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剣狼の願い  作者: クタクタニ
第2章 王都
17/83

2-5 決勝戦

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーファル


「マーズメル」


巨大な火球はクー・マーリンに、ぶつかり火柱となる

「これは!大丈夫か!?クーマーリン選手、これは完全に火だるまだ!これはやばいんじゃないか?審判止めないのか!水だー水持ってこーい!」


「これがーマーズメル!そしてこれが私の体!」


火柱が蒸発するようになくなり、ところどころ黒くなった体でポージングをするクーマーリンがそこにいた。


「すごい!クーマーリン選手耐えた!耐えきりました。こうなってくるとすごい体!いやすごい筋肉だ!筋肉は嘘をつかないとはよく言ったものだ!凄すぎる!」


「耐えてくださいと思ってたんですが、見事に耐えられてしまうとそれはそれで困りました…」


「私もね、相当やばいと思ったわ、受けてみてわかったわ、改善点がいくつかあるわね」


「念のため聞きますけど続けます?決勝」


「貴方、あとで協力するからマーズメル完成させなさい」


「はい!それはもちろん。」


「じゃぁ貴方の勝ちでいいわ」


「決着!優勝はファル・ファリーゼ選手!」


歓声が起こる、勝てた…というよりは新術に免じて勝たせてもらったというところだけれど、今は素直に喜ぼう!大きく手を振って歓声に答える。


「おねーちゃーん!」


シルとセリスが駆け寄ってくる


「私勝ったよー!」


抱きつこうと思った時何故か目の前が真っ暗になる

思ったより消耗してた?


「おねぇちゃん服ぼろぼろ!色々見えてるんだからぴょんぴょんしないで」


袋をかぶせられていた…


セリスが袋に穴を開けて顔を出してくれる


「ファル!おめでとう!俺も続くからな!とりあえず今は着替えてくれ」


「うん!勝ってね!」

改めて抱きつこうとしたが袋から手はまだ出せなかった。


「セリスさん!おねーちゃんは任せて決勝の準備に行ってください。おねーちゃんには言うこといっぱいあるからね覚悟して!」


なんともカッコつかない勝利になった…

なんだかなー思ってたのとは違うなー

とりあえずセリスの優勝の時にもっと感動的にしよう!うん!


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーセリス



「セリスさんですよね?準決勝見てました、初参加なのに決勝なんてお強いんですね?どこかで剣術ならってたんですか?」


控え室に入る直前に声をかけられる


「村でそれなりに教わってたよ、ところで君は実況の人だよね」


「わー覚えてくれたんですかーありがとうございます!……ちっ」


「術師の決勝ではあの放送で酷い目にあったからね、身内に実況で報告することになるとは思わなかったよ」


「えー!まだ言ってなかったんですかー」


「大方こうやって試合前にファルが口を滑らしたんだろ?これ以上あれやこれや言われるのは勘弁だよ。」


「何言ってるんですか!婚約者同士でダブル優勝なんて素敵じゃないですか!もうそのまま結婚でしょ?」


「いやまだ結婚とは…一緒に住もうと言ってるだけで…」


「もう結婚しちゃってくださいよ!その方が盛り上がりますし!って無理強いはできないですね…ごめんなさい。こんなに話題のある決勝なんて珍しいですから…ここ数年はクー兄弟の圧勝で、決勝もあっという間に終わっちゃうから盛り上がりにかけてたんですよね」


「クー選手の試合は全然見れてないんだけどそんなに強いのかい?」


「ええ、そろそろ王様直属の第1部隊に入るとも言われてる人ですよ、3人の直属の人たちは出れないから国のNo.4といってもいいと思います。戦闘スタイルは私が話すとフェアじゃなくなるのでごめんなさい。」


「いや、十分だよ、とりあえず最初から全力で行かないとやばい相手ということだな。」


「あっこれは独り言ですが、どの相手も大抵一撃目でほぼきまってるんだよなー実況泣かせなんだよなー盛り上がるといいなー」


ブンブンと手を振って行ってしまった


「初撃か…どう思います?剣狼さま」


扉を閉めて話しかけると剣狼様が狼の姿となる


「一撃となると抜刀術の類かの?相手は王国戦士なのだろ?王国剣術を使うと考えればある程度は予想できるんじゃないのか?考えてみい」


「一閃光牙でしょうか?」


「その可能性が高いの。まぁ仮にそうだとしてどう防ぐ?魔力を練って刃に集中させ開始の合図と共に放っているのではないか?」


「剣狼様の力で防げますか?」


「ふむ、儂の刀身を光刃に合わせることができれば軌道をずらすことは出来よう、なんじゃ儂をたよるのか?」


「剣狼様は私の持つ剣でもあります。剣を使いこなすのが剣士。使いこなせないならば剣狼様を持っている意味がありません。」


「ふむ、よかろう使いこなしてみせよ」


コンコンとノックされる。


「セリス選手、少年の部門が終わりましたので準備をおねがいします。」


「はい」


剣狼様が剣に戻る


「おい!セリス」


「優勝したらゴウジャスな鞘にしろ」


「俺もそう思ってました。」


通路を抜けると大歓声に迎えられる


「にーちゃーん!勝てよー!」


「セリスさんファイトです!」


よしよしフーセも復活したか。ふと隣のファルを見る

手を握りしめてこちらを見ている。


「勝つ!」


拳を振り上げて自信を奮い立たせる


武舞台に上り相手を待つ


すごい声援だと思っていたのに更に上の歓声が起こる!


「なっ!」


クーマーリンから想像して超絶マッチョが来るかと思いきや、自分より背の低い青年が歩いてくる、お兄さん?なのか?


「両選手が揃いましたので両選手の紹介をさせていただきます。」

「まずは東口、この人に説明が必要でしょうか?大会4連覇、少年の部門から合わせると今年勝てば10連覇、王国第2部隊、隊長!クー・マーダン選手です。弟のマーリン選手は術師の部門で準優勝、今年はダブル優勝ならず、雪辱をはらします。」


「続いて西口、今大会初参加にして決勝に残ってきた、今大会の新しい風、タアキ村から来たセリス・ガルデニア選手です。なんとセリス選手は術師部門優勝のファル選手の婚約者、2人で優勝して優勝賞金で2人の新居を建てるそうです。絶対に勝つ!ファル見ていてくれ!と意気込んでおりました!」


「なっ!」


完全にやられた!


「なるほど、それは勝たせてあげたいところですが、残念でした、来年は私でませんから来年頑張ってください。」


「いえ、彼女をあなたの隣で王に謁見させるつもりはありませんよ。」


「なるほど、自身がおありのようだ。楽しい試合にしてください。」


魔力を練り始めたな…


ドラが鳴り響く


「はじめ!」


「まずはこれを防いでみろ!いくぞ、一閃光牙!」


「ここだ!」


狙われた右膝を剣狼で剣撃をずらす。


「お返しです、一閃光牙!」


「なるほど。」

自分と同じように剣撃をそらされる


「なるほど、王国剣術の使い手でしたか。一閃光牙を使えるとは誰に教わりましたか?」


「…パル様だよ」


「パル様ですか…そうですね、私もパル様にならったようなものですね。どうやら今年は楽しめそうだ」


「おっと!セリス選手ここ数年の大会で初めてマーダン選手の初撃を防いだ!更に同じ技をかえす!今年の決勝は何が起こるぞ!」


「では剣士らしく接近戦と参りましょう」


ゆっくりとマーダンがこちらに近づいてくる


(セリス迂闊に技を出すなよ、狙われているぞ)


小声で剣狼が声をかけてくる


「わかってます、振り上げた瞬間にやられそうだ…ならば…」


踏み込もうと足に力を込める…その瞬間!


「はやい!」


まだ間合いの外と思っていたが一瞬で懐に入られる


「よく防いだ、もっとだ」


マーダンの剣は止まらない四方八方から刃が襲ってくる。


「ぐっ」


「おっと!クー・マーダン選手ラッシュ!ラッシュです!セリス防ぎきれるか!はやい、早すぎる!」


「いいぞ、よく見えてるぞ、ほら次は下段も増やすぞ」


下段を、受けてそのまま相手に剣を滑らせる

がすでにそこにマーダンはいない


自分の間合いの外まで離れられる


「よしよし、ようやく反撃できるようになったか、嬉しいよ私と剣を交わせる相手がいてくれて。1番隊に入ればきっと自分に答えてくれる人がいると思っていたが、セリス君ありがとう。」


「ここから盛り返しますよ」


「そうだね、さぁ君をもっと見せてくれ」


動きがはやいと言うより気づくと目の前にいるという感じだ、自分が動きの緩急の差について行けていないんだろう。だったら!


準決勝ので使った、剣撃を留める技を使い剣撃の盾を作る


「ふむ、盾刃ですか、素晴らしい。ヒルロッテから近づいたら突然切れたと報告されてましたが、それが使えるなんてあなた本当にパル様の技を研究されているんですね。しかし…」


側面に移動され盾刃を払われる


「これは側面から払えばこの通り」


「くっ」


とっさにもう一度間合いを保ち盾刃を正面だけでな四方に置く


「そうですねならば側面にも盾刃を配置すると…しかしそうしてしまうとあなたも技を解除しないとそこから動けない、すると何が起きるでしょう?」


マーダンが剣に魔力を練り始める


「くっ」

目の前に貼った盾刃を払い、閃刃を放つ


「そう、あなたはそうするしかない」


間合いを詰められる


「一刀閃刃!」

横一文字を放ちもう一度距離を取らせる


「さっ!今度はどうします?」


「剣狼様、格上に対して接近戦はどうしてました?」


「だいぶピンチじゃの?パルは近寄らせないが基本じゃが、まぁ手はあることはある、しかしなぁ」


「お師匠!私はどうしても今勝ちたいのです。お願いします」


「ここでお師匠と呼ぶか…まぁええじゃろ。ぶっつけ本番じゃがやってみせろ」


自分の周りにもう一度盾刃を貼る


「また同じですか?もう万策つきましたか…仕方ありません、終わらせてあげましょう」


今度はゆっくりと間合いを詰めてくる


「いくぞセリス」


剣狼が形を変える、直刀だった刀身を湾曲させる


「止刀十刃!」


先に作った盾刃に湾曲させた剣で点の力を加える


直刀では盾刃を切ってしまい消滅してしまうが、点の力により盾刃に横一文字を重ね放つことができる、威力は倍以上、さらに八方に放った盾刃に同じく放つ事で視覚を無くす。

曲剣では盾刃が作れない、硬化の核の力により刀身の硬さを変え形を変えることのできる剣狼だからこそできる技である


「なっ!避けられない…ならばうける!」


刀身を盾にし止刀十刃をうける


「ぐっ!ダァ!!!」


「ふ…防がれた…」


押し通すかと思われた剣撃を払いのけ舞台に粉塵が起こる


「くっくっ、ふふふふ、ふぁっはっはっはっは!」


マーダンが顔を抑えて笑い出す


「まさか、まさか出会えるなんて…この技…止刀十刃…パル様だけの技…その剣!剣狼か!素晴らしい。素晴らしい、素晴らしいぞ!」


「やっぱりバレるか」


ぼそっと剣狼様がつぶやく


「いいぞ、セリス。更に楽しくなってきたぞ、さぁもっと楽しもう」


「剣狼様、相手のテンションまさかの最高潮です。何か他に手があります?」


「あれで決まらないとなると…まいったの…なんかないか思い出すわい」


こいつは…ピンチ…だなぁ



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