表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
剣狼の願い  作者: クタクタニ
姫の願い
63/83

5-4 王都の道

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーリン

「良いですか?リン。まだ教えなければならない事はいっぱいあるのです、用が終わったら直ぐに戻ってくるんですよ?」


「はい、奥様。必ず戻ります。」


剣狼さんとソフィさんには残るように言われたけれど私だけ置いていかれるのは嫌だった、何よりシルさんが連れていかれたのは誰がなんと言おうと私の責任だ、だからこそ私は人任せには出来ない。役に立たないかもしれないし足も引っ張ってしまうかもしれない。それでも私は何かせずにはいられなかった。


剣狼さんもソフィさんも説得して来たが最後には折れてくれた。胃袋に訴えかけたのが一番効果的だった様だ。


剣狼さんの背に乗って王都を目指す。今回は隠れる必要は無いので文字通り真っ直ぐ。


「剣狼さん、私に遠慮しないで全力で大丈夫ですよ。」


「おっ、おう分かった」


「りんちゃんこのスピードに慣れたものね、この人多分割と全力で走ってるわよ。」


「そうなんですか?剣狼さん?」


「いや、もっと出せる、落とされるなよ」


「あらあら、大丈夫かしら?」


〜〜〜〜〜〜〜


馬車で5日かかる距離を2日半で王都目前までたどり着く


「大丈夫?兄さん?」


「はっはっはっハフ」


「大丈夫じゃなさそうね…りん、とりあえず休憩してから王都に入りましょう、シルちゃんに連絡取って。私が先に空から行ってシルちゃんと合流するわ。私が安全を確認してから合流しましょう。」


「はい。剣狼さん無理させてごめんなさい」


「む…無理などではない、儂はもっと…」


「はいはいにーさんは今日はちょっと調子が良く悪いだけよね、無理はしないで休んでちょうだい。」


「シルさんと連絡取れました、北門の付近で待ってるそうです。」


「了解、じゃぁ一足先に行ってるわ、にーさんの息が整ったら連絡ちょうだい。」


そう言うとソフィさんは王都に向けて飛んで行く。


王都、前回は地下から来たのでこうやって外から全体を見るのは初めてだ。都会。全周を壁に囲まれた街。あの中に沢山の人が暮らしている。


「広いなぁ〜」


「かっかっか、この国の中では1番大きいが他の国にはもっと大きい都が沢山あるんだぞまだこれでも小さい小さい」


「ホェ〜目が回っちゃいそうですね」


「秘書官とやらになるんだろ?これから沢山の国を見る機会ができるだろうがここがお前の家になるんじゃ、目を回さずにしっかり見る事じゃな。」


「はっ、はい!頑張ります。」


「どれ、ここから大体の目印を教えてやる、迷子にならんようにな。まず北門の上に槍のような塔と言うか柱が一本立っとるじゃろ?」


「はい見えます。」


「あれな東門が2本、南が3本、西が4本立っとる、街の地理を覚えたら必要なくなるじゃろうが方向を知る目安じゃな。あとはーーーー」


剣狼さんから街の地理を大体教えてもらう、はぐれた時迷子にならないように、少なくともファイブアイズのお店にはたどり着けるように教えてもらった。」


「たぶん、大丈夫です。剣狼さんありがとうございます。」


「うむ、ではそろそろあやつらに連絡を取れ、王都に突入じゃ。しかしまぁ街のレクチャーはしたがこのままでは中に入れるかは微妙なとこなんじゃがな。」


「そうなんですか?」


「まぁ儂のことは覚えてるとは思うがの、門兵がすんなり通したらなんのためにいるって話じゃろ?」


「まぁそうですね。」


「しょうがない、腹をくくるか…りんカバンから儂が渡した包みを出せ。」


「はい、これですか?」


「それじゃそれじゃ、では王都の方を見ていろ。」


「はい。」


後ろでガサゴソと剣狼さんが何かしています。


「わずらわしいのぉ、これだから嫌なんじゃ。」


「どうしたんですか?」


振り返ると白髪の叔父様がボタンを閉めるのに苦戦していた


「すまんがリン、やってくれ。うまくできん。」


「剣狼…さん?」


「そうじゃ、人型は久々過ぎて細かいのは苦手なんじゃ」


「ホェ〜」


「どうした?りん?」


「剣狼さんカッコいいですね。」


「じゃろ?」


にやっと剣狼さんが笑う。ダンディーだ。

私は剣狼さんを着付けて改めてみる

フージさんのところの執事さんの服を借りて来た様だ

背筋を伸ばした姿は本当に凛々しい


「これでいいじゃろ、これから門をくくるわけじゃが、儂とりんの関係はどう説明しようかの?お嬢様と執事と行きたいところじゃが流石に格好がお嬢様じゃないの」


そこはお嬢様にして欲しかったがたしかにどう見ても田舎の村娘Aと言った格好だった


「じゃぁ私も着替えます。今度は剣狼さんが街を見ててくださいね」


カバンの中から服を出して着替える。


「はいお待たせしました。これなら領主の扱いで来た2人で通せますよね」


「メイド服か、そうじゃな、ではアストレア家の使いでファイブアイズ商会に商談しに来たと言うことにするかの。儂は敬語が苦手じゃ、りんの教育で来たと言う立ち位置で行くから話は任せて良いか?」


「はい剣狼さん。」


「剣狼はまずいかの?エディ…と言う訳にも行かんか…


「じゃあケンさんとかロウさんはどうですか?」


「ケンってのはな、なんか剣って感じで面白くないの、ロウでいくか。」


「ロウさんですね。わかりました。」


「では行くとするかの。」


「はい、ロウさん」


こうしていよいよはじめての王都です。


せっかく色々設定を考えて、発声練習までしたのに門は素通りする事が出来てしまいました、ちょっとだけ残念です。


門を抜けるとシルさんが近くで待っていました


「シルさん!」


私は駆け寄って抱きつきます。


「りんちゃん、来てくれたの?ありがとう。」


「ごめんなさい、私のせいでこんな事に…どうしても待っている事が出来なくて…」


「大丈夫って言ったのに…もう。ところで剣狼は?それにそちらの方は?」


ロウさんは何も言わずに凛々しく立っている


「はじめまして、シル様、私アストレア家の執事ロウと申します。」


「あっ、はい。はじめまして。」


「剣狼さん、酷いですよそれ」


「えっ?剣狼?はっ?えっ?」


「りん、もう少し遊ばせろ、せっかくの初公開だとゆうのに」


「えっほんとに剣狼なの?ソフィ、セリスさんとフーセの間ぐらいの姿だって言ってたじゃない」


「私も驚いてるわ、前見たときはそうだったもの。」


「儂は小烏(コガラス)と違って年をとるんじゃ、じゃからあんまり人の姿になりたくないんじゃよ。なんじゃペタペタ触って」


「ふしぎーーと思って。」


「とりあえず場所を移そう、驚かすのも終わってしもうたし、とっととこの服を脱ぎたいんじゃ」


「私の部屋はお姉ちゃんが来るかもしれないし、とりあえずファイブアイズのお店にいく?」


「お店に又迷惑かけるのはちょっと…」


「じゃあ、ホテルに行きましょうか」


「はい。」


「剣狼、元の姿じゃなくてそのままでいなさいよ!カッコいいんだから」


「ですよね?ですよね!」


「嫌じゃ!この服が窮屈でならん」


「ええーそんなぁー」


今のうちにしっかり見ておこうとロウさんを見ると険しい顔をしています。


「ネクタイきつ過ぎました?」


「いや、そうじゃない。わかっておったが監視が多いの。4人、いや5人か?この姿じゃとわかりにくいの。コガラス」


「ええ、なんか増えてる、今7人」


「これはホテルに寄ってはいられなそうじゃの。直ぐに退路を確保せねばなるまいて。人通りのある道を通って東門の方に抜けよう。一目が有れば大それた事はせんじゃろう。小娘、ゆっくり作戦会議とは行かなそうじゃぞ。りん全員に会話の核でパスを通せ」


「はい。」


(皆さん聞こえますか?)


(緊張が伝わる、小娘街の案内してるつもりで話しとれ)


(あっうんわかった)


(コガラスどうじゃ?東門の周辺に魔力多数ね)


(やれやれ、ゆっくりはせずに自ら黒とバラすか、バレても構わんと言うことか)


(逃げれます?)


(最悪儂が元の姿に戻ってコガラスのチカラを使えば王都から出る事は出来るじゃろうな、そこからは分からんの)


(ダメね東門に近づけば囲まれるわ)


(小娘、選択じゃ、このまま強行突破で王都脱出か、セリスとファルにあってから脱出か。)


(えっ、急に言われても…囲まれてるって人はいっぱいいるけどそんな感じじゃないよ?ほんとに?)


(ダメよ兄さんもう王宮に向かうしか道が残ってない)


「かっかっか」


「どうしたの急に笑って」


「見てみい、こちらにどうぞじゃ」


お城に向かう大きな道に出るとあんなにいた人たちが誰もいない、来た道を振り返ると人がみんなこちらを見ていた。


「参ったの、王都の人たちは洗脳済みと言うわけか。黒も黒、真っ黒じゃったの。」


「どうするの?」


「まぁ強引に突破してもええが、ご招待受けたんじゃここまで来たらせっかくだしあちらの狙いも聞いておくかの」


「逃げれるの?」


「もはややってみんと分からんの、とりあえず、言えるのは今逃げようと後で逃げようとそんなに大差は無いということじゃな。儂の側から離れるなよ2人とも。コガラス、シルについておれ」


お城に続く広い道


誰もいない道


気がおかしくなりそうな程にお城が遠く感じました。





評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ