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剣狼の願い  作者: クタクタニ
第4章 七星剣
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4-7 力の形

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーカイ

大人が少し屈むほどのトンネルを進む。

モグラ君は実は自分が見出した人では無い。もちろん通称で本名は知らない。親方の古い友人と言うことで小さい頃から知っている。情報屋として動くのが主な収入源で、このトンネルを掘る力であちこちから情報を取ってきてくれるので助かる。姫様にこれを知られたのはかなり痛手だが、手の内を明かすことで信頼を得たと考えることとしよう。カードはまだ残っている。


「もう、つく、さわぐな。」


ゆっくりと掘りすすめる、未だに寄せた土岩がどこに消えているのかはわからない、昔聞いてみたが教えてはくれなかった。まぁ飯のタネを広めるのはプロじゃ無い。


地下室の壁が現れる。モグラ君が小さなのぞき穴を作る


「ついた」


のぞき穴から中の様子を伺う。マーダン隊長が黙って座っている。


(変わってください)


イルナさんと変わる

中を確認するとイルナさんがの石壁をノックする。


コン、ココン、コン


壁の向こうから音が返ってくる


コ、コ、コン、ココ


(見張りが居るか聞きました、大丈夫のようです。)


モグラ君に合図すると壁のレンガを一つづつ静かに外していく


(隊長、お迎えに来ました)


マーダン隊長は静かにうなずく。

どうやら大丈夫のようだ。

部屋の隅にマーダン人形を寝かせ

モグラ君に合図を送ると壁を元に戻していく。


最高だ、上手く行きすぎて特訓していたのが馬鹿らしく思えてくる。


穴を塞ぎながらしばらく行く。


「話しても、いい。」


それを聞いてイルナさんが隊長に話しかける


「隊長ご無事でしたか、お怪我などはありませんか?」


「あぁ問題ない、姫様はご無事か?」


「はい、ここを抜けたところでお待ちです」


「しかしどうなっているんだ、イルナ」


「それは落ち着いてから話しましょう、長い話になります」


店の地下に戻る


「あら?問題なく成功したようね」


姫様がそういって出迎えてくれる


「姫様ご無事で何よりです、この度は私の為にお手を煩わせてしまい申し訳ございません。」


「うん、そのぶんこれからバンバン働いてもらうからよろしくね。倉庫で話すのもあれだし落ち着くところに行きましょう」


そういって姫がドアに向かい歩き出すと

マーダン隊長が倉庫にあったロングソードを手に取る


「隊長何を!?」


すぐさまに姫様に突進する


キーーン


剣と剣が交差する音、モグラ君が姫様とマーダン隊長の間に割って入り剣を止める


「隊長!!!」


「ひっ姫を…こっこっコロ…」


「城から脱出した時と同じね、条件が揃うと発動する暗示って所かしら?私がトリガー見たいね。」


この状況でも取り乱さない姫は、さも当然のように腰に手を当てて仁王立ちである。


「カイ君、イルナ、よかったじゃ無い、特訓が無駄にならなくて。さっ、マーダンを取り押さえて。」


先程馬鹿らしいなどと思ったのがどんなに馬鹿だったのかと思い知ることになった。


「たっ隊長!」

動揺するイルナさん


「イルナさん!ダメです、手筈通りにやりますよ!」


「イルナ!成長を見せるのも部下の努めよ!キリッとしなさい。」


「ハイ」


トンネルから抜けたとは言え倉庫はそこまで広いわけでは無い、出来れば姫には部屋から出て欲しい所だが…

モグラ君の後ろで変わらず仁王立ちでこちらを見守って居る。


「剣狼様行きます。」


「気を抜くなよ」


狭い空間では閃刃も一閃も意味をなさない、ゼロ距離から打てば大技にはなるだろうが相手を殺したいわけでは無いので使うことは無いだろう、まぁ、それはこちらだけなんだけれども。


「…ダァ!」

言ってる先からゼロ距離の閃刃が放たれる


これを横からイルナさんが剣を当て軌道をずらす


隊長とイルナさんが剣を交わす


すかさず横から自分もその間に入り込みイルナさんに代わり切り交わす。


「魔法剣、ヒュン」


ヴァルハラが冷気を纏う。

それを見てマーダン隊長の剣圧が上がる


「くっ、そろそろ良いですか?」


「変わります」


後ろに飛びのいてイルナさんと交代する

隊長を相手にするとなると一瞬も気が抜けない、ほぼ無呼吸で戦ってしまうので消耗が激しい。

乱れた呼吸を落ち着かせる

イルナさんは冷気を纏った剣で切り結ぶ、少しづつロングソードが氷に覆われて行く。冷たくて持っていられなくなってもおかしく無いのだが、そこはさすが隊長という所なのだろうか?


「カイ殿!」

呼ばれると同時に飛び出し、イルナさんと変わる


「マーズ」


イルナさんが今度は剣に火を纏わせる。狙いは急激な温度変化による武器破壊。ヴァルハラだからこそできる事ではあるが、流石に一朝一夕で瞬間的に魔法を入れ替える事が出来ない為の二人掛かり


「行きます。」


その瞬間にマーダン隊長に剣を弾かれ腕をつかまれる

くるりと後ろを向かされて、イルナさんに向かって蹴り飛ばされる。


払われた瞬間剣を落としたが…


「剣狼様!」


「わかっとる!」


地面に落ちる瞬間狼に戻った剣狼様が隊長の後ろの襟を加えそのまま地面に叩きつける。


「剣を落とすとは剣士にあるまじき事だぞ小僧」


「はぁはぁ、わっ私は商人です。」


「かっかっか、そうじゃったな。」


これで気を失ってくれたらありがたいのだが…

ゆっくりとマーダン隊長が体を起こす。


ですよね。


氷漬けになった剣を見て、マーダン隊長がそれを手放し、構えを取る。


「剣を落とすのは剣士にあるまじき事なんじゃ無いんですか?」


「あれは落としたんじゃない、捨てたんじゃ」


「マーダン隊長の体術ってのは聞いてないのですが?」


「隊長はなんでもできます。」


「それは…どうしましょうか?剣狼様もう1発さっきのは出来ませんか?」


「隙を作ってくれればやっても良いぞ」


「ハハ、隙を作るんですか、そいつは…かなりハードだ」


「カイ殿なんとか少し時間を作ってもらえませんか?試したいことがあります。」


「少しですか、なかなかに厳しいことをおっしゃられる…でも、やるしかありませんね。ソフィー様、お力添えを」


ソフィー様の重力制御、触れているもの重さを変える他に指定した場所から半径5メートルほどの空間の重さを変える、マーダン隊長をこれに包んでしまえば動きは止めることはできるだろうがこちらも動かないので拘束することが出来ない。しかし時間稼ぎにはなるだろう。


「お願いします。」

マーダン隊長の方だけを重く変えてもらう


「カイ殿、多分隊長はそれだけでは止まらないのでご注意を」


うわぁーソフィーに任せたら行けると思ったのに。

くそ、行くしかないのか


マーダン隊長がじりじりとこちらに近づいてくる、切ってしまったら仕方ない、そう思いつつ、ソフィの重力場のギリギリに立ち剣を振り下ろす。


当たり前の話だったのだが、考えからぬけていた。重力場に入った瞬間剣先が重くなり剣が地面に突き刺さる。次の瞬間マーダン隊長の拳が体に当たり後ろの棚に吹き飛ばされる


「いてて」


「一度ならず二度目かと思ったが…儂を離さなかったからよかったの。体を硬化してやった、でなければ死んでいたぞ、儂に感謝しろ。」


「それはありがとうございます」


「大丈夫ですか?カイ殿?」


「ええ、ですがすいません止めれません。」


「いえ、十分です。」


イルナさんの剣は再び冷気を帯びている。


「隊長!行きます。」


ヴァルハラから冷気が漏れ出している、部屋が寒い


「バインドスネーク!」

ヴァルハラから氷が蛇のようになり襲いかかる

すぐさまマーダン隊長も避けるが、氷の蛇は隊長を縛るように巻きつき体を拘束した。


「ふぅ。うまくいきました。」


「イルナさん、今のは」


「変化の核の力、剣はうまく変化できなかったけど、魔術、ましてや氷ならイメージしやすかったってことです。うまくいって良かった」


「イルナやるじゃない!見直したわ。まだそのままの状態保てる?」


「多分、30分ぐらいは行けると思います。」


「動かせる?」


「動かせますが、動き続けるなら15分ほどでしょうか?」


「オッケー」


そう言うと姫さまがマーダン隊長の側に行き頭に手を添える


「はっ!」


隊長の頭に魔力を打ち込んだようだ、そのあとパチパチと頬を叩く


「グァー姫、姫をー」


「だめね、じゃあ移動するわ、こいつ馬車に乗せて」


北へ続くトンネルに行く、


「あっリンちゃん馬車の操縦お願い、後ろちょっとうるさいけど気にしなくていいから。カイ君は休んでて良いわよ、イルナもあとで休ませたいから準備しておいて」


そう言うと荷台に氷漬けにされたマーダン隊長を乗せていってしまう。

多分洗脳が解ける距離を測ってるんだろうけど、

まさか救い出したマーダン隊長でそれをやるとは…


あの人は敵にしたらダメな人だな


とりあえず、あの姫様相手に自分の手札を増やすか全て開示するか検討する事にしよう。


また、トンネルの奥から叫び声がきこえてきた。


「よし、とりあえずお風呂の準備でもしておこう。」


私はそっと扉を閉めた。


戦闘シーンは何度書いても難しいですね。

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