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プロローグ



そこはとある異世界のとある国。


そこには最強と呼ばれるひとりの少女がいた。

彼女の名前はリア。16歳にして莫大な魔力を持ち、多くの魔法を使いこなす。その力は圧倒的で、数年という長期に渡った戦争は、王命により彼女が導入されたその日で終結したのであった。



戦場で瞬間だけ現したその姿を見たものは、皆目を奪われた。漆黒の艶やかな髪、黒曜石のような大きな瞳、スッと伸びた鼻筋、すらりと伸びた手足。誰が見ても美しいと思わざるを得ない姿は、戦場で一際目立っており、時が止まったかのようだった。



そんな彼女が姿を現して間もなく敵陣に向け目を閉じたその瞬間が、長期に渡る戦争が終結した合図となったのだった。







平和主義を掲げる彼女は、王からの戦争出動命令を拒み続けていた。しかし、何年経っても終わらない戦争。人々は戦火に怯え、また家族に出動命令が下される日が来ないことを祈りながら生活していた。

その世界が本当に平和な世界なのか、という戦争を始めた国王が言うには理不尽と思われる説得が続き、ついに彼女は折れて戦場へ赴くことになったのだった。


少しでも早く戦いを終わらせようと、移動魔法によって戦場へ降り立ち、これから自分のすることに対して猛烈な吐き気を感じながらも、そっと目を閉じ魔法を放った。

敵陣を一瞬で火の海にし、戦争は終わった。


だが、優しい心を持っていた彼女は、次第に心を病んでゆき、ついに自分自身に死の魔法をかけ、その命を絶ったのだった。




世の人々は彼女の死を悼み、彼女をこう呼んだーー《美しき伝説の魔女》とーーー







こうして終わったはずだったリアの人生だが、彼女は再び目を覚ますこととなった。


「ここは、どこ……?」


目を開けると、ふかふかの白い布団の中だった。天井では見たことのないものが光っている。頭を横に向けてみると、見たことのない文字が浮かび上がる四角い箱がある。


おかしい。私は自分自身に死の魔法をかけ、死んだはず。なのにまだ生きてる?しかも全く知らない部屋。もしかすると敵国に捕らえられた?



思えば散々な人生だ。少し人より魔法が得意ということで、幼少期から天才と崇められる一方で、突然生まれた亜種として家族からは距離を置かれてきた。

せめて真っ当に生きたいと思っていたのに、王命から逃れられず多くの人の命を奪った。もうそんな世界や自分に嫌気がさし、死を選んだというのに。死なせてももらえないのか。



「まあ、こうなってしまったら仕方ない…。とりあえず状況を確認しなきゃ。」



ふかふかのお布団を脱ぎ捨て、部屋をぐるりと見渡してみる。するとたまたま鏡が目に入ったのだが、そこには目を見開き驚いた顔をした知らない女の子の姿が目に入った。


「え、え、どういうこと!?これ、誰!?」


その姿に驚き慌てて自分の身体を確認してみると、身体自体はそんなに変化がなかった…と思いきや、ナイスバディーに成長している。リアは絶対的な美少女であったが、唯一の悩みが貧しい胸元だったのである。身長は同じくらいだが、この身体も私の身体ではなさそうだ。


「どういうことなの…」


状況が理解できない。異国に捕えられたと思ったが、よく見てみると、花柄の可愛らしいカーテンやふかふかのベッドなど、環境がおかしい。


もう少し調べてみるしかない、と思い部屋の中を捜索し始めた。


「この箱はなに?」


先程枕元にあった四角い箱より何倍もおおきな箱を触ってみる。


ポチッ


「ん?」


『xxxxxxx〜〜〜xxxxx』


「は、箱が喋った……!いや、中に人が!?」


急に箱が喋り出した。しかしなにを言っているのか全く分からない。やはりここは異国ということは間違いないようだ。


そこでリアは、言語理解魔法を発動させ、先程喋り出した箱の中の人の言葉をもう一度聞き取る。


『〜〜2018年9月21日、明日の天気は午後から雨!外出予定がある方は、洗濯物はあらかじめ取り込んでおいたほうが良いでしょう!』


…洗濯??そんなの魔法で洗うから天気なんか関係ないじゃない。もしかしてここって、魔法がない国??


実際には見たことがなかったが、いつしか読んだ書物に魔法のない国があると書かれていたことを思い出した。しかし、そのような国は存在しないと著者は結論づけていたはずだ。実際、リアの国を含む周辺国において、魔法は当たり前に存在していた。基本スキルであり、魔力が少ない者でもほとんど魔力を必要としをないように改良されていった洗濯魔法は、どんなに魔力の少ない者でも使える、超お手軽魔法なのである。したがって、洗濯と天気は全くの無関係なのである。


この世界の状況をどうにかして知ろうとまた周りをみてみる。


「あ、窓。」


外の様子を確認してみよう。景色を見ればなにかが分かるかもしれない。そう思い、可愛らしいピンク色のカーテンに手をかけ、そっと開けた。


すると、信じられない光景が目の前に広がっていたーーーー





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