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剣狼の願い  作者: クタクタニ
第1章 始まりの願い
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1-9 学びの森

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーフーセ


「おお、小僧はやいな」


「おっちゃん、おはよう、何してるの?」


「薪割りしようと思ってな斧を調整しとった」


「手伝うよ!」


「おっ頼めるか」


「なにぶんお客なんて久々だからなやることがいっぱいだ」


掃除すれば使えるとおっちゃんは言っていたが、ソフィーさんもいるとはいえ、ほぼ男の一人暮らし、使ってない部屋は色々ガタガタ、初日の魔獣狩りは午後にして午前は部屋を直す事になった。


「おっ小僧、わりとできるんだな」


「おっちゃん薪割りぐらいできるさ、ちょっとこの斧使いづらいけどな」


「家で使っとるのは片手斧か?そりゃ両手斧だ両手で持って腰使ってガツンと行け」


「おっちゃんこれくらいなら片手で持てるぜ?」


「いやいや両手でやったほうが楽だぞ、そういう風に作られとる。」


「なんか違うの?」


「両手斧は太い木を切りやすい、しかし細かい作業は苦手だ、逆に片手斧は細かく切ったりするには楽だが太いものは何度も叩かにゃならんし、切れ口がブサブサになる、刃の形も違うだろ?木を切るとしては同じものだが使い方を間違えるとうまくいかないんだ」


何度もコンコン叩いて切っていた薪割り、

言われた通り両手で切ると一撃でスパっと別れた


「ほんとだ!これならすぐ終わるね」


「そういや、昨日の戦いも見とったぞ、お前、片刃の大剣使って閃刃使えなくて失敗してただろ?、あれも使い方を間違ってるからだ」


「閃刃わかるの!?」


「わかるとも、元王国戦士だぞ?ガッハッハ」


「教えてくれよ、おっちゃん!」


「ええぞ!薪割りとっとと終わらせて、朝飯食ってからでいいか?」


「やった!」


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

朝ごはんの時、今日する事を改めて兄ちゃんから話があった。


借りる部屋の掃除、ベットの修繕をして、昨日の反省会、お昼を食べて僕とにいちゃん、ケンローとおっちゃんは魔獣と戦いに、ファル姉はおっちゃんの持ってる本を読んで森の植物のお勉強をするそうだ、ご飯はお肉だけじゃダメらしい。シルとソフィーさんは何やらお茶の葉を摘みに行くそうだ。


おっちゃんに教えてもらいながらベットを直すことなった。元王国騎士の待機所?ということで借りる部屋は結構広くてベットが六台、使えそうなのを組み合わせて三台はなんとか直せそうだったが一台は新しく作ることになった。


「一台しっかり作るとなると1日しごとになるな、簡単なもんならハンモックにするか?」


「ハンモック!!!ハンモックに寝たい!」


「むしろもうハンモックじゃないとダメな奴がいるんでそうしましょう。ベットは使えそうなとこ組み合わせるだけですから俺やります。ガジュさん、フーセにハンモックの作り方教えてやってくれますか?」


「よしきた、小僧!じゃぁ何から始めるかな」


「すいませんガジュさん、俺から言うのもなんなんですが小僧ってのやめてもらってもいいですか?剣狼様から俺が小僧と呼ばれてるんでドキッとするんですよ?」


「ガッハッハ、そうかスマンスマン、じゃあフーセ、まずは材料集めから始めるか!」


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


おっちゃんはツタの選び方から、切り方、編み方、

縛り方、長持ちさせる方法、道具の使い方なんでも教えてくれた。


「あら素敵ね、フーセ、おねぇちゃんにも後で使わせてね」


「ガジュさんに作ってもらったんでしょ!」


「俺が作ったんだ!」


「いやいや儂は作り方を、教えただけ、作ったのは間違いなくフーセだぞ」


「頑張ったなフーセ、今度俺にも作り方教えてくれ」


「もちろんさ、にいちゃん!」


みんなに褒められて、尚更嬉しくなる


「部屋も綺麗になったところで昨日の反省会とするか」


「それなんだが、セリス、チャチャ丸、フーセを一度儂に預けんか?」


「剣狼じゃ。そのネタもうやめい」


「なぜです?」


「チャ…剣狼もなかなか2人同時に見れまい、それとフーセの持っている剣の使い方を教えると約束したんだ、無論2人がよければだがな」


にいちゃんとケンローが顔を合わせて頷く


「お願いできますか?」


「よし頼まれよう、では儂らは湖畔に向かう、何かあれば来てくれ」


「わかりました。」


「では行くか!」


「おっちゃん!昼メシ食ってからな!」


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「さてと、まずフーセ、この剣は何をするものだと思う?」


「何を?敵を倒す?魔獣をやっつける?とか…」


「聞き方が悪かったな、剣は相手を切るものだ、その相手は何なのかと言うことだ」


「うーん?人を切る…?獣…?わかんねーやおっちゃん。」


「そうだな、儂にもわからん、ガッハッハ」


「おっちゃん、わかんないって…」


「つまりだなぁ、この剣は対人であるとするなら剣身が厚すぎる、これならそこらにある練習剣の方が使い勝手が良かろう、では対大型の魔獣と想定する、剣の厚みが有るのは納得行くが今度は剣の長さが足りんもっと長くして両手剣にした方が大きいやつを倒すには良いだろう。つまりな、この剣を作った目的が見えんのだ。」


「この剣の目的…」


「この剣はこの旅に向けて買ったのか?」


「いや、俺んち配達屋やってるんだけど、父さんが依頼受けてこの剣を届けに言ったらもう死んじゃってて

、仕方ないからって戻しに行ったらそっちも死んじゃってて行き場が無くなって倉庫にほったらかしになってた剣なんだ」


「なるほどな、何とか閃刃を打てるようには教えてやれるが、思い入れがないならば、兵士が置いて行った剣を直してやるからそれを使った方が魔獣を倒すには良いと思うぞ。ものには理というものがある、それに反した事をすると必ず反動が出るんじゃ、その剣で変な癖がついてしまったら、普通の剣も使えなくなるぞ?」


「理……理の核!」


お腹に力を入れて手に持った剣を見る


「何だこれ?」


剣の鍔の部分に違和感を感じる


カチッ


厚い剣身の中から細身の刀が現れる


「ほう、儂もこんなのは初めて見た剣の中に剣を隠すとわ…」


「綺麗な刀だ…」


「そうだな、ひたすらに切れ味を求めた作りだ、妖刀や魔剣の部類…いやもしや七星剣の飛燕か?この鍔の部分に核がはまりそうだ、おそらくソフィーが核だけ抜いた剣と言うのはこれだったんじゃないか」


「だとしたらおっちゃん、これは2人だけの秘密にしてくれよ、じゃないとこの剣、剣狼におられちゃう」


「そうだったな…しかし七星剣と言えば国の…いや世界の宝、国に引き渡すのが良いと思うが…」


「俺が使っちゃだめかな…」


「う〜む、儂も元王国兵士、と言いたいところだが、今はただのおっちゃんだ、まして「かもしれん」と思っただけだ、これが飛燕とは限らんしな。しかしこんな隠し方しとると言うのも何か意味があるんだろうな。無意味にこの真の剣身を出さぬようにしておくのがよいかもしれん」


「ありがとう、おっちゃん」


「魔剣アシュラに出会い、核を得て、この剣を見つけた…奇跡というよりこれは運命を感じるな、フーセが持っている意味がきっとあるだろう。」


「そうかな?…そうだね」


「ただし剣狼に秘密となると、フーセは今までの倍は訓練しなければならん、鞘の剣での戦い方と真の剣身の時の戦い方。真の剣真の戦い方は剣狼に見つからんようにやらねばならん」


「やる!やるよおっちゃん」


「それができればまさに奥の手だな、ガッハッハ!かっこいいなフーセ、儂もワクワクしてきたぞ」


「うん、ワクワクする。真剣は飛燕かー、鞘の剣ってのも呼びにくいしな…燕の帰るところ、燕帰(エンキ)とかどうかな?」


「いやそこは通り道ということ軌跡の軌で燕軌(エンキ)はどうだ?」


「それなら鬼強ということで燕鬼」


「よし燕鬼をまずは使えるようにするか変な癖がつかんように戦い方を考えんとな」


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

おっちゃんとの訓練は楽しかった


セリス兄や剣狼との特訓も楽しかったけど、おっちゃんは僕の動きを見て悪いところじゃなく良いところを教えてくれた。


「いいか?フーセ、失敗した!直さなきゃ!は、いかんぞ、どうしてそうなったか分かれば完成した理想の形は、初めに想像した物以上になる。どうせ失敗するなら失敗しつくせ!」


「どういう事おっちゃん?」


「例えば今フーセは閃刃を足元に放ってしまった、そのために衝撃派により自分自身がその木の枝まで吹っ飛ばされた」


「うん、もうちょい離れたとこに放たないとダメだね」


「それがまずは1つだが、逆にだ、足元に放つと吹っ飛ぶ、もしこれを制御できたら?」


「一気に間合いを詰めたりできる!」


「できればだがな、面白いとは思わんか?」


「やって見たい…!」


「全部すぐできるわけじゃないからな、やりたい事が増えてきたらメモをとれ、文字にするとまた違う見方ができて良いぞ、さてとまだまだやりたいところだろうがそろそろ日が暮れる、家に戻ろうか」


「うん!腹減っちゃったよ、結局今日は魔獣狩りしてないけど大丈夫かな?」


「大丈夫。セリス達が大物取ったみたいだぞ」


「おっちゃんなんでわかるの?」


「会話の核の力でな、鳥に教えてもらった」


「ヘー凄いな!森の番人だもんな!」


「だろ?儂にこの森でわからんことは無いからな!ガッハッハ」


丘の家からの匂いにお腹が鳴る


既に晩御飯の準備が始まっているようだ


「おっちゃん!早く行こうぜ!」


僕はおっちゃんの手を引き坂を駆け上る


もっとおっちゃんの話を聞きたい


やりたい事が多すぎて困ってしまう


とりあえずおっちゃんの言う通りやりたいことをメモをするところから始めてみよう。




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