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側にいる為に必要な事〜黄金の王女〜  作者: Kurakura


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エピオテス 2


 アウローラとは四季毎に手紙を交わす程度の交流を続け…五年程が過ぎた。


 ウナヴォルタ国の貴族が通う学園は

アインスト国と同じで十五になる歳からの入学になる。

 アウローラは、この学園に留学する為…

先ずは国の風習・慣習・伝統に慣れる事を目的とし…

 二年の余裕を設けて、僕たちが十三の年にウナヴォルタ国の王宮…離宮の一つ

に暮らす事になった。

 同時に王子妃教育も始まる。


 僕の生活に、アウローラと一緒に過ごす時間が加わった……

週に一度のお茶会。共に習う事になったダンスレッスンも週に一度。

 この頃には、時々父上の国王としての公務に就いて行く事もあった。それにも婚約者として同行してもらう…

公のパーティも勿論一緒に。


 アウローラと過ごす時間は息が詰まる……


 アウローラは婚約者として…

いずれは王子妃…そして王太子妃、果ては王妃となる者として申し分無い。

 

話題は豊富、話術も巧み、礼儀作法・行儀作法も完璧、身のこなしは優雅で…何よりもその容姿が神々しかった。

初めて会った八歳の時の比ではない美しさ…

 

まだ十三歳とあどけなさが多く残る顔立ちだが…

陶器の様な透明感の肌に、黄金の髪が輝きを添えて

黄金の睫毛に縁取られた蜂蜜色の瞳が艶々と輝く…

 ふっくらとした唇は桃色で果実の様に瑞々しい。


そんな彼女は、春の日差しの様に柔らかく微笑む


 嫌いでは無いのだ……

その蜂蜜色の瞳に感情が見えさえすれば。


 ダンスレッスンの時…手を合わせて体が密着しても、あの目に感情は宿らない。


優しい微笑みは国同士が決めた()()()に向けた物。

 まるで()()だからここにいるのだと、言われている様で……


 パーティでエスコートしても、柔らかい微笑みの瞳の奥に感情は見えない……

 

 隣が僕でも、僕じゃ無くてもきっと同じ表情だろう。

 あの目はいつか僕を見るのだろうか…


そうして半年程が経った。



 アウローラに初めて会った時は『嫌われてる』と思ったが…

僕以外にも同じ表情を向けているので。

 流石に今は、アウローラは誰に対しても『好きでも嫌いでも無い』のだと、思っている。


それにしたって……


 僕は()()()()()()と言える。

父も母も大変美しい。


深緑の髪と黄緑の瞳はどちらも父方譲り。眼は大きいが切れ長の目尻。

 顔立ちは母上似だそうだ……


パーティでも令嬢は皆、頬を染めて話しかけて来る……僕が()()だからと言うのもあるだろうケド。

 少なくとも醜男に頬を染めたりはしないだろうから、絶対に悪くは無いはずだ!

 

 でも、アウローラは僕に対して頬を染めたりした事は一度も無い。


 表情にも、眼差しにも、言葉端にも……

僕に対して未だ一度も()を感じる様な事が無い。


 出来れば……

伴侶となるのだから、婚約者として愛…とまでは言わないが

 お互いを想う、情の様な物を…育んでいくべきと思うのだが……

お互いを想うどころじゃない…興味が育ってない気がする。


まぁ、伴侶となる…などと言っても……


 見本となるべき両親は…

母は体調不良から王妃の公務も取り組めず。公の場で父と母が共に居る所を見た事が無い……

 私的な場など…

そもそも五歳からこっち、母上を見ていない…

父上は母上に会っているのだろうか?

それすらも分からない……


お互いを想いやるってなんだろう。


 しかし、考えてみれば…

この婚約は国同士の繋がりを強固にする為の物で、僕たちの間に熱情など必要無いのだ。

 僕は正しい国王に…アウローラは正しい王妃に…いずれそうなる。


 その為に二人、同じ方向を向いて足並みを揃えて進んで行く。

 そう言う意味で、アウローラは完璧な婚約者を演ってくれている。

 僕と同じ十三歳だ……常に大人振るのも難しい年齢なのに、自国を遠く離れた此処に来てくれたんだ……

 初めての環境に馴染むのにも苦労があるだろう。

 瞳に感情が感じられないのも…学ぶ事の多さのせいかも知れない……


 であれば、アウローラがこの国に馴染んでから、お互いに親愛を育んで行けば良い。

『あの瞳に感情が見えれば、僕も彼女に愛情を抱けるのだろうか?』


この時は、この考え方が()()()()()()()()()()()()()()()()()のだとは、思ってもいなかった。


 ただただ、この息苦しさから解放されたかった……



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