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剣狼の願い  作者: クタクタニ
第4章 七星剣
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4-15 彼女の葛藤

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーファル

「みーつけた。」

馬車の幌を切り裂いて私はそう告げる


すると馬車の荷台ですっと立ち上がりこちらを見てあいつが言い返す


「あら?見つかっちゃった。」

本当にこの女は私をイラつかせるのが上手い

追い詰められようと、ニコニコしながらこちらを見る


「じゃぁ今度はこちらが鬼かしら?」


「いいえ、お仕置きがまだよ。」


「あら?どんなお仕置きをしてくれるのかしら?ワクワクしちゃうわ」


「あら?フーセがいないようだけれど、あの子は何処に行ったのかしら?」


「フーセ君?さぁ何処かな?直ぐどっかに行っちゃうのはあなたの方がよく知ってるんじゃない?」


「それもそうね。ヒュンゼル!」


ルルの頬を氷の刃がかすめる


「あまり拷問は好きじゃないんだけど、貴方なら楽しめそうだわ」


「あら?マーリンをあんなにしておいて好きじゃなかったの?操られてどんどん本性出してるんだと思ってたのに。」


「ヒュンゼル」

逆の頬をかすめる


「あら?図星?」


「ホント貴方イラつくわ」


「あら?大変!ファルに嫌われちゃう!どうしよう?」


「ヒュンゼル」

耳をかすめる


「顔だけぐちゃぐちゃにしてあげましょうか?」


「そうねーそれは嫌ね。教えたら見逃してくれるって言うなら考えても良いわよ?」


「ええ良いわよ、五分待って上げるから逃げてもいいわ」


「あら?五分もくれるの?ありがとう。」


「もう一度聞くわね?フーセは何処?」


「じゃぁ馬車が通れるように馬車の前にいる人たちを寄せていただける?」


道を塞いでいた兵士達を避けさせる


まぁ直ぐに馬車を壊せば同じ事…


「交渉成立ね、それにしても貴方操られてからにぶくなったんじゃない?」


私の顔を見てニヤッとしながらルルが続ける


「そもそもこんな道通る時点で見つけてくださいって言っているような物じゃない?マーリン辺りが来てくれればバンザイだったのに、貴方が来てくれるなんて幸運だわ。」


「どう言う事?何を言ってるの?」


「まぁ交渉事で嘘はつかないわ、教えてあげる。フーセ君は王都に行ったわよ。今頃セリス君と仲良くしてるんじゃない?」


「なっ!」


「イルナ!」


「ハイ、氷の障壁!」


イルナの剣より氷が溢れ出すあっという間に私達とルル達の間に氷の壁が出来る


「ゴーズメルフォーハンズ」


氷の壁を火球の連弾で破壊する、くそ、かなり分厚い

既に馬車が走り出している


「貴方達直ぐに追って、私は一度王都に戻ります。」


まさかイルナがあれほどの魔術を使えるとは思わなかった、ホントあいつの言う通り鈍っていたようだ。


フーセが王都に、フーセはともかく消滅の核を持っていることが問題だ、セリスを消滅させる事は無いとは思うが乗り込むぐらいだ、私の知らない何かがあるのかもしれない。




ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーールル


「イルナ今度は私達の後ろを凍らせて、ウマがスピードを出せなくなればそれでいい。その後はしばらく後ろを警戒

、マーダンも周りの警戒をお願い。」


「はい」


「カイ君、移動ルート考え直さなきゃ。まさかこんな林道で見つかるなんて」


「いやぁ見事なはったりでした、何が交渉で嘘はつかないですか、全部嘘じゃないですか。」


「あらフーセ君が無事だったらきっとそうしていたわ!前提が間違ってるんだもの。って言うよりホント、ファルったら操られてからおバカさんになってるわ、もっと頭の回る子なのに…」


「あちらは、フーセ君の現状を知らない。」


「そうね、合わせてシルちゃんの事も聞かなかった、おそらくシルちゃんが核になっていると思っている、さらにファルが慌てたところを見るとシルちゃんの山を消した力を怖れている。おそらく追っては兵士だけでしょう。今ごろ慌てて王都に走ってるわファル。うふふ慌てたファルもかわいいわぁ〜きっと王都に戻って怒るのよあの子、ルルめぇ〜って!あっそれも見たい!」


「では追っ手を蹴散らしますか?」


「いえ、こちらもヴァルハラの力を見せてしまった、極力手札はまだ伏せたままにしておきたい。いずれ私たちが七星剣を集めてる事にあちらが気づくのも時間の問題。今は急ぎましょう。」


「それで先ほどの話ですが…」


そう言えばそうだった剣狼の話の途中だった。


「まぁ深く考えなくてもいい気はするけどね、剣狼が仮に嘘をついていようと目的はネルを何とかするって事は同じでしょ、その先に何か目的があるのかもしれないけど今は剣狼を追い詰めていなくなられる方が困るわ」


剣狼の嘘…言っていないことがあると言っても良いのかな?

カイ君に言われたのは何故ディヴァイスターを使えば元に戻れるのに剣狼、ソフィーは元に戻らなかったのか、元に戻れると知らなかったと仮定すると核を破壊できると知っていた事が今度はおかしく思えてくる、何故操りの核を破壊しないで封印したのか?

そもそも核の数が合わないディヴァイスターには7つ核がついていて「堅牢」「速度」「融合」がついていたと言っていた、残る核は「会話」「賢智」「変化」「記憶」「理」つまり1つ多いのだ。操りの核はともかくもう1つは何処から来たのか?もしかすると私たちが知らないだけで核は無数に存在可能性もある。

さらにソフィーは記憶が無いと言う、剣狼はネルによって記憶が戻ったと言う。なのでその辺りの話は剣狼の証言を元に賢智の核で調べるしか無い。目の前で疑ったのでは関係にヒビが入るかもしれないということで彼らを一度別行動にしたかったとのことだ。面倒な…


「まぁ落ち着いたら調べて見ましょう。とりあえずあちらにもファルに接触した事を伝えるわ。」


腕にリンちゃんにつけてもらったマーカーに魔力を流し込む


「今大丈夫?リンちゃん」


「ハイ、ちょっと待ってください、剣狼さんモグラさんに追いついて…うわっ、はやっ!モグラさーん、姫様から連絡入りましたぁー」


どうやら移動中だった様だ。


「おまたせしました。」


「これみんなに聞こえてる?」


「はい聞こえてますよ」


シルちゃんの声だ


「さっきファルに襲われたわ、ファルにはフーセ君が王都にセリス君を襲いに行ったて嘘ついてご退場願ったけど、もしかしたらヴァルハラの力見られたからこっちが七星剣集めてるのバレたかもしれないから気をつけて〜って連絡。」


「おねーちゃんが?大丈夫だった?」


「シルちゃん?ちなみにそれは私達が?それともファルちゃんが?」


「ーーーおねーちゃんが。」


少し悩んでそう言う、わかってるなぁ


「大丈夫よ、今ごろ慌てて王都に戻ってる頃だと思うわ」


「そう、元気そうだった?」


「そうね、操られてるせいか頭のキレが悪くなってるわね、早く元に戻さなきゃ」


「うん。」


「そっちはどの辺まで行った?」


「今日は無理だけど明日にはトルダワ湖に着くと思います」


「速いわね。」


「当然じゃ儂が走っておるのだから!」


「えー私のおかげでしょう?」


「お前は儂に乗って力を使ってるだけだろ?」


「はいはい喧嘩しないで」


「わかったわ、何かあったら連絡頂戴。モグラ君みんなのことお願いね」


「わかった」

通信を切る


「あっちは順調見たいよ」


「こちらは移動手段を少し変えますか、馬を手に入れて個別に馬に乗った方が良さそうですね、またまともな道を走っていたら待ち伏せされそうです。」


「オーケーそうしましょう。」



何かモヤモヤする。

きっとあんなファルを見たせいだ


元のファルならあんな駆け引きさえさせてもらえなかったはず、私の賢いファルがチョロ子になってしまうなんて…


ん?チョロ子のファル。あれ?それもいい気がする。


あっどうしようテンション上がってきたぁ


「マーズメルー!」


後ろから追ってきた兵士に一撃お見舞いする。


この後どうしよう。どうしてくれようかなぁ〜


「マーズメル!」


私のモヤモヤは追ってくる兵士がいなくなるまで続いた。


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