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遠い昔に感じた硝子細工の帆船「Blue」の夜と朝の黎明の隙間

とても嫌な気分だった。


目に見えない風景。

逆立ちでもしないと、くっきりと見えない。


厳然とそこにあることにはかわりがない。


しかし、見過ごす。見てみぬ振りをする。眼前にあるにもかかわらず、無視をしている。


見ていたくないと、無意識に拒絶する心の弱さ。目の前にあるご機嫌な現実。それを彼は見ない。

半ば、ワルツを踊るような感じだ。

近いようで遠い。

目の前にいる人と手を取り合い体を揺るがす。



心はワルツの調べにもあらず。時として、型通りの虚しさを理解し、それでも、ステレオタイプに身を預ける。


虚しさを共有していることを知って、相手に笑いかける。

相手の心は軽くもなり、いたたまれない気持ちにもなる。

カナブンの色合いの美しさに思いを馳せる。


悪くない。悪くはない環境だと妥協する。



カナブンの緑を基調とした虹色の姿(光り)が拡大していき、美しいと感じていた色合いが膨張して()く。


嗚呼! 気味が悪い。おなかにだるさを感じる。



遠い昔に感じた硝子細工の帆船。「Blue」の夜と朝の黎明の隙間。



足音を感じる。自分の足音だ。なんて心地がいいのだろうと沈思しながら小さく美しく歓喜する。



かつて、虹色のカナブンも同じ朝を共有した。

束縛からのほんのひとときの自由!



悲しみの薫りと、紅の悲痛な嵐と、清々しい「Blue」の景色を同時に感じとる。


釘が落ちている。錆びて茶色くなった釘を卓也は手に取って愛おしむ。



悲しみに揺られ、嵐に苛まれ、戸惑いと苦痛を全身に受ける。今日限りの朝。

今日限りの時。

とても短い自由の時。



何故、これほどまでに美しいのか眼前の景色よ!苦しみの嵐の中にあってどうしてこれだけ美しい「Blue」なんだ!



「Pink」の「Sunglasses」越しに見たような夕焼けの景色を見たことがありますか。

あまりにも美しすぎて、毒々しさと不安感-恐怖感を感じたことがありますか。



水たまりに張った氷をパリンと踏みしめたときの痛快さと後戻りできない苦々しさを感じたことがありますか。



紅のでっかい太陽の夕陽に胸を熱くしたのはいつですか。

茹だる熱さに、ゆらゆら揺らめいている涙をこぼしそうな太陽を見たのはいつですか。



しちりんで焼いた魚の匂いを嗅いだのはいつですか。



川を眺め様々な切なさを瞬時に洗い流したのはいつですか。




数ある問い掛けに私は答える。




太陽も、川も、「Blue」の空も茜色の空も全部自分の心の中に全て揃っている。



匂いも、苦みも、真っ赤な太陽もみんな自分の中にある。



粉薬を飲み干した、気持ちの悪さと達成感-責任感も全て私たちの心の中にある。




だから、いつでも僕たちは、味わうことができる。


しかも、統べてを瞬時に和らげる力を持っている。事実、今、彼は統べてを味わっているからだ。。

紺色の夜も知っている。


思いでの薫りも知っている。




私たちは知らないことだらけだ!




思いでの数だけしか知らない。心にも無いことを言い続けることは苦痛である。体験していないからだ。体験していないことをいくら取り繕うとも、わからないものは、わからない。




感じ取ったことを放出することこそが、私たちの表現となる。


君より深し


と言い放ったところで、悠然とはやはり構えてはいられない。



遠い海に思いを馳せ、力の限り叫ぶ。



『太陽よ! まだ沈むな! まだしずまないでくれ! 』


あらん限りの思いの丈を叫びまくる。最初に出会った光りを追い求めるように叫ぶ。



声にならない声で、音にもならない声で、誰もが聞こえていないことにも気付かず荒々しい声で真実を思いでを知っていることを叫び続ける。この叫びは、いったいいつになったら、正しく正確に相手に届くのだろうかともどかしさ-苛立ちを抑えながら、窮屈に狭まった声帯をこじあけようと叫ぶ。声帯は錆びて動かなくなってしまった。でも、綺麗な水の漣は、いつでも私の中にある。


時代に酔うことがどれほど愚かなことか!

それを痛感したことがあるからこそ、「Style」を崩せない。



新たな経験を積むことに、大きな責務を感じとる。

眼前にある景色。



環境に作用を及ぼす挑戦の必要性を感じとる。



栗色の秋を心に浮かべて味わえるのが今この時だ。



環境への挑戦を試みたことが無いということは、無限大の開拓をする「Chance」が横たわっている。


眼前に。

厳然と。



見たことも無いような世界の開拓を、焦らずに、焦らずに、開拓の鍬を地面に突き刺す。



白く汚れた障子に、紅の空を描きたいと渇望する。



意味を成さなくなったように価値が無くなったように見える、くすんで汚れた障子を価値ある名画に仕上げるのだ。



太陽が魅せる美しい風景を、幻想的にまた、現実的に生き生きと描き出すのだ。




「Pioneer」の誇りを胸に、汗を流せばよいのだ。



「Crystal」-「Classical」な幻想-現実を描き出せばいいのだ。


「Brazil」の「Amazon」川には白い流れと黒い流れが平行し、合流するまで、一部の長さがあるという。

その風景の美しさに人々は胸を打たれるという。独立した正しき流れと、独立した正しき流れ。

色が「White」であるか「Black」であるかというだけの差である。


独立した正しき流れが、やがては交じりあい-補いあい-許しあいながら、同じ方向に向かって流れ進む。


永い永い旅を共に-友にする。



2006年3月26日

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