5-13 王都脱出作戦 3
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーシル
「フーセ!お願い」
「よっしゃーいくぜ!先手必勝!アソーマのおっちゃん、とりあえずぶっ飛べー!」
飛び出して真っ先にフーセがアソーマ隊長に蹴りかかる。
…が…かわされる。そして逆に蹴りをくらいふっ飛ばされる。
「マジかよ〜〜ぉぉ〜〜」
「こっちがマジかよだよ…」
ため息がでるわ
「その子の相手はアソーマ、あなたがして頂戴、残りの者は娘と狼とフクロウを捕まえて。」
おねぇちゃんが支持を出す
「はぁーまぁあれじゃの、アソーマとやらが外れた分、役立ってはいるのかのぉ」
「あぁもう!やっぱり…もうフーセは無視で良いんだけど、剣狼、ここから逃げれる?」
「儂だけならな」
「そこは置いていかないで欲しいかな」
「こやつらな、おそらくアソーマの直属部隊なんじゃろうが王都で相手した部隊長クラスばかりじゃ、1人2人なら問題ないが…流石にこの人数は…厳しいのぉ」
「ダァーーーーー!」
ぶっ飛ばされたフーセが戻ってくる
「剣をくれ、丸腰じゃどうにもなんねぇ!」
「任せとけって言たんだから自分でなんとかしなさいよ!助けを求めた相手に何で助けを求められるのよ、馬鹿なの?しまった馬鹿だった!」
「うっせー!剣が無いなら…ヴァインヴォルドゥ!!!」
ジンさん達が集まっている場所に小規模の爆発が起こるがそこに居た全員が直ぐに避ける
「へっへっ、にーちゃんこの剣借りるぜ!」
避けた先で待ち構えたフーセが剣を奪った
「出来るなら最初からそうしなさいよ!」
「文句ばっかだな、とっとと逃げろよ!うるさシル!」
「出来てたらやってるわよ!口だけフーセ!」
「はいはい仲いいのは分かったから、にーさん周り任せるわよ。」
「任せるって何じゃ」
「リンをこっちによこして、私が近寄らないように周りを重くするから後はよろしく。」
「はぁー、わかった。もうひと働するしかなさそうじゃの
。」
私とおじ様、りんちゃんを包み込むようにソフィーが重力の結界を張る。
「私にから離れないで、リンちゃんと王様に触れていてね、離れちゃったらズドンと重くなるわよ。」
「わかった。」
「あらあら、逃げるのは諦めたの?もうすぐ騎馬隊もこちらにくるからね。」
クスクスとお姉ちゃんが笑う
「冷たい目…やっぱり私の知ってるお姉ちゃんじゃ無いんだ…」
「シル…お姉ちゃんは忙しいの、やる事がいっぱい。あまりめちゃくちゃしないでくれる?フーセみたいよ?」
「お姉ちゃん!なんで…」
なんで…って操られてるから…ここにいるアソーマさん達もお姉ちゃんに操られて…
「フーセ!お姉ちゃんを止めて!」
「止めるってどうやんだよ!」
「お姉ちゃんの頭に魔力を打ち込んで!」
「んな無茶な!」
「いつも無茶しかしてないんだからやれーー!」
「あー、もう了解!風と光の断りを破りーあと忘れた省略ヴァインヴォルドゥーーー!」
お姉ちゃんが立っていた足元の丘が崩れる
「ファル姉!行くぞーーぉーー」
駆け寄るフーセの前にアソーマ隊長が立ちはだかる
剣と剣が交差する
「くそ、近寄れねぇ」
「もうフーセ、危ないじゃない。」
ぽんぽんとスカートに着いた土埃を払ってお姉ちゃんが立ち上がる。
「私がヒュンウォールしなきゃシル達も崖崩れに巻き込まれてたわよ?」
目の前にできた氷の壁が取れ崩れる。
「フーセじゃお姉ちゃんを出し抜くのは無理か…」
「もうしょうがないな、ここまで降りて来ちゃったし、私がやるか。この間ルルの護衛さんがやってたの面白いと思ってね、試してみようかな?」
「いかん!」
お姉ちゃんと私達の間に剣狼のが立つ
「ヒュンキャッスル。」
私達を囲むように氷の壁が生えてくる
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーファル
ドーム型の氷の檻が出来上がる
さてとシルも剣狼も王も逃げられないと、後はフーセを処理すればお仕事はお終いと。
「さてと、フーセ。お仕置きの時間よ?」
「姉ちゃんはお仕置きとか言わねーよ。勉強の時間って言うんだよ」
「そう…そうだったわね。」
「お前は誰だ?」
「私?私はずっとファル・ファリーゼよ。これまでもこれからもね。アソーマ。やりなさい。」
アソーマがフーセに斬りかかる、剣を交差し切り結んでいく。アソーマは右手がなくなっている分弱くはなっているのだろう、それでもフーセを押し込んでいく
「くっそ、時間がねぇ、せめて…あの氷の壁を…」
アソーマからフーセが間合いをとる。
「一閃砲弾!」
「マーズメル。」
フーセから放たれた一閃砲弾をマーズメルで相殺する
「あらあら?相殺するかと思ったらマーズメルが残っちゃったわ。せっかくだからプレゼントするわ。」
そのままマーズメルをフーセに放つ
「くそ!」
大きくよけるフーセ
「ダメ、ちゃんと受け取ってね。」
操作してマーズメルを誘導してフーセに当てる
「くそーぉーーー」
マーズメルが直撃したフーセは叫びながら光の粒となって消える。
「核の力で具現化してたってとこかな?フーセの核も興味深いわね。」
フーセが消えた焦げ跡にはフーセが握っていた剣だけが落ちていた。
「さてと。後はあの子達を連れて帰ればおしまいね。」
振り返り氷の檻を見る
「ちょっと厚くしすぎたかしら?中がみえないわね、次からは純度をあげて中も見える様にしなきゃな、聞こえるーおーい?」
コンコンと氷の壁をノックする
「あんまり薄くすると破られちゃうしなぁ、少し穴を開けるか。」
氷を操作して穴を開ける。
「おーい?聞こえるかしら?」
返事はない…中を覗く……まさか!?
ヒュンキャッスルを解く
「どうやって!?」
氷のドームがあった後には誰もいない
「お前たちあいつらを探せ!」
絶対に閉じ込めたのは間違いない、姿を消すにもあの人数は無理だろう、だとしたら…地中か!
「アソーマ、地中に潜れることの出来る人物に心当たりは?」
「シュウ、が、できる」
「シュウ?1番隊だったシュウ・ショートガーデンか?お前達と一緒にいたんじゃないのか?」
「シュウ…は、よば、れて、いった」
「誰に!」
「わか、らない」
こいつらが出てくる所はずっと見ていた、他から出たのか。外からルル達が来るかと思ったのに逆にそこを突かれるなんて…
ファルの記憶を読む限りルルは評価して警戒しているつもりだったが…それ以上なのか?いや、むしろ評価しすぎなのか?いずれ考えを改めねばならないだろう。ルル王女は危険だと。警戒すべきはどうやらまだ記憶が完全に戻っていないエディルよりもあのお姫様のようだ。
「ふぅ、まぁ仕方ない。餌ごと持ってかれちゃったけど針まで持ってってくれたからね、なんとかなるでしょ。」
振り返り、意識なく立ち尽くすアソーマ達をみる
「全員手足を縛り合って」
さてと。とりあえずセリスになんて言おうかしらね…
あちらも思ったより難航しててイライラしてるからなぁ〜
騎馬隊の足音が近づいて来る。
ため息と一緒に出た白い息が妙に目について自分をイラつかさせた。




