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メリッサちゃんは王様のかわいい召使  作者: 桜雨実世


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報告(メルヴェーユ視点)

 深夜。メルヴェーユはメリッサが寝ているのを確認してから、レイエを呼び出した。


 今のレイエは素の姿の黒い異形である。


 レイエは今日のメリッサとのやり取りを話した。


 メルヴェーユは静かに、

「稀人……」

「えぇ」

「そういう人間がいるのか」

「いますよ。俺が地上に出始めた頃は、色々な種族がいて、好き勝手に交わっていました」

「そうか。メリッサが先祖返りをした可能性……」


 レイエは言葉を続けた。

「ジプシーは魔晶紋と言いましたが、天使と交わった人間の先祖返りの体に出るのは聖晶紋といって区別されるんですよ。もっとも、どちらであっても見た目は同じですからね」


「わかった。帰っていい」

「ではでは」

 レイエはそう言って、消えた。


 メルヴェーユはメリッサの部屋に行った。

 召使がすぐに主人に対応できるように、二人の部屋は繋がっていて、鍵もかかっていない。


 寝顔を見つめる。

 

 今の彼女はローブや仮面も外し、ネグリジェを身に着けている。暑いのか布団がかかっていない。

 懸賞で当てたぬいぐるみを抱きしめながら、すやすやと寝息を立てている。


 メリッサの体は細く、女性らしい凹凸は一切なく、十歳程度の少女にしか見えない。


 アリューゼがメリッサの裸を見たあと、二人きりになった時、メルヴェーユに言った。

「本当に大人なんですの?体がどう考えても子どもですわ」


 だが、彼女は自分よりも長く生きている。


 幼い日の思い出が蘇った。


 自分の側から離れると、メリッサはいつも召使の子どもたちにいじめられていた。

「王子様の召使になりやがって!」


 石を投げられたり、蹴られたり。


 大人たちからのメリッサの扱いを、子どもがそのまま真似をしているのだ。


 その度に、自分はメリッサを呼び、心の中で、絶対守るからなと誓い続けてきた。


 度々、そんなことがあったからこそ、過保護になってしまう。今でも彼女が城内を歩くことすら心配だ。


 一方の自分も影で母親から、

「あぁ。あんな愛想のない子よりも弟のほうが王になってくれたほうがいいのに」

「しかも、あんな醜い小娘までそばにおいて。病気とあの小娘のせいで頭がおかしくなったんじゃないか」

 これは父親の言葉だ。


 体にあざがあることで嫌われ、愛想がないと嫌われた自分は随分と似たもの同士なのではないだろうか。

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