《マスターは値引きの理解が出来ていませんね。銀貨八枚とはいえ、ハサミ、カゴ、それにすり鉢まで手に入ったのです。結果、銀貨八枚でも得をしたということになります。》


少し自慢気な相棒の言葉になるほどなと納得する。ついでに買えたカゴに買ったものを全て入れ、ギュールの元に向かう。


ギュールは既に僕を待っていてくれ、僕が着くと直ぐに村を立った。



「次はどこを経由するんだ?」


「次が一応の目的地となるドルト公爵領になります。その先の日程はまだ決めておりません。ここから八日程かかるかと思われます。」


「え!その八日間は、何処も寄る場所は無いの!?」


「はい、その通りでございます。しかし、平坦な道が続きますし、それなりに人通りもあります。何か不都合でもおありですか?」


「いや、別に無いけど八日間も野宿をするのか……」


正直ツラい。ベッドで寝たい。それに人通りもあると言っても、見える範囲に人はいない。


ギュールと僕はナード村から出立し、旅を続けている。ギュールは御者として馬を操っている。僕はする事が無く暇で、馬車の後ろで両足を外に出して、(へり)に座り外を眺めていた。


穏やかな日。そよ風が気持ちいい。空は青い。時折、相棒のおかげで分かるようになった、薬草等を見かける。採って見たいが、その為に一々馬車を止めるわけにも行かないし、休憩までは大人しくしようと決めている。


しょうが無い、暇な時は相棒と没入するに限る。


「今から少し寝るから、放って置いてくれる?休憩の時には起こして欲しい。」


図々しいお願いだが、ギュールはかしこまりました、と請け負ってくれる。さて相棒。色々と気になる事があるんだよね。


《なんでしょう、マスター?》


いやね、相棒が僕の視覚情報に加工を加えてくれているから、見ただけで薬草を判別出来るのだよね。


《その通りです。》


ならさ、その他の五感はどうなの?聴覚、嗅覚、触覚に味覚。その全て相棒とリンクさせたら、凄くなったりしない?


《リンクさせることは可能です。しかし感覚をリンクさせ過ぎると、私とマスターの境が曖昧となります。さらに思考をリンクさせた場合、意思の疎通が必要無くなる可能性があります。》


相棒であって、僕である。僕であって、相棒である…的な感じであってる?それって不味いの?僕的にはデメリットが分かんないんだけど。


《マスターとの会話が不要となる可能性があるのです。》


……。相棒って僕との会話楽しんでたりするの?嬉しい限りである。


ということは、僕の身体的な強化はこれが限界ってことか。


《現在検証中です。一つの案としては、私の意思のみリンク外に置き、その他全てをリンクさせることがあります。私だけが独立した状態となります。それでもよろしいですか?》


相棒は何を心配しているのか分からないが、相棒との会話が楽しいのは僕だって同じだ。相棒との会話を失ってまで、することは無い。


本当に相棒との会話を続けることは出来るんだよね?そこさえ大丈夫なら是非ともして貰いたい。情報過多で被害が出たりしないよね?


《検証結果、マスターとの会話は可能です。リンクによって増えた情報は私が管理しますので、マスターは今まで通りに生活できます。》


ならよし!早速お願いします!


《了解しました。これよりリンクを開始します。》



「アルテナ様。これから休憩をとります。起きてください。」


体をギュールが軽く揺すりながら起こしてくれる。


「ん……んーッ。はぁー。」


馬車の硬い荷台は、体を凝らせる。大きく伸びをして、体をほぐす。急に動くとどこかを痛めそうだ。


「ありがとう、ギュール。」


「いえいえ。私はこれからお昼の用意をしようと思います。出来た時にお呼びしますので、お好きになさっていてください。」


「わかったよ。どれくらいかかるかな?」


「それほどかからないと思います。ですからあまり遠くに行かれないでくださる方が……。」


「了解。見える範囲にいるよ。」


「ありがとうございます。」


さて相棒。各種能力チェックといこうじゃないか。


《了解です。これより、マスターとの感覚同調を開始します。》


その音声とともに、体中が熱くなる錯覚に囚われる。


《まず初めに味覚同調です…。完了しました。》


……?へん…か?まだ何も食べてないし分からないか…。今のところ変化なしかな。


《続いて嗅覚、聴覚、触覚同調です。…完了しました。》


《最後に視覚同調のアップデートを開始します。…完了しました。》


五感が拡張されているはずではあるが、身をもって体感できたのは、嗅覚と聴覚であった。味覚、触覚はイマイチ変化が分からない。


聴覚同調と嗅覚同調の効果は絶大であった。数十メートル離れた木々の擦れる音が聞こえるのだ。そして、あの木だ、と言うのがわかる。見えてはいないのだが、あそこにある、と言うのが感覚的に分かるのだ。そして嗅覚は、森の中にある獣臭さから、ギュールが料理のために出した食材の匂いまで判断できる。


何に使えるかは、考えものではあるが、楽しみなのは間違いない。しかし僕はこの能力をよく知らない。そう思うと、相棒が説明を始めてくれた。


《各種同調は未だに発展途上です。マスターがあらゆる経験を積むことで成長を続けます。》


《マスターの知らない感覚はことが出来ません。例えば現在では嗅覚では薬草などを探すことはできません。しかし、マスターが薬草などの匂いを経験した時、その経験は蓄積され、嗅覚でも探すことが可能になります。》


《他の感覚も同様にマスターの経験に応じて成長を続けます。》


そりゃ凄い。


《同調過程において、マスターとの親和性が強くなり、【思考速度倍化】を取得しました。》


なんだかよく分からないけど、いい感じになったと思う。調理音が、まだ料理の完成は遠いと教えてくれる。


相棒からの一通りの説明を終え、何をしようか迷っていると、近場から少し甘い匂いを漂わせる植物をみつけ、暇潰しに短剣とカゴをもち、採取に向かうことにした。


《シュースティックです。皮を削り木部を噛むと甘味がありおやつとなる、との記述がありました。》


今僕は、葉のついていない茶色い枝を短剣で切っている。幹のような太いものは避け、直径二センチ程までの枝を集める。棘もなければ、虫もいない。簡単な採取である。


一通りの目星しい枝を払い終え、薄くシュースティックの表皮を削りとり噛んでみる。


これ、かなり美味しくないか!ちょっとシナモンっぽい味がする!


《解析完了です。毒はありません。しかし、繊維及び表皮はお腹を緩くする原因にもなります。飲み込まない方が良いでしょう。》


了解、相棒。てゆーかどうなの?相棒的にこれいける?


《………これは美味しいものです。》


だよね。良かった良かった。結構取れたし、暫く楽しめそうだ。僕は満足して馬車へと戻る。嗅覚が教えてくれるのだ。お昼がもうそろそろ出来ますよって。


今日のお昼は、干し肉を水で戻し各種野菜と煮込んだものだ。そこに、乾燥した硬いパンを浸して食べる。


パンはイマイチだったが、スープは美味しかった。食事を終えると、食後のデザートとして、ギュールにもシュースティックを渡す。ありがとうございます、と言って美味しそうに噛んでくれていた。


片付けを終え、旅路を進む。夜はゆっくりと休み、移動中は相棒と試行錯誤を繰り返して、自分の能力の底上げやチェック、実験を行ない、休憩中は採取と移動中は出来ない実験も行なう。そのサイクルを六回ほど繰り返した日の午前中。


「おや?あれはなんでしょうか?」


ギュールの一言を聞き、御者台に居るギュールの横に身を乗り出す。すると、少し遠くに横倒しにされた荷台があった。


「荷台かな?でも人はいなさそうだね。」


「少し周りに気を付けてくださいませ。何かあるかもしれません。」


「分かった。けどあの場所で休憩しない?」


「心得ました。」


聴覚、嗅覚にも自分達以外の人の気配はない。血の匂いもしない。


《……何でしょうね?あまり風化していないにも関わらず、人の痕跡がありません。不可解です。》


相棒が何時になく、警戒している。いやちょっと違うね、興味を持っているの間違いだね。明らかに、僕の中に僕のものでは無いソワソワとしたものが存在しているし……。


今考えても仕方ないし、馬車に揺られて、そこに着くまで大人しく、シュースティックを噛んだ。


「これは酷いですね。馬も見当たりませんし、車軸が折れています。修理も無駄でしょう……。」


近くに馬車を止めながら、ギュールはそう評価する。僕はギュールより早く降り、横倒しになった馬車に近寄った。


馬車を造っている木は腐食されていない。その予兆すら見せていない。


《ほとんど腐食が進んでいませんね。さほど時間が経っていないと判断できるでしょう。》


荷台の底をみて、相棒はそう判断した。ギュールとの見解とも合致しているし、ほぼ間違っていないとみて大丈夫だろう。


……、これは何の匂い?少し青臭いけどどこかケミカルさを感じさせる、特異な匂い。


《荷台の下からです。積荷を確認してみませんか?》


中を覗くと、幾つもの木箱が散乱してあった。


「アルテナ様、何かございましたか?」


「積荷がそのまま残ってあるんだよ。こういうのってどうするべきか知ってる?最寄りの街にまで持っていく?」


「いえ、その必要はありません。この街道は法の適用外に位置します。これをどうなさっても、見つけた我々の自由です。」


「え!それって本当なの?盗賊が仕事をしたい放題になってしまうのに?」


「すみません、少し語弊がありました。この街道は法の保証がなされていない街道であると言うことです。主要な街道は管理する国家や領主が安全を保証しております。」


なるほど。なら僕の考えるべきことは、この荷積みをどうするかだよね。


「ギュール、これらの荷積みの点検をしたいから、運び出すのを手伝ってくれる?」


「おまかせください。」



大小合わせて十二の木箱があった。その中身は心を震わせるものが多数あった。


一つは大半が割れてしまっていた、低位魔法薬。荷台から感じた匂いの元はこれだった。


二つ目はまだ目にかかれていない幾つかの種類の薬草と魔獣の角。


そして一番の収穫は、魔法発動紙(スクロール)の発見であった。


物珍しさから、全ての荷物をそのまま自分たちの荷台に移す。そこから休憩をとり、再度出発した。



さて、魔法発動紙をどうしたものか。粗い目の紙に、黒々と不可解かつ、難解な紋様が描かれている。


《各種魔法発動紙の紋様の複写を完了しました。解析を開始します。》


相棒だけで解析するとか、許さんよ?混ぜろ!


《了解しました。マスターの体の活動をこちらで担います。》


その声を聞くと、肉体と思考が乖離してゆく。


《思考速度倍化を行使許可を申請します。》


何でもいいよ。


《許可を確認。思考速度倍化を発動します。……こちらが紋様です。》


目の前には三つの紋様が現れる。見た感じの印象は、the魔法陣って感じである。


《どこから手をつけていきますか?》


ん~。取り敢えず、共通点を洗い出してくれる?


《了解。………完了しました。着色部が共通点となります。》


よし、相棒。……説明して?


《着色部の色分けを見てください。赤色部は全て紙の中心に位置しています。続いて緑色部はこの魔方陣の上部を表していると推測します。この二つが魔法陣の起点となっていると考えると、どちらかが起動式となる可能性があります。》


なるほどね。


《次に黄色部はこの世界の言語により書かれてあります。書かれてあるものは数を表す数字です。よって規模、若しくは何らかの数を指定しているものでしょう。その他の文字らしきものは、マスターの知識に無いため判定不能。その他の色については共通点なだけで、予測すらつきません。》


おお…さっきの一瞬でそこまで予測する相棒は流石です。さて、他の部分は一緒に議論といきましょうか!


______________________________



先ず、魔法に必要な要素って何があるか探そうよ。


《マスターの記憶を検索……。マスターの記憶にある魔法発動シーン全てにおいて、行使する人物が存在します。魔法発動紙の存在は書かれてありません。また用途はほとんどが戦闘用です。焼く、押し潰す、切る、弾き飛ばすなどの攻撃系統から反射、身体強化、マジックバリア、損傷回復などの防御・支援系統魔法です。しかし、その全てにおいて、魔法陣の情報は存在しません。》


各種魔法によって、必要な内容が異なるのか……。使ってみないことには分からないよね。


僕は早々に、考えることを放棄した。やってみれば済むことだし。


《それが一番早い方法かと。》


相棒も同意してくれる。かと言って今あるたった三枚の魔法発動紙を使用するのは気が引けてしまう。これから簡単に手に入るのかどうかも分からないし……。


《マスターの体を用いて、複写を行いましょうか?それで発動できるかは未知ですが。》


そうか、試してみるのも面白いな。王城から持ち出したペンと紙を用意する。そして相棒とバトンタッチして、書いてもらう。


移動中の揺れる馬車であるにもかかわらず、相棒は寸分の狂いもなく書き上げる。流石は相棒だと感嘆してしまう。


ほんの数分で、三枚の魔法発動紙が複写されたものが完成する。その一枚を手に取る。


これって使えるのかな?


《考えても仕方ありません。試してみましょう。》


相棒に勧められるがままに、魔法発動紙を荷台の後方に向けて、持つ。万が一何かあっても、被害が少なくなるように、一応配慮はした。もちろん、休憩中とかにしろって僕の心の一部はそう言ったが、今すぐ試したいと言う欲の前には全くの無力であった。



紋様を外向きに構えて暫く……。心地よい風が吹く。魔法発動紙にはなんの変化も起きないし、何も起こらないけど?


《やっぱりダメだったですね。他の方法を考えましょう。》


やっぱりって……。けど他の方法なんて…ある?


《……それを考えるのです。》


はは。そうだよね。そう思い、魔法発動紙を手放そうとした時、


《マスター!手を離さずにそのまま持っていてください!》


叫ばない!物理的に耳は大丈夫だが、感覚的に頭の中がキーンとなる。


急にどうしたのさ。何とか魔法発動紙は離さずに済んでいる。


《魔法発動紙との接続面に未確認エネルギー素子を確認。認識幅を広げる為に、感覚同調を制限無しでの利用を申請します。》


相棒が何か気付いたらしい。相棒がしたいことに、僕が基本的に否を言うことは無い。


《承諾を確認。感覚同調のリンク値を最大値に指定。未確認エネルギー素子の解析に移ります。》


______________________________



魔法発動紙を持たされて、数時間が過ぎた。いつまでこうしていれば良いの……?何度も相棒に問いかけるが返事が無い。それだけ忙しいと言うのか?しかし暇で、いつもいた相棒がいないだけで、寂しいものだ。


その寂しさを紛らわす為に、御者台に座るギュールの隣に腰を下ろした。


「これはアルテナ様!どうかなされましたか?」


「いや、特にこれと言ってはないけど、ちょっとね…。」


「そうですか。ならば御者の練習などをして見られてはどうでしょう?」


「いいな、それ!ギュール、教えてくれる?」


「はい、喜んで。」


朗らかな笑顔でギュールは快諾してくれる。魔法発動紙を手放してもいいものかと少し悩んだが、返事も寄越さない相棒に文句を言われる筋合いなど無い。木箱に丁寧に仕舞い、御者の仕方をギュールに教わるのだった。


二度目の休憩を挟み、今は夕刻に差し掛かり、辺りは薄いオレンジに染まっている。初めは道から外れたり、左右の馬の息が合わせられずに、馬が暴れる事もあった。それが今では、一応道なりに進ませることが出来るようになった。小石を避けて振動を起こさせなくさせる等の快適な馬車になるにはまだまだ時間がかかりそうではある。


「アルテナ様、もう少しでございます。完全に日が暮れるまでには、目的地のドルト公爵領の中心街、ザナックに着くことでしょう。」


「本当?大分疲れたんだよ…。こうも御者の腕次第で旅の快適さが違うんだね。お尻が痛い……。」


「まだ半日しか経ってないのにここまで操られるアルテナ様は素晴らしいですよ。普通は半年ほどはかかるものなのです。」


お世辞であっても、お褒めの言葉は嬉しいものだ。それにしてもまだ相棒と繋がらない。一体僕の体の中でしているのか…。


そうこうしていると、小さな石造りの建物が見えてくる。そこまで行くとそこに二人の鎧を着た兵士が立っている。


「珍しいな、ナード村から来たのか?」


「ええ、そうです。」


「この街道を通ろうなんて物好きがいたとはな。盗賊被害には合わなかったのか?」


「ええ、行き交う人が少なすぎて仕事にならないのでしょう。一応二人で交代で見張りをしていましたが、人の気配すらありませんでしたよ。」


「そうか。小僧、小さいのに良くやったな。まぁここからはドルト保護街道だ。何があっても、ドルト公爵様が補填してくださる。残り二時間ほどだが安心して、街まで行ってくれ。」


「ありがとうございます。」


ギュールがそう言って、お金を差し出す。恐らく通行料的なものだろう。また僕もタイミングを見計らい、兵士に感謝を伝えておく。


それからまた暫く馬を操り、数時間。大きな街に到着した。ドルト公爵領主要街ザナックに到着したのだ。

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