豚ラーメン作り
豚ラーメンの材料も王様が出すと執事様が言いましたが、そんなことをさせるわけにはいかないです。
だから、私の今までのお給料からきちんと出しました。普段使わないから、それくらい貯まってたみたいです。
今は具材たちは厨房の隅っこに置かれています。具材の一部は血抜きをしないといけないので、水に浸けてるです。
私は朝一番に、ベッドの中で上半身だけ起き上がって、死んだような目でぼんやりとしている王様に向かって、豚の脳みそを見せました。
王様は私の顔と豚の脳みそを交互に見つめて、
「メリッサ。頭の中身が出ちゃってるぞ。しまっておけよ」
私は頷いて、豚の脳みそを厨房に置きに戻りました。
それから、王様の朝ご飯が始まりました。
今日の朝ご飯はお肉入りのスープとドライフルーツが入ったパンです。
王様が私にパンを一切れくれました。
「メリッサ食べていいぞ。お前は今日はラーメン作りか。執事から聞いてる」
私は床に座ってパンを食べてます。
王様は私の頭を撫でながら、
「いいか、料理人に意地悪されても泣くんじゃないぞ!泣いたら負けだぞ」
パンはおいしいです。
「ラーメン、できたら食べさせてくれるよな」
私は王様の言葉に首を横に振りました。
「なんでだ?」
私は空中に水の魔法で文字を書きました。
――高貴な方が食べてはいけないラーメンを作ります。
王様は途端にむくれてちょっと不機嫌になりました。
「お前は俺の一番の召使なのに、俺が食べることができないものを作るのか。酷いぞ!」
仕方ないです。アハハ。
王様がお仕事に言ったあと、私も厨房に行きました。
厨房にはたくさんのお肉と骨とお野菜があります。
そして、料理人さんもいます。
料理人さんが、
「メリッサ。豚には下処理が大事なんだ。教えてやる」
「お仕事はいいんですか?場所を貸していただいていますし、お仕事を煩わせるのは本意ではありません」
「いや、王の執事殿からの指示だ」
「そうですか。でも、ちゃんと作り方教えてもらってきたです。私でもできます」
「そうだろうな。基本は煮込むだけだからな」
私はそれでも料理人さんの指示に従って、お肉とお野菜と脳みそを煮込みます。
グツグツグツ。
厨房が鼻が曲がっても仕方ないなみたいな獣っぽいニオイで満たされてきました。
料理人さんが、
「おい、お前、王の側に使えてるんだから、鍋から離れたほうがいいんじゃないか?臭いが体に染み込むぞ」
「大丈夫です。だめなら、王様が逃げるです」
「それは駄目だろ」
時々、厨房に偉そうな格好の人が来て、料理人さんと何かを話してるです。
いつの間にかジャンさんがやって来ました。
「おい、メリッサ!お前何を煮てるんだよ!城で異臭がするって騒ぎになってるぞ」
「お肉煮てるだけです」
「豚ラーメンみたいなにおいしてるぞ」
「豚ラーメン作ってるです」
「すごいな。城で作っていいものなのか」
「良かったです」
ジャンさんはお仕事に戻りました。
異臭騒ぎですか。
王様大丈夫かなー。
料理人さんが、
「煮込み用の魔石が足りなくなりそうだな。魔石室に取りに行かないといけないか」
「あ、魔石無駄遣いしちゃ駄目ですね。私が魔法で温めるです」
「長時間、魔法で温めるのは無理だろ」
「多分、イケるです」
私は豚ラーメンを煮込むために、炎の魔法を使いました。
まだ王様がお仕事終わるまでには時間があるですから、このまま魔法で煮込み続けるだけです。
数時間経ったら、横で、料理人さんが、「うわー」とか言い出してます。
周りを見渡すと、料理人さんたちがすごくびっくりした顔してるです。
何にびっくりしてるかわからないです。
そういうものなのかなー。あまり人と関わったことがないからわからないです。
王のメルヴェーユは仕事終わりにメリッサがいるはずの厨房へと向かった。
城内に異臭騒ぎが起こるくらいなので、発生源である厨房の臭いは凄まじい。
厨房では料理人たちが挙動不審となり怯えていた。
そして、総料理長が、
「へ、陛下……。メリッサが……」
メリッサを見ると、白く光り輝いていた。時々黄金色にも光る。
メルヴェーユはメリッサを抱きあげた。
「帰るぞ、メリッサ」
メリッサは嫌がって、軽くバタバタ抵抗しているが無視する。
総料理長が再び、
「陛下」
「大丈夫だ。メリッサは時々光る。それだけだ。それよりもその豚、捨てたり粗末に扱うな」
メルヴェーユはメリッサに向かって、
「少し魔法を使いすぎたみたいだな。しょうがないな」




