ソール 3
小さい頃は良かった……
兄様達と姉様が遊び相手だったから。
七つ上の長兄アバンサールは、母譲りの漆黒の髪に金眼。
十六歳の時に立太子して次期国王になるのが長兄と決まっている。
王位継承の条件に[金髪金眼]である事は必須では無い。
金髪じゃ無くても、金眼と言うだけで常人の何倍も優秀だし。
五つ上の次兄、カミールも漆黒の髪に金眼…
二つ年上の姉、アウローラは僕と同じ
金髪金眼
僕はアウローラが兄弟の中で一番才能豊かで、全てにおいて強いと思っている
まぁ僕もアウローラには及ばないが、かなりの天才なんだけど。
三歳過ぎには大人の話してる内容が理解出来たし。
その当時、五歳のアウローラと
八歳のカミール、十歳のアバンサール。
三人を相手に盤上ゲームであれば、一緒に遊べるレベルの地頭で、
五歳の頃には三人に引っ付いて走り回れる程、高い身体能力だった。
その頃はどんな事も取り組みがいがあって楽しかった……
苦労して考えを巡らせて問題を解く…
何度も繰り返して習得する。
もちろん姉様兄様達には敵わない……
けど、そこを打破するのが楽しかった。
三人は、僕の面倒をよく見てくれたし、根気強く付き合ってくれて
特にアウローラは歳が一番近いのからか、いつも一緒にいた……
アウローラが婚約するまでは……
アウローラが海を隔てた隣国、ウナヴォルタ国のエピオテス王子と婚約が決まったのは僕が六歳の時だ…
それから、アウローラの生活が一変して、僕と関わる時間が無くなった。
隣国の王子妃になる前段階の淑女教育が始まったから……
寂しさを覚えつつ、仕方がないと諦める。
だってアウローラが凄かったから……
前もって見せられたエピオテス王子の絵姿を見たアウローラは
「どーしましょう!あぁ…やっと会えた!私の王子様♡なんて素敵なのかしら♡この深緑の髪はどんな触り心地かしら♡きっと良い香りがするのでしょうね♡あぁ抱きしめたい♡でもそんな、はしたない事したら引かれてしまうかしら…困ったわ……絶対この方の妻になりたいのに……」
これが所謂、一目惚れか…
「この状態のアウローラと王子の初顔合わせは難しくないか?」
「そうですねぇ……飛びついて抱きしめてしまいそうですねぇ……」
父様と母様の会話だ……
通例は十歳を過ぎてから学ぶ、精神支配・洗脳魔法(魔力は五〜六歳で発現して…魔道具と結界魔法で封印される。)を
急遽習得させて自分の感情を抑えた方が良い。となってしまう程だった……
勿論、天才のアウローラは八歳にして、完璧に習得し。
見事小さな淑女を取り澄まして、無事に顔合わせと調印式が済んだ。
アウローラは完璧だったのに…
「……頑張らなくちゃ!……これ以上嫌われないように……彼に相応しい、完璧な婚約者にならないと……」
どーやら彼方の王子はアウローラの事をお気に召さなかった様で…
勿論、相手も一国の王子なので表情にはカケラも出さなかったけど
アウローラは瞳の奥の感情を見逃さない。
『エピオテス・マクラーン……何なんだよ、あいつ……』
あいつこそ、アウローラに相応しくない…と思った
それからは
当時十一歳の次兄と十三歳の長兄が、何かと僕に構ってくれた……
僕にアウローラの淑女教育の邪魔をさせない様にと気遣いもあったのだろう。
それでも、年の差による教育内容の違いで、四六時中構ってもらえる事も出来ず……
まぁ、僕にも僕用に用意された学習があるんだけど……そんなのあっという間に終わっちゃうんだよ……
父様は国の公務に忙しいし…
母様は一歳になる双子に振り回されてる…
僕は退屈と闘う事になった……




