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剣狼の願い  作者: クタクタニ
第3章 願い玉
33/83

3-7 ルル・ムスシタナ・ホルン

ーーーーーーーーーーーーーーーーシル

うーん、する事がない


体のだるさは無くなり

眠気も無くなったので起きている時間が伸びた

しかしながら私には特に趣味と呼ぶ趣味が無い


ガジュさんの本は森の生き物たちの生態や剣術指南書、サバイバルの本。あまり興味がない。体術指南書には少々試してみたいものがあったが、実験台(フーセ)が居ないのでは余り時間つぶしにはならなかった。


「ソフィー、暇ね?」


「そう?お散歩にでも行く?」


ソフィーはフーセから言われた自分の力の制御、重量制御の力に慣れるために特訓している


「力の制御の方はどう?」


「そうねーずっと触れているものを早くする力だと思ってたからねー軽くする、重くするってのは魔力の掛け方で変わるってのはわかったんだけど、有効範囲ってのがわからないのよ」


「有効範囲?」


「触れているものならできるんだけど、フーセに核の主導権とられた時にね、あの子飛んできた矢の重さも変えてたの、自分に当たる前に矢を重くして失速させてた、その辺がどうしたらいいかわからないのよね」


「あいつが帰ってきたら聞いて…もわからない可能性が高いか…」


「そうね〜また、ピピピとか言われそうね」


「ピピピは使ったから次はババババ!じゃないかな」


「いいそうね、ババババ…どんな感じかしら?」


「本当にね。」


そんな話をしながら湖のほとりまで来る。


風邪が冷たく感じる

そろそろ冬がくるのだろう。


「寒!」


「そろそろ冬の準備もしなきゃね、いつまでここにいるがわからないけど…」


「フーセ次第かな、いくらお姉ちゃんに相談したって、簡単に王都に戻れそうな感じもないしね。」


「あら?追われてるのはフーセだけだからシルちゃんは戻っても大丈夫じゃない?」


「目を離すとろくなことしないの、あいつは。この森にあいつ置いてったらそれこそ何が起こるかわからないもの。」


「ふふふ、そうねー、シルちゃんはフーセの事心配だものねー」


「あっまた変なこと考えてるでしょソフィー!そんなんじゃないんだからね!」


「そんなん?どんなことでしょ?」


「今だってある意味、目を離してるようなものなんだから、なんかやらかし…て?」


小屋に向かって走る馬が見える


「フーセかしら?」


「いこ!ソフィー!」


小屋に向けて走り出す。ソフィーが肩に乗ると速度が増す。


「ソフィーの力ってさ、風も感じ無くなるのね、つまりさ、輪っていうか球体の中の重さをなくしてるんじゃない?」


「そう言われてみるとそうね、なるほど、そうかも。」


小屋の前ではすでに馬が休んでいる


「フーセ?戻った…」


扉を開くとフーセが剣を振り上げている。

その前には誰かが…


「お前はなにをしてるかー!」


誰かを切ろうとしている、とにかく異常なのはわかる


フーセの胴を狙って蹴りをだす。

振り返ったフーセはすっと一歩引いてそれを交わした。


まさか早速実験台となってくれるとは…


外した足を地面につきその遠心力を使い、逆足で回し蹴りを肩口にお見舞いする。若干かかと落としになったが身長の低いフーセが悪い。しょうがない。うん。


フーセがその場に崩れ落ちる。


「ねっ、なんかやらかしたでしょ?」


「だ…大丈夫なの?フーセ?」


「息してるから大丈夫じゃないかな?それにしても…」


「この子だれだかわかる?」


「えっと…ルルちゃん…お姫様?みたいな?」


「え゛?」


「さてと。取りあえず縛っとくか」


「なっ、なんで?」


「間違いなく悪い事したでしょ?こいつ、やらかした時はこうするの。逃げるから」


フーセを柱に縛る


「ルルちゃんは…気絶?ってかんじゃないね寝てる?おーい、ルルちゃん!」


ペチペチと頬を叩く


「ちょっ、シルちゃん、お姫様にそんな事!」


「痛い、痛い!何?」


「あっルルちゃんおはよー」


「もしかしてシル?おっきくなったね〜」


「ルルちゃんもでしょ?久しぶり〜」


「あれ?ココドコ?私部屋で寝てたはず…」


「えっとトルダワ湖。私もよくわかんないんだけどそいつが連れてきた」


フーセを指差す


「…だれ?」


「だよねーあいつはフーセ、私の引越し先の近所の子、なんでだか急に意識のないルルちゃん連れてきた

からとりあえずぶっ飛ばしてみた。」


「とりあえずってシルちゃん…」


「フクロウが…しゃべ…ってことは貴方が小烏丸さん?」


「…出来ればソフィーって呼んで、にーさんね小烏丸とか広めてるの。」


「貴方が指示したの?」


「指示?なにを???」


「貴方がフーセ君を操りの核であやって王都を襲ったという事になってるんだけれど。」


「操りの核ですって?何処から…ってにーさんしかいないわね…にーさん、なにを考えているの…」


「これは…状況の確認が必要みたいね」


〜〜〜〜〜〜〜〜〜


「うーん、そうかーだいたい分かってきた」


「分かってきた?」


「はいシルちゃん今わからないことは何でしょう」


「なんでこんな事になってるか」


「もうちょっと詳しく」


「なんでフーセが魔獣に襲われなかったのか?」


「そうね、それもあるね」


「あの魔獣たちは何だったのか?」


「そうね、話から聞く限り魔獣達は王都を狙って襲ってきたのは間違いないわ。一個小隊ぐらいの数…シルちゃんなら王都を滅ぼそうと思ったらどれくらいの魔獣集める?」


「うーん、王都を全部囲めるぐらいかな」


「そうよね、あの襲撃にはあまり意味を見出せない」


「じゃあ何のために?」


「そうそれ、魔獣が意思を持って行動したなら必ず誰かがやった事。イタズラじゃ済まされない。何か意味がある。」


「フーセを犯人にしたかった?」


「それもあるかもしれないけど、脅威があるという事自体に意味が有ったんじゃないかって私は思う」


「どういう事?」


「うちの国は平和な国よ、もちろんコソコソ悪い事する人達もいるけれどそれはどうしたって出るもの。それに関しては国がどうのこうのする問題でもない。犯人は脅威が有ると国に知らしめたかった」


「そうすると何かある?」


「うーん平和じゃなくなる、仕事が増える…もしかしたら私と同じような考えを持った人がいるのかもね…」


「同じ考え?」


「まぁ憶測だから何とも言えないね、とりあえずフーセ君を起こして話を聞いて何でこんな事したか聞いてみたほうが早いかもね」


フーセはまだ柱に縛り付けたままの状態で気を失っている


「それもそうか…」


ペチペチ叩いてみる


「起きない…」


「シルちゃん結構激しくやったからね〜」


台所に行きバケツに水を入れフーセにかけるとビクッとして反応する


「あっ起きた!」


「もうちょっと優しくしてあげてもいいじゃない?」


「だって起きないじゃん」


「いてて、冷めて!…ん?何だこれ?」


「起きたかフーセ?」


「あれ?シル?あれ?何で?」


「フーセ!一体どうなってるの?なにしてんの貴方は?」


「ソフィー、いやむしろ俺もどうなってんのと聞きたいんだけど…つーか、なんで俺縛られてんの?んでなんでびちょびちょなのさ」


「あんたルルちゃん切ろうとしてたんだけど?」


「ルルちゃん?…んーーどっかで聞いた気が…」


「私ですよ。ルルちゃんです。」


「あっどうも、フーセです。…えっと…だれ?」


「お姫様!」


「えっお姫様!?」


「そうよ、私お姫様。」


「またまたー、なんでこんなところにお姫様が…」


「なんでってあんたが連れてきたんでしょう?そもそもお姉ちゃんに会いに行ったんじゃないの?」


「そうだ!ファル姉に会いに行って…会って……どうしたんだっけ?」


「あんた一体なにしに行ったのよ!」


「成る程ね、だんだん読めてきたわ、ソフィーさん、操りの核の事教えてくださる?」


「操りの核の事?わかったわ。」


「操りの核は言葉の通り操る能力。人の思考を捻じ曲げて命令を聞かせることのできる力があるわ。単純に凄い力なんだけど、その力は大きくて使い手にも影響が、及ぶの。理性が効かなくなるって感じね、欲望がむき出しになる為にある意味では本人でも制御ができなくなるって欠点があるわ。100年前の大戦も七星剣は操りの核を持つものとの戦いだったの。」


「具体的にどの程度操れるの?」


「命令次第ね、死ねと言えば死ぬわ。ただ命令を聞かせる為には相手に触れて魔力を流し込みながら相手に命令を理解させなきゃいけない。気をつけていれば突然操り人形って事にはならないわ。」


「何人も操れるの?」


「何人まで出来るかってのはわからないわ、少なくても複数人同時に操る事は可能だと思う。」


「操られた人間を元に戻す方法は?」


「わからないわ、気絶とか意識を失ってとかで治った者もいたけれど治らなかった人もいたわ」


「質問を変えます。貴方達、最近ファルちゃんの様子何かおかしくなかった?」


「まさか…ファルちゃんが操りの核を…」


「お姉ちゃん、ルルちゃんを殺すとか口走ったって…」


「いやいや、あれは冗談だろ?」


「ファルちゃんが私を殺すって言ったの!?」


「いや、それは冗談で…」


「その時どんな顔してた?」

ルルちゃんが小刻みに震えている


「ねーちゃんが?…えっと…凄く怖い顔してた」


「ホント…?私の事を殺したいって…怖い顔で…」


「姫さま?」


「やだ!その顔すごく見たかった!!私の事をそんなに意識していてくれたのね!」


「えっ?」


うわールルちゃん変わってなかった〜〜


「この間謁見に来た時もね、涙目で私の事をキッと睨んでね、悔しそうな顔と泣き顔と怒った顔がね全部混じって…すっご〜くすご〜く可愛かったの!!!」


ルルちゃんがモジモジし始める


「もうあの時の顔思い出すだけで…もう…私…もう…」


「うわぁぁぁ〜〜」


あぁフーセも流石に引いている


「あの顔また見たいわ〜もうちょっとで抱きしめちゃう所だったもの、あの顔に触れたい」


まだ続いてた


「シル、このねーちゃんは女だけど女が好きなのか?」


「違うわ!違うわよフーセ君。私は男の子も好きよ、いいえ違うわね、人間が好きなの。その中でファルちゃんを見るのが特に好きってだけよ。間違えないで!」


「はっはぁー」


「コホン、まぁ冗談はさておき」


冗談?どこが?


「今お城で聞いた話と貴方達から聞いた話をまとめるとファルが操りの核を持っている。ってのが有力かな。操りの核の力でおかしくなって来ている。ってのも有力ね、でもなきゃ私に推察される事自体、あの子にしてはお粗末だもの。」


「まいったな、ファル姉にシルを治す方法調べてもらわないといけないのに。」


「?シルちゃんどこか悪いの?」


それからルルちゃんに私たちが持つ核の話をした、


〜〜〜〜〜〜〜〜

「それで、シルは核になろうとしてるのを俺が魔力を充填して遅くしたんだけど、少しづつだけどシルが核になってるからそれをなんとかする方法をファル姉に調べてもらいたいんだ」


「ファルちゃんなら調べられるの?」


「ファル姉の賢知の核の力なら書いた事が事実か違うか調べられるみたいなんだ、その力ならきっと…」


「そう、書いたらなんでもわかるのか、逆に書かれなきゃ分からない…マルかバツか…ん?曖昧なのはどうなるんだろ?微妙だな…」


「姫さま?」


「あぁルルちゃんでいいよー、シルちゃんの恋人ならお姉ちゃんでもいいわね」


「恋人じゃない!」×2


「あら?そうなの?今までの話を聞いてるとそうなのかなって思ったんだけど…まぁいいわ。」


「違います。幼馴染ってだけです。」


「…そうだ!」

フーセが遅れて相づちをうつ。


「それにしてもファルはともかくセリス君も核の事ナイショにしてたのね」


「操りの核の事知ってたから知ってると思ってたわ」


「まぁ剣をよこせって言われたから核もよこせって言われないように伏せたのかしらね…」


ルルちゃんが大きく伸びをする


「さてと私としてはファルちゃんの悪事を解明してファルちゃんを死刑にするってのは避けたいと思っているわ、貴方たちは?」


「お姉ちゃんが死刑!?」


「そうね、操りの核の事があろうと犯人はファルちゃん。でもファルちゃんの悪事を暴かないなら、フーセ君。君が死刑かな、わたしもさらっちゃってるしね。」


「俺はいいよ、ファル姉が死刑なんて…ダメだ」


「そう。じゃあ貴方このまま捕まる?馬でここまで来たんでしょ?足跡とか臭いとかでここに兵士が来るのは時間の問題だと思うわよ。」


「それは困る。シルが治せなくなる。」


「ソフィーは?ちなみにフーセを操ってるのはソフィーって事になってるしソフィーも封印とかどうにかされちゃうと思うけど。」


「それはいやね。私はフーセもファルちゃんも助けたいと思うわ、操りの核を見つけ出して国に納めたらなんとかならないかしら」


「それは多分無理ね。物ではなく誰かが必要になるわ」


「シルちゃんは?」


「私は…ただ、お姉ちゃんが悪いことしたなら償わないといけないと思うけど死んでほしくはない。フーセは……バカなのが悪い…」


「なんだよバカって」


「そう…まぁじゃあ。私に協力して、みんなまとめてなんとかしましょう。」


「なんとかなるの?誰かが死刑になるんじゃないの?」


「私を誰だと思ってるの?ルル・ムスシタナ・ホルンよ!みんなが幸せになるようにして見せましょう。」


「どうやって…」


「っじゃ、その辺詳しくお話ししましょう。シルちゃん喉渇いちゃった飲み物ないかな?あとちょっとお腹空いちゃった」


「はーい、何か持ってくるね」


流石ルルちゃん。お姉ちゃんへの歪んだ感情は相変わらずだけど頼りになるな〜


「シル〜俺の縄いい加減解いてくれ〜〜」


「今忙しいから後でねー」


フーセが縛られてると落ち着くって言うのは

私もルルちゃんのこと言えないのだろうか…


…これは話が別か。

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