表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
剣狼の願い  作者: クタクタニ
第2章 王都
20/83

2-8 疑問の戦場

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーセリス


流石にかしこまった服で戦うわけもいかず城で予備の鎧を借り受ける。


「ファル、お前まで騎士団に入ることは無いだろ?」


「あら?いやなの?」


「俺が稼いで、家を任せるつもりだったよ」


「私はね、心配性なのよ、特にルル!あの子がいるんじゃ落ち着かないわ」


「気は強そうだけど、優しそうな人だったじゃないか、姫さまって感じで」


「ほら!もう騙されてる、あの子、昔っから人のものをすぐ欲しがるの今日はすぐ引いたけど絶対何か企んでいるんだから!」


「俺と出会う前になるだろうから、かなり昔のことだろ?姫さまと会ってたのって」


「人はそんなに簡単に変わらないわ、逆に今日引いたところを見るともっとひねくれたに違いないわ」


「姫さまだぞ?」


「気をつけて」


「気をつけるったってなにを?」


「き・を・つ・け・て・ね!」


「…はい」


城を出て東門に向かう

隊長であるマーダンは俺らに構っていられず、代わりに部下を1人預けてくれた。


「両名、私は第2部隊のイルナです。よろしく」


フーセよりも背の小さな…女の子である、しかし騎士団所属ということは少なくても同い年以上…


「私は現在、あばらの骨折により事務勤務をしている戦闘の力にはならないのであしからず」


「そうなんだ、無理しないでね」


そういうと、顔つきが変わる


「上官に向かってその口の利き方はなんだ!?セリス!お前は現在、仮とはいえ王国騎士である、市民に誇れる態度をとれ」


「はっハイ!」


「ファル!お前は魔術師だ!本来第2部隊ではなく第3部隊となる。しかし非常時だ、私の下ついてもらう、いいな!」


「はい」


「よし、お前らに与えられた任務はこの東門の死守だ、何をおいてもこの門より先に敵を通す事は許さん、死んでも守れ。」


「はい」


「上官質問が有ります」


「なんだ、言ってみろ、ファル」


「もちろん死守するつもりですが、私たち2人だけですか?」


「そうだ、何か不満か?」


「不満は有りません、が死守する人間が2人なのは問題があるのではないでしょうか」


「上官に口答えするか、しかしお前らは新参だ答えてやろう。現在、敵、約一個小隊は我が第2第3部隊から出した3小隊に加え大会に参加していた国民の有志の戦士達とが戦っている。お前らに出番が来る事はまずないだろう。しかし、ここを守らない理由にはならない。わかったか」


「はい」



「あそこにいるの昨日の優勝者2人だぜ、騎士団に入ったのか!」


「セリスさーんこっちみてーー」


城門の上からキャーキャーワイワイ聞こえてくる


上をみあげてファルが口を開く


「沢山の兵士をここに置くと住民に不安が生じる、かといって置かないわけにはいかない、そこで私たち昨日の優勝者2人がここにいる事で不安を取り除くという事ですね」


「そっその通りだ。私もわかっていましたよ」


「これは…ここにいるだけになりそうだな…」


「儂のランチ…」

剣狼様のお腹の音が聞こえて来そうだ…


「なにも無いに越したことはないわ」


東の空を見上げる、遠くに煙が見える、戦いは始まっているようだ…

それを見つめてふと不安がよぎる


「まさかとは思うけど、フーセあっちいってないだろうな?」


ファルの顔が青ざめる


「今日、負けた子と再戦申し込むとかいってたけど、城門の外でやってたとしたら…」


「…やばいな」


「まっまさかね、シルちゃんやソフィーだっているんだから…」


「頼むから首突っ込むなよ…」



はや馬が来る、イルナ さんと何か話したあと、はや馬はそのまま町に入っていく


「敵に動きがあった、魔獣と戦っていた一般人の中に魔獣を操っていただろうものを発見。判明したのは1人。魔獣がその者を守ったようだ。そのものは逃亡、まだ伏兵がいる恐れがあるため、王国騎士以外は戦いから離脱させるが身元の特定をするまで町に入れるなとの事だ。

これから城門に前に取り調べのテントが立つ。

中には逃げ出したり強行突破しようとするものがいるかもしれない、いた場合捕らえるように。」


「はい、了解しました。」


イルナさんは町から来た兵士達に指示を出しに行く


「これでもしフーセ達が居たとしても安心だな、今戻って来てこの格好見たら羨ましがるだろうな」


「…」


「ファル?どうした?」


「なんでもないわ、案外俺も戦う!って騎士の人たちを困らせてるかもね」


「あぁ!その可能性の方が高いな」



しばらくして一般の兵士たちがもどってくる

…しかしフーセの姿はなかった…


「心配するだけ無駄だったか、町の中で遊んでるかもな」


テントの前の行列が無くなる前にどうやら魔獣討伐も終わったようでマーダン達が戻ってくる

テントの方に行って出てくるとこちらに向かってくる


「暇をさせてしまったな」


「いや、騒ぎが大きくならなくてよかった」


「脅威はほぼなくなったが、まだ、恐らく魔獣を操っていたものが逃亡している、お前馬は乗れるか?」


「宿に俺の愛馬がいるよ」


「ふむ、しかしそれは待ってられんな、馬を一頭貸してやる、俺は逃亡した者を追いかけている兵士に合流しに行く、お前もこい、体力あまってるだろ?」


「あぁもちろん」


「私も…」


「ファル君はまもなくマーリンがくる、あいつの指示に従ってくれ」


イルナさんが馬を連れてくる


「私の馬を貸してやる、隊長の馬にも負けない足だ」


「いい目をしていますね、お借りします。」


「では、いくぞセリス!ついてこい」


「あぁ、飛ばしてくれ」


「気をつけて!」


ファルの声に手を上げて答える



「たしかにいい馬だ」


乗り手に気を使える馬

「俺に気を使わなくていい、自分らしく走っていいぞ」


わかったと言わんばかりにスピードにが上がる


マーダンに追いつくと走りながら説明される。


「魔獣との戦闘中、一般の物がはなった矢が他の戦士に当たりそうになったらしい、その時魔獣がそいつを守ったそうだ」


「味方のふりをして紛れ込む、成る程、あり得る話だな」


「そのものは魔獣を残し身を守った魔獣を抱えて東の森へ逃亡、部下がそれを追っている」


「俺たちは追いつくのか?」


「俺の部下達をなめるなよ、足止めぐらいできるさ」





東の森に着くと兵士が1人待っている


「隊長!報告します、逃亡した1名は足を負傷しているので早くは動けないでしょう。以前森の中を逃亡中南は抑えました」


「お前は引き続きここで待機」


「セリスお前はこのまま森に入らず森沿いに北を目指せ、大きな川があるからそこで待っていろ、そこに追い込む、殺すなよ。」


「了解」



馬を走らせて行くと大きな川にぶつかる、ここで待つか。


「剣狼様、手加減はお任せしてもよろしいですか?」


「剣使いが荒くなって来たのセリス」


「私はどうやらこの先剣狼様以外の剣を振るうことはなさそうなので、頼りにしてます。」


「そうか…それもそうじゃな…いいだろう力を貸してやる」


森の奥の方でかすかに声が聞こえる


「そろそろ来ますね」


森からフラフラと人影が見える


「まて!ここまでだ、大人しく捕まれば殺しはしない」


木の陰から姿を現わす


「にいちゃん…」


なっ!?なんで!?


「フーセ!」


慌てて駆けよろうとするが


「まてセリス様子がおかしい!」


剣狼様に止められる


「…だ…俺の……みんな…しん…」

フラフラと歩きながらブツブツ何かを言っている


「フーセ、何があったんだ!」


フーセが両手で抱えていた大きな動物を下ろしてこちらを見る

「シルが…た、俺が…した…おっちゃんも…」


「何を言ってる?」


再び近づこうとすると


「まてと言っている、小鴉がまだ剣のままだ…それにワッパのもう一本の剣、あれは飛燕!」


「にいちゃん!俺を殺してくれ!もうだめだ…ダメだダメだダメでダメでダメだダメダメダメダメ…」


「殺せ?落ち着くんだフーセ、そんな事できるわけないだろ、俺がなんとかしてやるから」


「俺が弱いから…みんな死んじゃう…」


「声が届いてないのか?」


「そっか弱いと殺せない、弱い?俺強いよ…」


次の瞬間、目の前に剣が有った


とっさに剣で払う


「速い!」


「ゥワァーーーーー!!!!」


フーセの剣撃が止まらない


剣狼様の硬化の力により何とか致命傷にはならないがかなりもらってしまう


「くっそ、どうしたら…ソフィーさん!どうなってるんですか!?」


フーセの剣は何も答えない


「にいちゃん、俺を殺してくれないの?にいちゃん…助けてよ…助けてよファル姉……シル!…シルーシルーーーー!」


剣撃がさらに加速する


「セリス距離を取れ湖月だ!」


「フーセ!堪えろよ、湖月!」


「遅いよ、にいちゃん…」


フーセの体に当たると思った瞬間

フーセは自分の隣にいた、


「な!」


腕に打撃をくらい剣を落とす


「セリス!小鴉お前何のつもりだ!」


「ケンローは、黙ってて」

フーセがすかさず剣狼を拾い地面に突き刺す


「こうすると変身できなくなるんだよね?」


フーセがゆっくりと振り返る…泣いている…


「にいちゃんも…もういいや…」


ドスンと強い衝撃を受けると目の前が真っ暗になる……


なにが………


………

……



「…ス、…セリ…セリス!無事か!セリス!」


目の前にマーダンがいる


「いてて!なにが…そうだ!フーセ!フーセは?」


「フーセ?俺が来た時にはお前がここで倒れていた、逃亡者にやられたのか?フーセ、誰か知っているんだな」


起き上がり周りを見渡す剣狼様が地面に突き刺さったままだった。

直ぐに引き抜く

「ワッパやりおったなくそ!」


「剣狼様…」


「見事にやられたの、お前を気絶させて馬に乗って行ってしまった」


「追いつけますか?」


「無理じゃろうな…」


「いったいどうなってるんだ…訳がわからない…」


マーダンが馬を連れてくる

「仕方あるない、ひとまず城に戻るぞ。話はそれからだ、後ろに乗れ」


「あっあぁ…」




フーセが乗って行った馬の足跡の続く方を見る


「雨が降るな…足跡は直ぐ消えてしまうか…」


なにが起こったのか、どうしてフーセは…


分からないことが多すぎる


俺はどうしたらいい…


「風が出てきたな、急ごう嵐が来る」


空と同じように、

自分の頭の中も黒く淀んでいくようだった。







評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ