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「占い師は自分の運命だけは占えない」というけれど

作者: 夏夢
掲載日:2026/06/19

 今回は、占い師のお話です。


 気がつくと、また1週間が過ぎていました。


 瞬く間に時は過ぎていきます。


 Webライターとして依頼を受け記事を書き、校正として人の書いた文章に手を入れ、占い師として人の運命を占う。それだけのことで時間は飛ぶように消えていくのです。




「ほんとうに、こんなことでいいのかしら?私には、もっと別の人生があったのでは?」と疑問に感じる時もあります。


 けれども、そのことについて深く考えている暇もなく、次から次へやるべきことが押し寄せてくるのです。


 目の前に積み上げられていく作業をひとつひとつこなしていくだけで、1日が終わってしまいます。時間はいくらあっても足りません。




 ここにきて、人を雇う気持ちがわかってきました。


「なるほどね。こんな風に忙しくて手一杯になってしまうから、お金を払ってでも人を雇って自分の作業の一部を肩代わりしてもらいたくなるのね」


 そういうのも悪くないかな、と思い始めていました。


 これまで雇われる側であった私が、今度は人を雇う側に回る。そういうのもおもしろそうです。


 自分一人が助かるのではなく、人を助ける。お金を払って仕事を頼むことで、新しい雇用生み出す。もしかしたら、それが私に与えられた役割なのかもしれません。




 これまで私は自分が何をすればいいのかわからずに生きてきました。


 自分が何なんのために生まれてきたのか、それすらわからずに生きてきたのです。


 一時期、「私は作家になるために生まれてきたんだわ。きっと、なれるはず。それも一流の作家に!」と信じていたこともありました。


 でも、今はよくわかりません。心のどこかでは今も変わらず同じ淡あわい期待を抱いだき続けています。でも、心の底から確信があるわけでもありません。


 それは決して悪いことばかりではありません。自信のなさと同時に「何にでもなれる」という無限の可能性を持っていることでもあるのですから。


 それでも、ちょっと不安はあります。自分が何になりたいのか?何になれるのか?何になれば一番幸せになれるのか?それがわからずに生きていることに対する不安です。


 けれども、そんな不安すら忙しさの前に消えてしまいます。


 それどころか、ますます忙しくなっていくのです。




 私は、お客さんの要望に応えて新しい占いを覚え始めていました。


 これまではタロットで近い未来を占うのが精一杯でした。


 それに加えて今は「誕生日占い」というのもやっています。生まれた日によって、性格を判断するというものです。


 これが結構人気で、女の子を中心ににぎわっています。そうして、また新しい顧客を獲得できました。




 きっと端はたから見れば、私の人生は一見すると順風じゅんぷう満帆まんぱんに見えるでしょう。


 けれども、当の私自身はそこの部分がサッパリわからないのです。自分が幸せなのかどうか全くわからないまま生き続けるのみ。




「占い師は自分の運命だけは占えない」という言葉があります。それがほんとかどうかはわかりません。私自身、私の運命を占うこともあります。冷静に判断すれば、それなりに正確に鑑定できます。ただ、どうすれば幸せになれるかがわからないし、どの道を選べばいいのかがわからないだけなのです。

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