5-7 屋根の上と地の下と
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー剣狼
「第4、第5小隊前へ!休ませるな!濡らして重くしてやれ。用意!ーーーウテェーー!」
「ジュール!」
無数の水弾が飛んで来る、この寒空の中で濡れるのだけは勘弁だとにかく避ける
「どうした?対魔術戦闘の講義をしてくれるんじゃ無かったのか?」
デカ乳のねーちゃんが勝ち誇ったかのように胸を張る
「そうじゃな、ある乳は揺らさねばならんのは男の努めよの、嬢ちゃんも寒かろう少し運動せい、閃刃乱舞。」
「第1!!!」
「マジックウォール!」
放った閃刃がかき消える
「重ねがけのマジックウォールで鉄壁の壁か、仕方ないのぉ、それなりにできる者たちとして相手しようか。覚悟せい」
「来るぞ、第二射構え!」
「このような、一体複数の場合、まずしなければいけない事、それは!」
「ウテェーー!」
屋根の上に飛び上がる。
「逃げるじゃな。」
「逃すな、追え!」
屋根づたいに逃げる、いかんいかん。流石にこれは疲れるわい。胸ポケットから残った干し肉を出して口に入れる、リンには感謝じゃな、出来ればもう少し噛みごたえが有るとええのぉ、今度頼んでみるか…
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーリン
ゴクッと唾を飲み込む、まさかまさか地下室があったなんて!
「うわ!クソ、当番の奴らは何やってやがる、しっかり掃除しろってんだ、糞触っちまった」
男の人が顔を出す
「大丈夫ですね、人もいなければほとんどの馬も出払ってます、やはり街でなんか起こってるみたいですぜ」
「そうか、シュウの報告では姫様たちはユウヒの所に行ってるはず、他の勢力も存在するということかな?いずれ確認が必要だ。」
のっそりともう1人男が顔を出す…怖そうです
「アソーマ隊長…」
シルさんがつぶやく
「誰だ!?」
2人がこちらを見る
(ソフィ、どうしよう?隠れてるし操られてないんじゃない?)
「シルバー、ここに誰か来なかったか?」
アソーマという人がシルバーの頭を撫でる
「ブルンブルル」
「そうかいないか」
(シルバーは後ろにいるよ!って言ってます。)
「ぷっ」
「やはり誰かいるのか!」
「だめ!シルバー落ち着いて!ドウドウ」
あっ、ビックリしたシルバーを落ち着かせようとマントから出てしまいました
「!?子供?」
「あぁもう、こうなればしょうがない。りんちゃん、笑わせないでよ」
シルさんとソフィも姿を現わす。
「シルとソフィか、大丈夫だ剣を下ろせ」
「アソーマ隊長ご無事だったんですね?」
「あぁ、では外の騒ぎは君たちが?」
「私たちっていうか主に剣狼かな?」
「そうか、ふむ…話を聞かせてくれ、とりあえずここではなんだな、アジトに戻るか。付いて来てくれ。」
こうしてアソーマさんについて地下に潜ることになりました。私は王都の地下にどれだけ縁があるのでしょう?上の事は全然わからないのにもはや地下マスターになってしまいます。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー剣狼
「どうした!逃げるだけか!私の乳を揺らすんじゃ無かったのか?」
「今馬に乗ってバインバイン揺れとるじゃろうが!」
「足を止めてゆっくり見てもいいんだぞ?」
「わしが止まればお主も止まるじゃろうが!」
「それもそうか。」
「第2第3小隊、あいつを濡らすだけでいい上空に向かってジュールを放て!」
「ジュール!」
「お主らが濡れておれ、閃刃乱舞」
上空に向かった水弾を破壊する
「ゴーズウォール!」
「汚いぞ!何故濡れん!水もしたたる良い女という言葉を知らんのか?」
「私を濡らしたいなら逃げるだけではなく少しは男を見せたらどうだ?」
こうやって会話しておるがヒルロッテの姿が見えない、先回りかの?ぼちぼち儂の跳躍力の凄さを見せてやるか
加速して踏み切り、道を挟んで反対側の屋根に飛ぶ。飛びながら、下の道を走るバインバインにオマケじゃ
「一閃!」
馬の足元に放った一閃により馬が暴れてバインバインが馬から落ちる。
「尻も少し大きくなった方がグラマラスじゃ!」
「マーズメル!」
「おっと、いかんぞマーズメルは火事が起きてしまう、しっかりせい隊長さん」
道と垂直に移動して一度距離を稼ぐかの…
時計塔が見える。
「四時か…」
そろそろ日が落ちる、そうなればおそらく兵士たちはみな外壁の見張りに着くじゃろう、しんどいのぉもうひと頑張りかの
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーリン
「成る程、大体のことはシュウからの報告と一緒ですな」
アジトにつきアソーマさんにこれまでの事を説明する
「シュウ?」
「モグラさんの事。」
「モグラさんもこちらにいるんですか?」
「残念ながら、今は潜入調査中でここにはいない」
「残念です。」
「はっはっあいつが人に好かれるとはな珍しい物を見たものだ。」
「モグラさんは優しい人ですよ!」
「そうだな、無口なやつだからなかなか人と関わらんからな、わかってくれる人がいると私も嬉しいよ。」
「ところでアソーマ隊長?その…右腕…」
「あぁ、スパッと持っていかれたよ、私もまだまだ未熟だ。」
「そんな…」
「ホント馬鹿でしょ?この人。はいお茶持って来たわよ」
奥から女性の方がやって来る
「妻のロッコだ」
「はいお嬢さんたちはじめまして、えっと…」
「シルです。」
「リンです。」
「ソフィーよ」
「あら?フクロウが喋るのかい?すごいねぇ。フクロウさんもお茶で良いのかい?」
「ええ、ありがとう。」
「あっお腹空いてないかい?シチューかあるよ」
「あっ嬉しいですお腹ぺこぺこ。」
「よしきた、あっそれとこいつの腕のことは気にしたら負けよ、普段から片手しか使わない、爪先立ちしかしないとか、トレーニングといってそんなことしてんだから、有ろうと無かろうとトレーニングしてんのと変わんないんだから。あんたも気を使わせるんじゃないよ。」
バン、とアソーマさんの頭をはたいて、おくにもどっていきました。
「いやすまんな、がさつな妻で」
「聞こえてるよ!」
「気の強い妻で。」
「ふふふ仲が良いんですね。」
「そうか?」
「そうですよ。」
「ふむ…」
アソーマさんが考え込む。言い合える関係と言うのは良いことなんだと思うんだけどな、本人にはわからないのかも。
「ところで私たち暗くなったら剣狼と合流して、お姫様の部屋にあるって言う隠し通路を通って王都を出ようと思ってたんだけど…」
「姫の部屋の隠し通路?あぁあれか、あれは何年か前に姫が余りにも脱出を図るからシュウが埋めてしまったよ、仮にあったとしても繋がってるのはここだ。」
「え゛っ?」
「まぁここからならシュウが新しく掘った通路で城壁の外まで行けるさ。」
「剣狼さんに伝えないと!一度外に出させてください。記憶の矢を剣狼さんに打ちます。」
「矢を?まぁ私たちも剣狼殿とは話をしたい、協力しましょう?」
〜〜〜〜〜〜
街の西の工場地帯に移動する
「成る程、では剣狼殿には西の工場地帯にある入口を伝えてもらいましょう、そのあたりならは入り組んだ地形なので追っ手も巻くことができるでしょう。」
アソーマさんから案内されて西側に来る、多分この街の範囲なら会話の核の射程に入るはずだ。
「剣狼さん受け取って」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー剣狼
あーしんどい、暗くなったのに全然追っ手がやむ様子がない、先回りされたと思ったが交代で休んどるのかの?
ん?くそ!
飛んで来た何かを剣で払う
「何もない?何か飛んで来たと思ったんじゃがな?」
仕方ない念のため移動するか
しばらく移動するとまた何かが飛んで来る
「風の術か何かか?」
再び剣で払う
「この程度の威力でもお前が見えてるぞと言う牽制か?儂を疲れさせる気じゃな」
また飛んで…
「なんじゃ、なんじゃなんじゃ?」
雨のように何かが飛んで来る
「しもうた!」
何かが突き刺さる
「リン…じゃったか、かっかっか、兵士たちでも儂に触れることができんかったのに最初に儂に当てたのがりんとはな。西じゃな、よし。」
息を整えるとまた飛んで来る、今度は避けずに受け止める
「剣狼さんのバカァーーー!」
「しもうた怒っておる!直ぐに行かねば。」
何とか追いかけっこを終わりにできそうじゃ
バインバインにもう一泡吹かせてやりたかったがそれはまた今度にするかの。
評価ありがとうございます。誰かが読んでくださっていると言う実感が湧くと本当に血が湧きます。
頑張りますのでまた読んで頂けていたら幸いです。




