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剣狼の願い  作者: クタクタニ
第4章 七星剣
57/83

4-19 後手

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーイルナ

七星剣ヴァルハラを姫様よりお預かりしてから私はこれを使いこなす為鍛錬を積んでいる


相変わらず剣身自体は曲剣を直剣にすることしかできないが、魔法剣としては戦闘に使えるものになってきた。


氷と炎は造形するイメージがつきやすく

隊長相手に使った《バインドスネーク》。イメージとしては名前の通り鞭と言うよりは蛇をイメージして相手に絡みつく。

先日、ファルに遭遇した時に使った《キャッスルウォール》城壁をイメージして壁を作る。

他に《ガンド》、単純にヒュンゼルや、ゴーズメルを使ったのとは変わらないが連射が可能。実際私自身が剣を使わず魔術を使った時よりも早く速射ができる。

これらの技は氷、炎両方で可能だ。


私自身は他に風と、土の術も使えるが、目に見えない風はイメージがつきにくく、逆に土の術は固くなりすぎて造形がうまく出来なかった。


「炎の熱さや氷の硬さはイメージ力に左右され、大きさは魔力量に左右される。魔力はヴァルハラが増大させてくれるからそのコントロールを覚え、あとは柔軟な思考を持て、そうなれば風や土も使えるであろう」


そう剣狼殿にはアドバイスされたが、簡単に出来るものでは無かった。


しかしながら氷と炎だけでも威力は相当のものである。

以前まで使えていた魔法剣は剣に炎を纏わせるだけのものであったが、その炎を自在に操れるようになったおかげで私の射程距離、間合いが格段に広がった。

また、一対複数人にも対応可能となった。

剣士というところからは少し外れてしまったように感じるがこれまでの経験がここに至らせてくれたんだと考える事にする。



隊長がマーリン隊長と一騎打ちをしている中、十数名の兵士達が広がり私達の捜索にかかる


「一人づつ始末しますか?」


「そうね、操られているだけなんでしょうが流石にイルナだけで全員捕獲は難しいでしょう?」


「ご命令とあらば」


「出来るの?」


「出来ると思います。捉えるだけならば。ただし捉えてる間私は他のことができなくなると思いますが。」


「いいでしょう。あなたのやりやすいようにやってごらんなさい。」


「御意、では死角が多い方がやりにくいので森から出ましょう、極端な話、平地で囲まれてしまった方が捉えやすそうです。」


「そう。わかったわ。」


「カイ殿、出番は無いとは思いますが姫さまをお願いします。」


「わかりました。」


そう言うと森から出て平野に出る


「何処を探しているのかしら?私はここよ」


そう言うと散らばった兵士達に囲まれる


「コロ…さない、トラエル…捕まえる。」


「これで全員ですかね、操られていようと基本の陣形を忘れないのは良いことです。おかげでこちらも楽ですよ。

スネークバインド!」


氷の蛇が兵士達の間を縫うように走りそして捕縛する。


「キャッスルウォール」


捕縛された兵士達を頭を残し氷の壁に閉じ込める。


「あら?ホントさらっと出来るのねイルナ、しっかり練習してたのね?優秀優秀。」


「すみません姫さま、ただこうなりますと私もこの場を動かないので後はお願いしてもよろしいですか?」


「うん、上出来よ。ちゃんと私に見せ場を作るあたりが特にね。」


そう言うと姫さまが周りを囲んだ兵士達の頭に触れ魔力を打ち込んでいく。


「オッケーもう良いわよイルナ」


そう言われて氷を解く


周りにいた兵士達がバタバタと倒れていく


「さて、あとはマーダンね。」


そう言われて隊長の方を見ると隊長が倒れたマーリンを背にこちらを向いたところだった


弟を斬り伏せた隊長、その心中を察し、かける言葉を考えていると…


「隊長!まだです。」


私の声が届いたかどうかはわからないが、隊長が振り返る


マーリン隊長の頭上に、大きな火の玉が次々に現れる。


「まずい、イルナ!」


私も慌てて駆け出す…そして同時にスネークバインドを作り出すも、全く射程から大きく離れて届かない


「隊長!!!!」


間に合わなかった。届かなかった。


5つの大きな火の玉は隊長を取り囲みそれが中央で大きな火柱となった。


「隊長…」


私は膝をつく

私がもっと早くお側に行くことができたならば…


「顔をあげなさいイルナ、まだ貴方の隊長は倒れてないわよ」


姫様に肩を叩かれる


顔を上げる


隊長が左手で何かを掲げている


「イカルガの力でしょうか?」


カイ殿がそう呟く


隊長が左手に持った槍は炎を吸い込んでいく


「そう見たいね、イカルガの特殊な能力かしら、剣狼かソフィーに聞いて見るか」


全ての炎を吸い込んだ槍を下ろし隊長がマーリン向き合う


「えっ!なんで!」

姫が突然慌て始める

「どうしました?」


「リンちゃんに付けて貰ったマーカーが消えてる!」


見ると確かに姫さまの左手にあった魔法陣の様な物が消えていた


「あっちに何か有ったんだわ、となるとこちらにも何かしら来るかも知れない。イルナ、マーダンのアシストを…いえ、相手は真っ二つでも復活する…時間を掛けてはいられないわね。退却しましょう。カイ君馬を。イルナマーダンのアシストをしつつ後退を伝えて。」


「ハイ!」


隊長に向けて走り出す。合図を出したところで相手はマーリン隊長、筒抜けだ。二人掛かりで隙を作り一気に離脱するしかない。


「ヒュンキャッスルウォール!」


氷の城壁を作り隊長達の間に壁をつくる


「隊長、撤退です。」


「いや、私に敗北は許されない。マーリンはここで倒す」


「姫さまの指示です、分隊に異常あり、増援の恐れあり。」


「…わかった。」


氷の壁が破壊される


「なんのつもり?これ程度で私が足を止めるとおもって?」


「ではこちらは?ゴーズキャッスルウォール!」


今度は炎の壁を作る、足止めで良い


「閃刃乱舞」


隊長がマーリン隊長を切り裂く


「いくぞ」


カイ殿が離した馬に飛び乗り走る


「逃げるつもり?ヒュンゼルフォーハンド!」


後ろから無数の氷の刃が襲いかかる


「ヒュンキャッスルウォール」


再び氷の壁を作りそれを防ぐがそれもすぐに破壊される


「ゴーズガンド!」


マーリン隊長の他に足になる馬を狙う


距離は作れた、これでひとまず時間は稼ぐことは出来たであろう。


森の入り口にいる姫さま達と合流しそのまま森に入る


後ろでマーリン隊長が何か叫んでいたが聞き取ることができなかった。



「マーダン、兄弟の対決に水を指してごめんなさいね。」


馬を走らせながら姫が隊長にそう告げる


「いえ、私も認識が甘かった、私があれを見誤った所為です。申し訳ない。」


「そうよね、真っ二つにされて起き上がるとか反則よね、私もそれは想像してなかった。」


「次の機会を頂けましたら必ずや」


「ダメよ、マーダン。それは失敗するフラグなんだから。そういうこと言う人には再選は許可できないわ。」


「ではなんと?」


「うーんそうねー何も言わなくていいんじゃない?貴方がマーリンを止める。それは確定事項なんだから。言葉じゃなく結果で示しなさい。」


「ハイ。必ずやご期待添えて見せます。」


「何も変わらないじゃない、ほんと硬いわね。」


「あまりマーダン隊長をいじめるものではありませんよ姫様、それでこの後どう動きます」


「まずは私達の安全の確保ね、追っては今のところ無さそうだけど、行方をくらまさなきゃ。確保でき次第通信が取れなくなった時の合流地点、フージの所にいくわ。後はそこで今後の対応を考えます。」


「しかし、目的で有ったイカルガがバレたとなればアルテが有ったアストレア家も危ないのでは?」


「そうねーそうなのよねー間違ったなぁーまさかもまさかだったからなぁーまぁアストレア家で合流と伝えてしまってるし、その周辺に行って様子を伺うしかないかな?」


姫様にしては大雑把だ、後手に回ってしまったと言ったところだろうか?


「モグラさんに期待するしか有りませんね。」


「ほんとよ、リンとシルに何かあったらボコボコにしてやるんだから。」


四頭の馬は森を駆け抜ける


険しい草木をかき分けて進む


道は無くとも止まることは無い、止まる場所がない。


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