船上
ウィルさんが王様に向かって、
「陛下!城に陛下がいなければ……」
「問題ない」
王様は涼しい顔で言いました。
ウィルさんは不思議そうに、
「どういうことですか?」
「気にするな。船の方には要人を守るために密かに一人乗り込んでいると伝えている」
王様はドヤ顔です。
「要人?」
「仮面だかお面だかの宗教の魔法使いだったか?それを守る凄腕諜報部隊エージェントが俺だ」
「えぇ?」
ウィルさんは困惑したような声を上げています。
ちなみに、私は持ち込んだ熊ちゃんのぬいぐるみと一緒に、にらめっこをしています。
熊さんは強敵です。
お部屋がノックされて、テレサさんとエチカさんが扉を開けました。
「メリッサちゃん。あら、その人は……」
二人は王様を見て、驚きました。
王様がすかさず、
「初めまして。俺はメル。メリッサの同僚だ。楽にするが良い」
テレサさんが私に向かって、
「メリッサちゃん。王様ってなんて名前の人だったかしら」
「メルヴェーユ様です!」
「あ」
エチカさんが小さく何か言いかけました。
「?」
私は王様に二人を紹介しました。
「テレサさんはお料理をして色々な人に色々なお仕事を紹介します。エチカさんはお酒を飲んで踊って占うお客さんです」
「テレサといったな。お前は虫は好きか?」
テレサさんはニコニコと、
「イモムシは嫌いなんです」
「そうか」
王様はふてくされましたが、テレサさんは、
「でも、メリッサちゃんは黒くて大きなイモムシがお好きなようですわ」
「そうか。メリッサ。俺は角と羽が生えたカッコいい奴のほうがいいぞ。交換したいくらいだ」
王様、黒いイモムシ飼ってるんですか?
それなら、おしりを拭いてあげなくちゃ。
テレサさんは笑いながら言いました。
「嫌ですわ。交換だなんて。メリッサちゃんがいくら欲しがってもあげませんよ。というか、それができないのもあなたはきちんとご存知のはずですわ」
「チェ」
王様はふてくされたように舌打ちしました。
私たちはそのままトランプをすることになりました。
エチカさんは途中で痺れを切らしたように、
「メルさんって実は王様なんじゃないの?」
「いや、全く違うが。メリッサの同僚だ。なあ、メリッサ」
私は力強く頷きました。
「メリッサ。もうちょっと自然に頷いたほうがいいんじゃない?体に力が入りすぎてるわ」
エチカさんが言いました。
ウィルさんが、
「お願いですから、深く詮索しないであげてください……。どうか、ご内密に……。必要とあらば、金一封を……」
「いらないわよ。わかったわよ」
エチカさんは迷惑そうに、手を払う仕草をしました。
なんだか、みんな一緒で楽しいです。
私はつい、
「あとはおちん◯さんとイモムシさんがいれば完璧です」
ウィルさんはなぜかぎょっとした顔になりました。
王様は、
「レイエはいいのか?」
私は頷きました。
レイエさんは別にいいです。
王様はそれを見て、
「それもそうだな」
そういえば、レイエさんってお城で何をしてる方なのでしょう。




