4-12 ホークの森
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーシル
随分歩いているがなおも獲物は見当たらない。
「シルさんは…フーセさんの事をどう思ってたんですか?」
唐突にそんな事を聞かれる。
「どうって言われてもなぁ〜目を離すとなんかやらかすから弟みたいな感じかな?」
リンちゃんがクスッと笑う
「フーセさんはシルさんの事妹って言ってましたよ」
「はぁー?あいつが?お兄さん?ありえないでしょ?」
「そうですか?とっても私の事気遣ってくれて、優しかったですし、なんでも出来ましたし。とっても頼りになりましたよ?」
「あれでしょ、自分より年下の子に背伸びしたかっただけよ。そんな頼りになる感じじゃ無いんだから。」
「そんな事ないですよ!フーセさんは素敵です。」
リンちゃんがムキになる。
「シルはドジだし直ぐに落ち込むから、心配なんだって、俺が助けてやるんだって言ってました。」
「それは腹立つな何様だあいつは!どっちがドジだ!失敗しかしないくせに!」
「そんな!実際にフーセさんに助けてもらったから今こうしてるんじゃないですか!そんな言い方って…」
そう言ってリンちゃんがはっとする
「ごめんなさい、私…」
「いいの、いいの、気にしないで。」
リンちゃんがうつむく
「私の…私のせいなんです。あの日私が山小屋に泊まるってわがまま言ったから…」
「そんな事無いって、あいつに捕まって飛んで帰るとか私も怖いもの。」
「怖いわけじゃなかったんです、私、もっとフーセさんとお話ししたくて、嘘ついたんです。私が!私がわがままを言わないであの日真っ直ぐ帰っていたら…」
リンちゃんが涙を落とす
「そうだったんだ…でもね、それでもリンちゃんのせいじゃないよ。可能性の話をしたらいくらでもあるよ、みんなで山に登れば良かったとか、私が暴走しなきゃ良かったとか、お姉ちゃん達をもっと早く止めれたら良かったとか…考え出したらいくらでも有るんだから。それをリンちゃんのせいだって言うなら私たち全員のせいなのよ。リンちゃんだけのせいでなんて思わないで、お願い。」
「かっかっか、ワッパモテモテじゃの?」
「なんでそうなるのよ!私は別に…」
「そうです!フーセさんの事好きじゃないんですか?」
胸元のフーセの核を手に取る
「そうだなぁ、好きとか嫌いとか考えた事無いからなぁ〜当たり前の様にいつも一緒にいたしね、どちらかと言うと好き?う〜ん?好きって言ってもあいつにキスされたいとか抱きしめられたいとかそういうのはウェって思っちゃうしやっぱり弟かなぁ」
「って事はキスとか抱きしめられたいとか一度は考えた事あるんですね。」
「ちょっとなんでそうなるのよ!違うんだからホントに、ソフィーとかになんか言われたんでしょう?全く。」
「またフーセさんと同じ事言うんですね。」
「もうおしまい!この話おしまい!」
「そうじゃな、お終いじゃ、すまんが2人とも気を引きしめろ、動物じゃなくて魔獣じゃ。」
急に真面目な声を出す剣狼、辺りを見渡す。
何も見当たらない
「上じゃ。バトルホークかの?」
木の上で大きな鳥が無数止まってこちらを見ている
「剣狼何とか出来る?」
「うーむちょっとあの数はお主らを守りながらではきついのぉ。」
「何でこんな近くまで気づかないのよ」
「いやー足元の匂いばかり気にしておった、上は全然きにしておらんくての、とりあえず逃げるしか無いの、お主らゆっくり儂の背にのれ。」
リンちゃんが戸惑っているので抱き抱えて、剣狼に乗せる。私もその後に乗る。
「良いかしっかりとつかまっておれよ。」
剣狼が走り出す、って!早い早い早い!!!
そのスピードにも関わらずバトルホークが飛びかかってくる。剣狼が左右に避けるので私たちも振られる
「落ちる落ちる!」
「鷹の餌になるか、死ぬ気でつかまっておるかどちらかじゃ。離すなよ。」
さらに剣狼のスピードが上がる、飛ぶように走っているので着地時の衝撃で手が痺れる。
「しまった、急カーブじゃ曲がるぞ!」
そう言われた次の瞬間私は…飛んでいた…曲がった反動で投げ出されてしまった、鷹達は剣狼を尚も追いかけている。リンちゃんは落ちてないみたい。良かった、でも…私は…終わったな…私は静かに目を閉じた。
〜〜〜〜〜
なんか昔もこんなことあったなぁ
フーセと2人で馬に乗って2人とも落ちゃって、
馬だけ走って言っちゃったんだ。
私は落ちたのがショックだったのと、落ちた痛みとで泣いた。馬から落ちるなんてちっとも考えていなかったからだ。
泣いている私を見てフーセが笑う、慰めてくれても良いのにと、腹が立ってきて私はフーセを怒る
私が怒るとフーセはいう。
「なんだもう泣くのはお終いか?つまんねぇ」
そう言われて私はフーセに蹴りを入れる。
フーセが想像以上に吹っ飛んで、こちらを目を丸くしてるの見て私は笑う、フーセも笑う。
馬だけが帰ってきたのに気づいてフーセのお父さんが探しに来る、フーセがこっぴどく怒られる、私を乗せて馬から落ちる様な走りをさせてと、ゲンコツをくらっていた。
アレ?あの時って私が馬に乗りたいって言って私が操縦してたんじゃなかったっけ?うーんフーセだった気もするなどうだったっけ?
何でこんな事を思い出してるんだろ?きっとリンちゃんと剣狼がフーセがどうのとか言っていたせいだ。
それにしてもあったかいなぁ
雪だって積もってるのに…
そうか私死んじゃったのかな?なんかふわふわしてる感じだし。
「いやいや死ぬなよ、そもそもお前が死ぬ玉かよ」
「死ぬわよ私だって。」
「死なねーよ、少なくても崖から落ちたくらいじゃな」
「何よそれ?」
「だってお前筋肉むきむきじゃん?」
「誰がむきむきダァー!!!!」
視界が開ける
「わぁ!びっくりした。」
リンちゃんが尻餅をついている。
「急に叫ぶからびっくりしましたよ、大丈夫ですか?」
「うん?えーと…そうだ!私崖から落ちて…」
「はい、剣狼さんから振り落とされちゃって、でも、バトルホークに追われてて直ぐに戻ってこれなくて、屋敷まで戻ってみんなに頼んで探すのに協力してもらったんです。迎えに来るのがおそくなってごめんなさい。」
「リンちゃんが見つけてくれたんだね」
「ええ、今見つけたら急に叫ぶからびっくりしちゃいました。」
「ほんとじゃよ、儂の鼻のおかげじゃよ!」
「そもそも剣狼のせいで落ちたんですけど?」
「儂は言ったぞ?しっかり掴まっておれとな。」
「そうわ言ってもさ、アレは無理でしょ?」
「リンは落ちなかったぞ?」
「そうだけどさぁ!」
「儂のせいでは無い。」
「でも良かったです、かまくら作って一晩しのいだんですね。」
「かまくら?」
外に出ると雪壁に穴を掘ったところに私はいた。
上手いこと穴があって転がったのだろうか?だとしたら相当運が良い。
「うーん記憶にない…」
「とにかく皆さんに知らせます。」
そういうとリンちゃんがアルテを取り出す。
「皆さんみつかりましたよ!無事です、屋敷に戻ります。」
そう言いながら弓を引く
弓から放たれた光はあちこちに飛んでいく
「今のは?」
「これです。」
アルテに会話の核がついている。
「ソフィーさんがこれに取り付けた方が使い勝手がいいからって言ってました、今皆さんにメーセージを送りました。」
アルテの能力。アルテは魔力を矢として放つことができる。試験ではヒュンゼルを矢としていたが魔力そのものを矢とする事も出来る。元々ついていた核は会話の核。会話の核は会話する相手をターゲッティングしておけばどこに行っても会話できるらしい。つまりその相手に向かって矢を放てば見えない相手でも矢を飛ばすことが可能という事だそうだ。リンちゃんが今やったのはターゲッティングしていたみんなに言葉を魔力にし飛ばして伝えるという事らしい。
「帰りましょう。」
剣狼の背中にリンちゃんが乗る
「えっ?剣狼に乗るの?」
「流石にここから歩いて戻るのは難しいので…大丈夫ですよ、剣狼さんに乗るコツがわかったんです。シルさん前に乗ってください。」
そう言われて渋々剣狼にまたがる。そうしてリンちゃんが後ろに乗る。
「これじゃぁリンちゃん前見えないでしょ?」
「大丈夫です、会話の核の力で剣狼さんの動きを読み取ります。」
剣狼が走る。
反省してスピードを落とすつもりはさらさら無いようだ、しかしリンちゃんが後ろで荷重移動を支持してくれることで体への負担が軽減される。少し楽しくなって来る
思い出す、初めて馬に乗ったあの日。あの時もフーセが後ろで馬を操ってくれてたんだ、それで楽しくなって調子に乗った私が手綱を掴んじゃって…
「そっか…そうだったね…」
「どうしました?」
「なんでもない、剣狼、早いね、すごい。」
「そうじゃろ?もっと早いぞ!」
「いえ、スピードはこのままで…。」
剣狼を止める。
今後ろに乗ってるのはリンちゃん、流石にこの子のせいにするわけにはいかないのだから…
記念すべき50部目になります。読んでくれている皆様本当にありがとうございます。




