平日の一日
朝です。
朝になったら、やらなきゃいけないお仕事があります。
私は王様のベッドに向かいました。
お部屋には執事様がいます。いつも朝はいるのです。
王様はベッドの中に頭まで突っ込んで寝ています。
私は王様のベッドの上に向かってジャーンプ。
起きてください、王様。
それから、馬乗りになって揺さぶってみます。
微動だにしません。
私がベッドから降りたところを、王様にベッドの中に引きずり込まれました。
わー。
真っ暗闇の中で、ブーっという、びっくりするくらい大きな音が響きました。
わー、くせー。
王様がおならをこいたんです。
私は転がるようにベッドから出ると、パタパタと自分の部屋へと逃げ込みました。
「アハハハハハ」
笑いが止まらないです。
アハハ。
すぐに、王様がベルを鳴らします。
私はちょっと布団をめくって、ほっぺとおでこにチュッチュしてみました。
駄目だ、うずくまった。
部屋に王様の食事が運ばれてきました。
私は王様を抱っこして、無理やり起こします。
王様は朝なので、不機嫌に顔を歪めています。
私が手を離すと、王様がまた横になろうとしたので、私は支えてお座りさせます。毎日こうです。
王様は渋々ベッドから出て、トイレに行って、戻ってきたら、またベッドに入りました。
でも、これでいいんです。
私はベッドの上にテーブルを置きます。
それから、王様の食事が並べられました。
王様はまだどんよりとしていて、スープとパンとサラダとチーズとベーコンを見つめています。
私はサラダに乗っていたピーマンをフォークで刺して、王様の口元に運びました。
王様、ピーマンですよ。
王様が食べるんだったら、地獄に落ちたほうがマシだというくらいに大嫌いなピーマンですよ。頑張ってください。
王様は顔をすごく歪めて、そむけました。
あー、だめだったかー。
それから、王様は観念して、スープを啜って、チョコが入ったパンを齧りました。
「このチョコが入ったパンはあまりおいしくない」
そういうこと言っちゃ駄目でしょ。
スープをおかわりして、一口だけすすります。
パンとかスープ、サラダの食べ残しがテーブルの上に残されました。
そして、王様は言います。
「残りはメリッサが食べろ」
ちなみに、王様が残ったものが、私のいつもの食事です。
王様は、私がきちんと食べることができるように、毎朝「残りはメリッサが食べろ」と言ってくれます。
お城では、召使が貴族や偉い人たちの食べ残しを食べることは普通のことです。
それだけ、たくさんの食事が一度に貴族の方々に配膳されるんです。
朝食が終わると、王様の歯磨きと洗面とお着替えタイムになります。
どれも私がお手伝いします。
そして、王様はだるそうな顔で着替えが終わると、なんとかちゃんとした顔になってお仕事に行きました。
いってらっしゃい。
私は王様の食べ残しを食べてから、お仕事です。
まずは、王様のベッドを整えて、お洋服にほつれがないかチェックします。
それから、書斎と私室のお掃除です。
夕方頃、王様が戻ってきました。
このあと、晩餐や王妃様とのご飯がなければ、このまま私室でお食事をします。
王様が食べ残したものが、いつもの私の晩ご飯です。
でも、今日は晩餐会があるので、ちょっと休んだら着替えて、晩餐会へと向かわれました。つまり、お部屋での食べ残しは発生しません。
いってらっしゃい。
王様が戻ってきたので、パジャマの着替えを手伝ったりして、ベッドに入られたのを確認してから、私はお部屋へ戻ります。
これから、晩ご飯を調達に行きます。
王の区画から一歩出ました。
お城の中は夜だから、しんと静まり返っています。




