6-1 ここは何処?
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーシル
「何処にいるのかなぁーここかなぁー?トイレかなー?お風呂かなあ?」
「普通に部屋を探せ変態ヤロォ!」
サリナが蹴るが…あれじゃダメだ、あれは蹴りであって蹴りじゃ無い…
「はっはっは、サリナ痛いよ、はっ!僕の為にメイド服を着てくれたんだねーー嬉しいよ、可愛いよ!」
「テメェが俺の服を全部焼いたんだろ!」
「全部じゃないよ!ちゃんと下着とパジャマは残してあるだろ!」
「もしかしてあれか?白い鳥の着ぐるみみたいなのあれがパジャマだってか!?」
寝癖男がサリナを舐め回すように見る
「これはすごい!想像を超えてきた、抱きしめたい!でも抱きしめたら君を見れないーーー!あっ抱きしめながら君を見る装置を発明しなくては!」
途端にサリナを放り出して何やら机にかじりつく
「はぁーこいつに何を助けてもらおうとしてるかわからないがホント期待すんなよ、ってかやめといたほうが良いと思うぞ。」
「そっ…そうなんだけど…」
「おい、兄貴、オメーにお客さんだよ。」
「今忙しい、帰ってもらってくれ」
「そういうなって、珍しく女の来客だ」
「この世にサリナ以外の女の子なんて要らない、帰ってもらってくれ」
はぁ〜っとサリナが深いため息をつく
「シル、こう言ってっけどどうする?」
「そう言われても、寝癖の人を頼れとしか…」
「しょうがねぇなぁ、一個貸しだからな!シル」
「兄貴は、私のお友達の相談にも乗れない人間だったんだな、私の親友を困らせる奴はもう兄貴でもな…」
「ハーヤークーそれを言いたまえ!サリナの親友ちゃん。ぼくが!このサリナのお兄ちゃん、コルムが君の悩みを解決しよう!さぁ言ってごらん!さぁ!言いたま…」
ズドォーンと小屋に穴が開く。お兄ちゃんさんを蹴り飛ばしてしまった。
「あっ、急にせまられて…つい!…ごめんなさい!」
穴に向かって謝る
「シル!お前!スゲーな!ははは、見ろよスゲー綺麗に穴が開いていやがる、これだよ俺もこんな蹴りがしたいんだよ!」
「こら!ダメだよサリナ!そんな言葉つかいをしたら!お前はもっと可愛らしく昔みたいにお兄ちゃん大丈夫?貴方私のお兄ちゃんに何するのよ!ポカポカポカってやるところだろ!」
とっさの蹴りだったから甘かったとはいえ立ち上がってくる
「まじか!フーセ並…いや、もっとかな…」
「キモ兄貴、いいか、女にそう気安く近づいたらダメだ、理解しろ!」
「ああ、理解した、サリナ以外の女には近づかないようにする、流石にもう二、三発食らったらサリナに会えなくなりそうだからな」
「だそうだ、ワリぃなシル。もう二、三発たのむ。」
「や、や、や、やめたまえよ!?」
「しません、しませんから…」
「ちっ…やらねぇのか…」
「それで僕に何の用だい?」
「私もなんて説明していいのか…気づいたらここにいて…」
「ほう、つまり君はワープしたと。」
「ワープ?」
「あぁすまない、つまり君は全く違うところにいて、移動した過程は無いのにふと気づいたらここにいたと。」
「移動した過程かどうかはわかりませんが目の前がグニャグニャにはなりました。」
「成る程、ちなみに君が居たという場所は何処なんだ?」
「ムスシタナ王城の謁見の間に居たはずなんですが…」
「ムスシタナ?きいたことがないなぁ。置いておこう、ではそのグニャグニャになる前に何があった?そこの部屋に入ったらそうなったとか、誰かに何かをされたとか…」
「ソフィーって言うんですけどサリナにとてもよく似た…」
「サリナほど可愛い存在はこの世に他に存在しな…」
バシっと何処からか出した棒でコルムさんが叩かれる
「良いから聞け」
「で、そのソフィーに頑張れとか、寝癖のすごい人に頼れとか言われてこれを首にかけられたらそうなりました。」
「それは!願い玉!!既に形になっている!君!これを何処で…!」
「これはフーセの核でてん私が核に変わりそうなところを代わりに…」
「ふむ、成る程、見せてくれるか」
私からフーセの核を受け取るとそれを興味深そうに見る
「ふむ、そうなると…君、ディヴァイスターと言うものを知ってるか?」
「あれですよね、千年前にネルが作った伝説の剣で…それを分けて剣狼とソフィーになったとかなんとか」
「千年前?成る程成る程、ん?まてよ、君さっきサリナと瓜二つの人間が居ると言ったな!」
「えっあっはい、ソフィーっていうんですけど、あっ、でもここに来る前に他の人にサリナって呼ばれてて、そうだ、剣狼がやったぞコルムとか言ってた気が…」
「はっはっ!ハハハハハ、ヌゥわぁハハハハハ!!!」
「おっおい!ついに限界を超えてトチ狂ったか!」
「ハハハハハ、ぁーあ、すまない、そうか。いやすまん。嬉しくてな、もしシル君が言っている事が確かで私の仮説があっていれば、私は夢を叶えた、いや叶えるのだとわかってな」
「夢?」
「ああ、この世で唯一無二の可愛さを持つサリナをいまの姿のまま永遠を保つという!」
「はぁー?何言ってんだこのアホは?歳をとらねぇ訳ないだろ?」
「シル君!君の知っている話を全てしたまえ、この核の他にも核は無かったか?ディヴァイスターはどうなった?」
「えっはい。じゃあ剣狼と出会った話から…」
私はこれまでの事をコルムさんに話す
とても目をらんらんとさせて興味深そうに聴いてくれた。
「それで私わここが何処かもわからなくて…」
「ふむ、確証はないが私の仮説では君は今から一千年後から来た未来人ということになる、君からしたら我々が昔の人と言ったところだな。」
「はぁ〜?んなわけあるかよ」
「有るんだよ、サリナ。」
「そうなると君の願いわこうなる、元の時代に戻りたい。」
「えっと時代と言うか元の場所には戻りたいですね。」
「恐らくここに来てしまったのはその核が引き金になっていると思うんだがまずはそいつを調べてみないといけないね、そしてその未来のサリナが僕を頼れと…ボクを頼れと言ってきた!つまりボクならできると知っていると言うことになる。」
「俺が兄貴を頼る?訳ねぇな絶対別人だぜ?」
「いや、きっとその頃にはもうお兄ちゃん大好き!と言っているに違いない!」
…剣狼にお兄ちゃんと呼ばせられ蹴り飛ばして居たソフィーを思い出す…言わないでおこう。あっでもあの蹴りは良かったなぁ〜
「以上の事から君は僕に任せていれば帰れると言うことは確定しているから安心したまえ、僕もその未来に向えば目的が叶うと言う事が分かった。全力を尽くしてサリナをこの…このままの姿で…」
なんかプルプル震えてる
「ともあれ、先ずはその核について調べてみよう、貸しておいてくれるか?」
「あっ…はい…」
「今日の明日の話にはならないからそのつもりで、サリナこの子の事は任せる、言ってみたら不法侵入者に当たるものになっている、我々の助手とか何とか言っておいてくれ」
「あ゛?まじかよ!」
「サリナの親友なんだろ?」
「お願いサリナ。」
サリナの手を取ってお願いする
「ちっ、ちゃんと働けよな、せいぜい俺に楽させろ」
「勿論。」
サリナとコルムとの生活が始まる。
なんだかよくわからないけどなんとかなるなら良いかと思っていたけど…
私は気づいていなかった
このひ弱なサリナの蹴りが私が免許皆伝できるぐらいになるまで帰れないという事に…




