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メリッサちゃんは王様のかわいい召使  作者: 桜雨実世


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厨房拒否

 王様が時々、私に料理を作って欲しいっていうのは昔からのことです。


 私は料理が上手なわけじゃないですが、なんかの拍子で昔、私が作ったものを王様がつまみ食いしてそれから、時々、朝ご飯を作ってほしいといわれるようになったです。


 厨房には執事様が連絡をすでにしているので、私は料理人の皆さんがお仕事が終わったくらいのタイミングで厨房に行って、食材を確認することにしました。


 私が作れるお料理は本当に簡単なお料理だけです。

 だから、フレンチトーストかサンドイッチのどっちかかな。


 厨房には怒った顔の料理人さんが一人と申し訳なさそうにしている人がいます。


 ?


 怒った顔の料理人が言いました。

「お前みたいな穢れたやつが触っていいものはこの厨房にはねえ! 食材一つだって触らせねーぞ! 穢れちまうだろ!」


 !

 困ったです!


 料理人さんは更に言葉を続けました。

「明日の王の食事は俺が作る! 文句は言わせねーぞ!」


 で、でも、私も王の命令で……。あうあう。


「とっとと失せやがれ!」


 あーん。


 私は自分のお部屋へと歩きだしました。


 申し訳なさそうな顔をした料理人さんが追いかけてきて、私に向かって、

「すまないな。明日の朝だけいつも王の料理を作っている料理長が休みでな。だから、さっき怒ってたあの人は自分の料理を王に食べてもらう滅多にない機会だって大張り切りなのさ」


 私は頷きました。

 王はそれを知っていて、私に料理をねだったのでしょうか?


 そう思っていたら、料理人さんが言いました。

「王の執事が来た後に料理長が明日の朝だけ急用が出きっちまってさ」

 私は頷いてから、歩き出しました。


 私は部屋に戻ります。

 私がお料理作らなくても、王様はきっとあのプンプン料理人さんのお料理を食べることができるです。


 でも、王様が食べたいのは私のお料理なのです。


 幼い頃の思い出が蘇ってきました。


 私はある時、召使用の黒パンにフルーツやハム、チーズをサンドしたものを作って食べてたです。


 それを見た王様は、「俺もそれ食べたい。一口くれよ!」


 私は首を横に振りました。

 王様が食べていいものではないからです。


 でも、我慢できない王様は私から無理やり奪って一口食べると、

「おいしい! メリッサは料理がうまいな!」


 そう言って、ペロッと食べてしまったのです。

 そして、言いました。

「時々、俺の朝ご飯をメリッサに作ってもらうことにする!」


 王様が食べたいのは、料理人さんの料理じゃない日もあるです。


 私はポケットや収納水晶とかを漁ります。

 懸賞で当てたお菓子が出てきました。


 うー。

 うー。

 やっぱり駄目です。

 これは私のお菓子です。


 私は深夜、王様のそばまで行って、寝ているのを確認しました。

 実は王様は夜はほとんど起きている日も多いのです。寝れないのです。


 でも、今日は寝てるです。


 私は小声でうっかり言っていました。

「ちゃんと寝てるです! 準備万端です!」


 私は部屋に戻ると、ちょっぴりの小銭が入ったお財布を持って、窓からお空を飛ぶ魔法でふわふわ飛び始めました。


「アハハハハ。おもしろーい」


 私、知ってるですよ。

 市場は夜明け頃からやってるって。

 市場に行けなくても知り合いのお店があるです。


 そこに行けば、何か買えるかもしれないです。


 私がふわふわ市場へ向かっていると、何かに足を掴まれました。

 見てみると、レイエさんです。


 私は言いました。

「レイエさん! 夜はねんねの時間ですよ!」

「メリッサ嬢はねんねしないんですか?」

「しないです! お昼に寝るです! 離すです!」


 私は空中で足をバタバタします。

「アハハ。おもしろーい!」

「こっちは面白くないですよ。メリッサ嬢が落ちたらとヒヤヒヤしてますよ」

「落ちないですー! アハハハ。お空たのしー」


 レイエさんは呆れたような口調で、

「どうして空を飛んでるんですか?」

「王様のご飯の材料を買いに行くです。料理人さんから穢れるから作るなとか触るなって言われたですー。アハハハ」

「シビアなこと言われてるのに、笑い転げすぎですよ」

「だって、お空ふわふわ楽しいです!」


 私が笑っていると、王様の声が聞こえました。

「メリッサ戻れ!」


 あ、心配そうに窓からこちらを見てるです。ろうそくを手に持ってるから顔が見えるです。

 こんなに真っ暗なのに、私がお空飛んでるのわかるですか?


 目がいいですね。あ、魔法かな。


 王様が呼んでるから戻らなきゃ!


 きっといつもみたいに、すぐに起きちゃったですね。

 ルンルン歌ってあげなくちゃ。


「ルンルン。アハハ」

 私は足にレイエさんをつけながら、王様の元へと進みます。



 王メルヴェーユは笑顔で戻って来るメリッサを見つめながら、安堵しつつ怒りに震えていた。

 眠ろうと目を瞑っていただけで眠っていたわけじゃない。

 そんな時に、メリッサのつぶやきが聞こえ、レイエに後をつけさせたらこれだ。


 何かメリッサにあったのかもしれないと思い、二人の会話はレイエの魔法で自分も聞いていた。


 料理人め……。


 メリッサが穢れだのなんだの抜かしやがって。


 メリッサが戻ってきた。

 自分の怒りを敏感に察知したらしく、怒られると思ってかすかに震えている。


 彼女は子供の頃に怒られる時は決まって暴言と暴力がセットだった。

 だから、怒られることに対してとても敏感だ。


 だから、メルヴェーユはできるだけ優しい声色で言った。

「メリッサ。やっぱり今日もすぐに起きた。一緒にオセロでもするか。応接間にある茶菓子も食べるか」


 メルヴェーユはメリッサの雰囲気が緩んだのが、仮面越しからもわかった。


 彼はメリッサと楽しくオセロをしながら、内心で言った。


 料理人、ゼッテー許さねーからな。


 メリッサはメルヴェイユの内心の怒りに気づかずに、無邪気に笑っている。

 かわいい。

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