表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
剣狼の願い  作者: クタクタニ
第2章 王都
18/83

2-6 記憶の力

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーセリス


「今、私は聞こえてしまいました!会場にいる他の方にも聞こえたなら間違いありません、セリス選手の持つ剣が剣狼!伝説的英雄!勇者パルが振るった伝説の剣!剣狼!!!今年の武術祭、決勝にて盛り上がって来ました!」


歓声がひときわ大きくなる


「さて相手が剣狼を持つものとなると、私も全力で向かわせてもらいますよ」


「お師匠、直刀に戻してください、曲刀は慣れてないので間合いが狂います」


「わかった、儂もなんとか思い出すからしのいでくれ。」


これは、あまり剣狼様の記憶に期待はできなさそうだ…


「行きますよ」

緩急をつけた動きでまた間合いをつめてくる


「一閃乱舞!」


無数の一閃を放つがかわされる


「ならば閃刃乱舞!」


交わされなくはなったが弾かれる


「あんまりブンブン振り回されると集中できん!」


剣狼からクレームをうける


「そんな無茶な!」


「パル様の剣を使ってその程度ならばその剣、私によいただけませんか?」


「一刀閃刃!」


再度間合いをとる


「セリス選手、多彩な技を出しますが!クーマーダン選手これを一蹴!!!効かない!さあ!どうするセリス選手!!!」


剣狼様の記憶、パル様の記憶…戦いの記憶…記憶の…記憶の核…記憶を呼び出しながら戦えるか?…


核がある辺りに魔力を込め剣狼を握りしめる


「これじゃない…」


「今度はこちらからも行きますよ、閃刃!」


閃刃をかわす時、剣狼から記憶が流れてくる


「まだまだ、一閃乱舞!」


また、記憶が流れてくる、パル様の記憶…昔経験した事を剣狼様が瞬間的に思い出してる記憶か!?


記憶と今が重なってくる


避け方、弾き方、剣の振り方…こう?


「閃刃」


今までよりもスピードが増した閃刃がマーダンにあたる


「なに!?早くなった」


「おっと!ここでセリス選手の攻撃が始めて当たった!」


「ちがう…もっとコンパクトに…」


「セリス…いやこれはパルの…」

剣狼に声をかけられるがその声は届かない


「そうだ、もっと見せろ!」


マーダンが距離を詰めてくる


その脚さばきにセリスの脚が付いてくる


「面と線と点…」


「ついてくるだと!」


両者の剣撃か交差する


「剣狼!曲剣!」


返事もせず剣狼が曲刀に変わる


「湖月。」


曲刀の面で放つ衝撃にマーダンが後方に飛ばされる


「一閃乱舞。」


四肢を一閃で貫き動きを止める、


「剣狼、線」


「まて!セリス!」


「線!!!」


剣狼に向かい怒鳴る


剣狼は直刀になるのを見て、魔力を剣に集中する


「まて!セリス!いかん!」


剣狼から記憶が流れてくる、湖月から一閃乱舞、そして一閃光刃、相手の首を貫いて間合いを詰め切り落とす…転がった首と目が合う…髪は短いが…ファル?


「ヴっ!うぉえ」


技の発動が止まり嘔吐する

なんだ今のは!ファル?いや…ちがう…


「おっとどうした!セリス選手!反撃したと思ったら動きが止まったぞ!何かあったのか!」


「セリス、いや今の動きはパルのものだった…なにをした?セリスなのか?」


「ええお師匠、間違いなくわたしですよ、記憶の核を使いました。現実と記憶が混ざり合って訳がわかりません、どうなってますか?」


「パルが生き返ったかと思ったわい、そうか記憶の核の力でパルの動きとシンクロしたと…飲み込んで使用するとまた違う働きがあるんじゃな。」


「違う働きってわかって飲ませてるんじゃないんですか?」


「理の核で最も効率よく魔力を充填する方法をさとっただけじゃからな、ぼちぼちワッパにメリットデメリット調べさせるか?あやつが言語化できるか怪しいがの…」


「そんな無責任な…ともかく今は試合を終わらせましょう」


倒れ込んだクーマーダンを見る、なんとか立ち上がってくるが両手両足に与えたダメージはかなり大きそうだ。


「無理をするな!負けを認めろ」


「負けを?はっはっは、そんな勿体無いことするくらいなら先ほど首をはねて貰った方がまだ幸せですよ、全力で戦える、目指していた英雄の剣技と…まだ私は立っている、剣を振れる、あなたを見ている!さぁ行くぞ」


どう見ても立っているのがやっとの状態なのに審判は止めない…男ならそうだよな…この気迫になにも感じないなら、剣士じゃないな


おそらく手で押しただけで倒れるであろう相手だが、ここで優勝するにはそれでは誰も納得しないだろう


「剣狼様、手加減を託して良いですか?」


「よかろう、お前は持てるものを全て捧げ」


目の前に盾刃を1つ作る


剣に魔力を込める


「行くぞクー・マーダン!」


「こい!セリス・ガルデニア!」


「止刀光刃!!!!!」


まるでそれは光の槍だった


伸びて行く光の槍はクー・マーダンを場外まで吹き飛ばし止まる


「すまんのセリス、少し柔らかくしすぎたかもしれんわ」


「いえ、私は全力でしたから、問題ないです。」


「優勝は!セリス・ガルデニア選手!」


声援が起きる


フーセ、シル、そしてファルが駆け寄ってくる


「にーちゃんすげーよ!」


「セリスさん!かっこよすぎますよ!」


「セリス!!!」


ファルが抱きついてくる


「おめでとう!」


頬にキスされる


「おい!ここは口じゃないのか?」


「いやよ!私のファーストキスを苦いかんじにしたくないもの!」


「にーちゃんさっきゲロったもんな!」


そうだった…


「いいじゃない!せっかくだから結婚式まで取っておきましょう!」


「!!そうだな!結婚しようファル!!」


「ハイ!」


「おっと!結婚が決まった!!!式はいつだ!ハネムーンはどこに行く!そういや家はどこに建てるんだ!

かつてここまで盛り上がった決勝は有っただろうか!おめでとう!あーもう私も結婚したい!!」


実況は訳が分からなかったが会場全体が大盛り上がりだった。なんとか群衆をかき分けて控え室に戻る。


この後あまりの盛り上がりに会場が収集つかなくなり、表彰式が終わる頃には既に宴会場となって、なぜかたくさんの人に試合の感想や、お祝いの言葉や、ご祝儀をくれる人までいた。


「なんかもう結婚式みたいだね」


「やーよ、ドレスも着れない結婚式なんて」


「後で街でドレス見に行こうお姉!」


「俺もいくぞ!」


「貴方は式までのお楽しみだからだーめ!」



この夜は疲れてるはずなのに笑って、騒いで、たくさん話した。

宿に戻ると支配人に挨拶され


「今大会は未来永劫語られるほどのものでした是非お二人にはこの部屋に泊まっていただきたい、ええもう!お代は結構です。」


強制的に俺とファルはスイートルームに招待された


「お連れ様はこちらへ」


とシルちゃんとフーセはそこそこの部屋に案内された


「なんで私がこいつと相部屋なのよ!」

シルちゃんは怒っていたが

「良いわよオネーとセリスさんはもう休んで、後はなんとかするから!あっフーセこら寝るな!」


バタンと閉まる扉見ているとファルに手を握られる


「せっかくだから行こっか、スイートルームだぞ!」


「そ…そうだな」


「広いなぁー、見てみてベッドおっきーー」


はしゃぐファルを見ながら扉を閉める

手が震えてる?


「ほらセリスもこっちおいでよーこんなにすごい部屋がタダだよ!ヤッタネ!」


「家建てるとき、こんな部屋にするか?」


「それはーダメー!これはスイートルームだから良いんです!」


「だったらどんな感じが良いんだよ?」


「あんまり広いと理由を付けてくっつかないといけないじゃない?」


「えっあっまっまぁそうだな」


「さっ私はシャワーを浴びてきます!上がってくるまでにくっつく理由を考えておいてね!」


ファルが奥の部屋に行ってしまう


自分は…


「ぉぃ」


「くっつく理由を!」


グヌォァぁぁぁ!!!!!



「ダメだ聞こえておらん、完全にわしがおる事忘れておるな…どうしたもんかの?」


明日は国王と謁見の日


夜は更けていく。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ