6-4 旅の仲間
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーコルム
オカシイ
どうしてこうなった
僕の計画は合理的で利己的なものであったはずだ
待っていれば必要なものが揃う
オカシイ
たしかにエディーに素材集めを頼んだはずだ
彼はこの国の王子、財は思うがままのはず。ちょっと宝物庫に取りに行くか、そこに無いなら取ってくるように命令すれば良いはずだ
オカシイ
それがなぜ自分で取りに行く
百歩譲って一人で行って来いって話だ
なんで…なんで…
「サリナまで連れて行くんダァーーーーサリナーーーカムバーーーーク!!!!」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーシル
「サリナ、コルムさん大丈夫かな?」
「大丈夫だろ?あいつも流石に死にそうなほど腹が減れば城の食堂に行くだろうよ、エディルが城の奴らに定期的にみに行くように言ってたから問題ねえだろ、ただ帰った時あの家が全く違うものになってるかもしれないけどな」
「違うもの?」
「吹っ飛んで無くなって新しくなってるって事さ」
「それって大丈夫じゃ無いよね」
「もうなれたよ、あの家だって3軒目だ」
「サリナの部屋荒らしてそうだね…」
「残り少ない服は持ってきたし、布団類は全部新品にしてきた。抜かりはねぇ」
大変だなぁ…サリナ
まぁこれから私も含みで大変になっちゃうんだけどね…
簡単に手に入るはずだった目論見は外れ
今私とサリナはエディルさん率いる兵士さん達と共に素材集めの旅に出ることになってしまった
〜〜〜〜〜〜〜
「親父殿にこの機会に見聞を広めて来いって言われちゃってさぁ」
軽いノリでそんな事を言い出すエディル
要するにいい歳こいて家でゴロゴロしてんじゃ無い、欲しいものあるなら自分でなんとかしてみろって事らしい
「そういや俺のスゲーとこを見たいってシルちゃん言ってたよね!いっしょに行こう!サリナもな!」
「ままま待ちたまえ!何を言いだすんだエディ!」
「どうせ必要な物リストの内ほとんど俺には必要なくてお前が欲しいものなんだろ?」
コルムさんが目をそらす
「正直に言っていいんだぜコルム?実は3つで良いんだろ?もしかして2つか?それならサリナは早く帰ってくるぞ〜?」
「す…すべて必要なものだ…」
「そうかーわかったわかった、思い出したら誰でもいいから伝えといてくれそうすりゃサリナが早く帰ってくるってもんだ」
〜〜〜〜〜〜〜
エディルさんの馬車に乗って城下を進む
私とサリナ、エディルさんと兵士さん達
「サリナ、何にも文句言わずに来たけど良かったの?もっと嫌がると思ってたよ」
「王子に何の文句言えってんだよ、断ったらどうなるか考えてみろよ!」
「…どうなるの?」
「無理やりにでも連れて来られるさ、エディルの世話係とか、下手したら側室にされたりとか最悪首輪つけられてでも連れてかれるさ。」
「流石にそこまでしないでしょ」
「する。するね!あのわがまま王子はするね」
よく考えてみると一千年後はこの2人が兄妹になってるって言うのはどういう事なんだろう?もしかして無理やり?その辺関係あるのかなぁ?
ソフィーが記憶を無くしたサリナで?剣狼は記憶を無くしたエディル?ん?コルムさんはどうなったんだろう?あれー剣狼がなんか言ってたなぁ〜〜思い出せない…
「それでエディ…王子様、旅の予定はどうなるんだ?」
「サリナ、ここにいる奴らはみんな俺の側近ばかりだ、そんな気を使わなくても良いんだよ」
「んじゃお言葉に甘えて、エディルどうすんだ?」
「まぁ物が特殊だからな、案内ってか詳しい奴に同行を頼んである」
「一ツ目か?」
「そうだ、何でも屋のアイズ。通称一ツ目」
「どんだけ金積んだんだ?王子様」
「一等地の土地、ついでにそこに店を建てろ、さらに必要素材以外の残りはアイズが貰っていく、が今回の報酬だ」
「アイズさんっていうのはどんな人なんですか?」
「シルちゃん、アイズは剣よりも斧が似合いそうな大男だよ、片目が潰されていていつも眼帯してるから一ツ目。顔に似合わず頭が回るから気をつけろよーシルちゃんなんてかわいいから油断してたら食べられちまうぜ?、おっほら実際に見たほうが早い」
エディルさんが正面を指差す。
確かに片目の大男、斧が似合いそうなのに剣を腰に下げている。
「剣ちっちゃ」
「ははは、ちっちゃく見えるけど俺の剣よりでかいんだぜ、体が大きいから小さく感じるだけだよ」
小さい剣の横に弓を携えた小柄な女性…あれ?どこかで…そうだカイ君に似てる、そっか!ファイブアイズ商会!そっかそっかカイ君のご先祖さんだ!
「エディル王子!お待ちしておりました。」
2人が跪く
「アイズ、これからよろしくな、隣の可憐な人はどなただい?」
「私の片腕、スーレにございます。」
スーレさんが顔を上げる
「スーレです。弓を得意としております。」
「スーレ、良い響きの名だね、君によく似合っている」
「ありがとうございます。」
「エディルさん、人の奥さん口説いたらだめですよ?」
念のため釘を刺しておこう、カイ君が生まれ無くなったら困るもの
「ははは、シルちゃん、いくらなんでもこの男にこんな可憐な人が…」
スーレが顔を伏せる
「エディルの旦那そいつはあんまりだぜ…じょーちゃんよくわかったな、指輪もなんもしてねぇのに」
エディルが2人を交互に見る
「まじかよ、えっ!だって」
スーレさんが顔を赤らめる
「たくましい人が好きなんです。」
「嘘だろーー!嘘だと言ってくれスーレチャン!」
「はいはい、エディルさん、落ち着いてそれよりも話を進めようね」
「ははは、旦那だって良い娘連れてんじゃねぇか」
「そうだ!俺にはシルちゃんがいるもんな!」
「いつから私はエディルさんの良い人になったんです?」
「えっ違うの?」
さすがに旅が始まる前からテンション下がるのは良く無いか?
「だったらかっこいいとこ見せてくださいよ、今のところただのナンパ男ですよ?エディルさん」
「そっそうか、そうだな…うおっほん。」
咳払いを一つして真面目な顔をするエディル…なんか逆に変に思えて笑えてくる。おっとだめだめ…
「それでアイズ、案内はお前ら2人か?」
「いえ、街の外に我々の馬車をつけて有ります、そこに数名。とは言え旅の世話係と思ってください、街道に出る魔獣程度ならなんとかできるでしょうが、それ以上の相手は無理だと思ってください。現地までの移動は我々の方で対処いたしますがそこから先はそちらで対応という事でお願いします。」
「わかった。それでどこから向かう?」
「ツクモ石、神鳥の卵の殻、トルダワクラブの殻、ツノダチ貝のツノ。ツクモ石は山の頂に登らねばなりません、正直もう少し暖かくなってからの方が好ましい、神鳥は繁殖期はおそらくもう少し後、したがってこの2つは後半に回した方がいいでしょう。となるとトルダワクラブかツノダチ貝ですが、まぁここから単純に一番近いという事で、トルダワ湖に向かうのがよろしいのではないでしょうか。」
トルダワ…私の知ってるトルダワ湖でいいんだよね?
地図を広げるスーレさんに駆け寄る
私の知ってる…かたち?なんかちょっと違う気がする、トルダワ湖は同じかな?だとして…あれ?お城の位置がちがうんだ、えっと…じゃあお城は…タアキ村!?私たちの村って昔お城だったの!?じゃ私の家はどの…川の形まで違うんじゃわかんないなぁ…
「よし、トルダワに向かおう、4日ぐらいか。」
へっ5日?私たちで始めて向かった時馬車で1日半だしやっぱ私の地図の見方ちがうのかな?
私はわかっていたけどわかっていなかった。
あくまでもここは一千年前だという事に。




