表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
117/123

第三十二話「神にも悪魔にもなれる力」.2


『アナトたちの姿を映して』


 コンソールに思念を伝えれば、傍らに地上を映したディスプレイが現れる。

 そこにモノホイールを走らせるアナトと、それに追随するアルヴァス人複数名の姿が映った。スペースパイレーツの地上基地に突撃するアナトも大概だが、それに生身で追随するアルヴァス人の特異性が伺える。


『トラクタービーム照射用意、アナトたちを回収する』


 彼女の反応がある場所まで飛ぶと、停車したモノホイールがディスプレイに移る。その場で百八十度回頭。制動をかけつつトラクタービームを照射。彼女を船内へ回収する。


〈フィオガ、敵の船がこちらに向けて誘導弾を放ってきおった!〉


 ボクの隣に座るルミスから、再度警告が飛ぶ。

 スフィナハザークのメインカメラと視覚をリンクさせると、飛んでくるミサイルを捉える。


『迎撃用CIWS展開。アクシャハラ・フィールド展開領域を随時変更。……迎撃完了だけど、船自体を落とせないか』


 敵の船の位地が、ドヘイディア上空にある。ここで撃墜すれば、欠片が都市やその周辺の穀倉地帯に、悪ければ避難中の市民の上に落ちる。

 ルミスとの約束もある。アナトは回収できた。

 なら、戦いの場所を移す。


『大気圏外まで移動する。全員、再度座席に体を固定して』

〈全員に通達する、席に体を固定せよ。先ほどよりきついぞ!〉

 ――アナト、こっちへ。


 ルミスが他のアルヴァス人たちに伝えている間に、ボクはアナトを呼ぶ。光に包まれた彼女が床から出てくると、そこに席が出現する。


「うわっ! なにこれ、超SF!」

『そりゃかつて銀河を支配した古代文明だからね』


 艦内テレポートという未知なる技術に興奮するアナト。いくら星間国家時代といえども、個人テレポートというものは確立していない。宇宙船による恒星間テレポートとは、行おうとしていることが全く別の話だ。

 戦車の大砲で拳銃の弾は撃てない。大は小を常に兼ねるわけではないのだ。


『ベルトで体を固定して。いくらアクシャハラ・リアクターの重力軽減効果があると言っても、振り回されたら死んじゃうからね』

「わかってるわよ。フィオガって意外と心配性よね」

〈ならば、その心配を多少自分に向けてくれると、味方は安心するのだがの〉

 ――そうかな……?


 口ごもる――というより言葉に詰まって書くことができない。喋れない時が便利だと思うことはあまりない。投影ディスプレイに空白がしばらく続くと、二人は揃って肩をすくめ、この話題を打ち切った。


「それで、ガイドーのいる辺りにまっすぐ?」

『まっすぐ行く。推力最大、牽制弾発射後艦首上げ舵四十。加速を開始する』


 飛んでくる砲撃をアクシャハラ・フィールドで受け止めながら反撃する。敵艦からの攻撃が弱まった時、メインスラスターを全開にする。

 敵の中性子ビームを受けながら宇宙の深淵へ向けてスフィナハザークは加速する。



少しでも気に入っていただけたら幸いです。




評価、感想、ブックマーク、どんなものでも大歓迎ですので、お気軽にどうぞ。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ