表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
メリッサちゃんは王様のかわいい召使  作者: 桜雨実世


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

38/38

お城に戻るまでのこと

 海賊さんたちは逃げられないように縄で一つに繋がれて、部屋に入れられました。


 私と王様、エチカさん、テレサさんは同じ部屋にいますが、ウィルさんはいません。


 私は眠くて目をこすっています。


 エチカさんが心配そうに、

「海賊たち、逃げ出さないわよね?」


 王様が窓の外の穏やかな海を見つめながら、

「問題ない。部屋には誰も出られないように魔法をかけている。破る人間がいるとすれば、よほどの高度な魔術師だが、あの中にはいない」

 そう言いながらも何かを考えています。


 エチカさんはタロットカードを取り出しながら、

「でも、犯人は誰なのかしら。明らかにメリッサちゃんを狙っていたわよね。占っちゃおう」

 そう言って、カードを並べ始めました。


 王様はエチカさんの手元へと視線を移しました。


 エチカさんはカードをめくりながら、不思議そうな顔をしました。

「剣の7……皇帝、悪魔……。権力者、策略、誘惑……。欲に目がくらんだ王族とかそういうのに近い人間というところかしら……」


 王様はカードをしげしげと見つめてから、

「君の占いは当たるのか?」


「もちろんよ!私たち一族はそういうのが得意なのよ」

 エチカさんは自信げに答えてから、テレサさんが、

「私が太鼓判を押すわ。エチカさんの占いは評判なのよ」


 それから、テレサさんはカードを見ながら、

「メリッサちゃんは王様の召使だものね。どうして、ターゲットになったかわからないけれど、お城の人から狙われるのも不自然ではないのかもしれないわ」


「そうですか?」

 私が尋ねると、王様が、

「俺からしたら不自然極まりない。普段、王の私生活の区画で掃除洗濯に水くみが主な生活だからな」


「でも、流行ってるでしょう。王と仮面の召使の恋歌。そのモデルがあなたたちだというのは庶民の私たちにも広がっているわ」

 テレサさんが笑いながら言いました。


 王様は苦虫を噛み潰したような表情で、

「全く困ったものだ」


 部屋にウィルさんが入ってきて、

「海賊のリーダー格と思われる男を審問しましたが、依頼主から仮面の娘を連れてこいと言われた。依頼主の詳細はわからないの一点張りです」

「陸に上がったら、拷問で情報を根こそぎ聞き出せ」

「わかりました」

 ウィルさんは部屋から出ていきました。


 エチカさんはうわっと顔を歪めました。


 テレサさんはニコニコ笑顔で、

「もしかして、メルさんは犯人の目星がついてるんじゃない?」


「俺はそこまで賢くない」

 王様は即座に否定しました。


 私はあくびをこらえながら、王様がピリピリしているので、リラックスしてほしいと思い、ジュースを取りに行こうと立ち上がりました。


「メリッサ!どこに行くんだ!部屋を出ちゃダメだぞ!」

 王様の鋭い声で、私はまた座り直しました。


 このまま眠ってしまいそうですが、我慢。


 王様が立ち上がって、私を抱きかかえました。

「ちょっと疲れただろう。少し寝ろ。な?」


 ね・な・い!


 私は、王様の……



 ※※※


 メリッサはメルヴェーユに抱きかかえられながら、穏やかな寝息を立てている。


 テレサは微笑みながら、

「疲れたわよね。さすがに」


「魔力を放出し続けていたもの。背中から……」


 エチカの言葉に、メルヴェーユは即座に、

「背中は関係ない」


「身構えなくていいわよ。私とテレサさんは知ってるから」


「!」

 メルヴェーユは身構えた。

 必要とあらば、この二人をすぐに殺す。そう思った。


 だが、テレサはその思考を先読みするかのように、目を細めるように微笑み、

「仲良くしましょう。私たちはメリッサちゃんには悪いことはしませんので。逆に、彼女が外に出た時、守って差し上げますよ」


 そして、彼女自身が白く光り輝いた。

 その魔力の強さに、メルヴェーユは太刀打ちできないと悟った。


 エチカは驚いて、

「テレサさん!」


「生きていると、知っていいことと悪いことってありますよね。ねえ、エチカさん」

「ちょっと部屋の照明の魔力が暴走したみたい」

 そう言って、エチカは照明を見直すフリをした。


 メルヴェーユは思わず息を飲んだ。

 この二人には、少なくともテレサには手を出せない。


 テレサは微笑みを絶やさず言った。

「信じてください」


 彼女の微笑みはどこまでも穏やかだ。

 まるでクジラが沈んでいく深海のような、底の見えない静けさが宿っていた。


※※※


 港につきました。もうお城に帰らなければいけません。

 王様は私の頭を撫でながら、

「船旅は総合的に見て楽しかったな!」


 私は頷きます。


「じゃあ、俺はまたカバンに入るからな!ウィル、あまりメリッサを驚かすなよ。メリッサは俺と一緒に蟻をたくさん踏んできた猛者だからな!」


「帰りは俺が持ちますよ」

 ウィルさんが呆れながら言いました。


 私は首を横に振ります。


「しっかり城に届ければどっちが持ってもいい」

 そう言って、王様はカバンに入り直しました。


 船から降りる時、海賊さんたちはお城の騎士さんたちに連れて行かれるのを見ました。


 私はエチカさんとテレサさんに手を振ってから、ウィルさんと一緒に城へと歩き始めました。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ