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第14話 お見合い ①

「はじめまして、仲人を務めさせていただく初と申します。よろしくお願いします。」


「はじめまして。砥部と申します。こちらが息子の聡一郎です。よろしくお願いします。」


昨夜からの『ユーちゃんに会える』という事からの興奮状態を、やっと冷ましてから臨んだお見合いの席。


個室のテーブル席で、僕と父は、仲人さんと挨拶を交してから釣書を渡された。


「急な話を受けて頂き、有難うございます。早速ですが、目を通しておいて下さい。先方も隣の個室に控えていて、貴方様の釣書に目を通し終えました。」


……………………綾辺由紀、25歳。

職業、ウェブデザイナー。……………


父と二人、一通り目を通し終えたところで、


「初様、私はお見合いは初めてなもので、今日の手順というか、流れを教えていただけますか?」


「初さんでよろしくてよ?

この後、このレストランのテーブルへご案内します。最初の御挨拶はお父様からお願いします。

挨拶の後、貴方様の釣書の内容を貴方様の言葉で伝えて下さい。相手様の釣書の内容で質問があれば聞いていただいて結構です。同じく、相手様からの質問には誠実にお答え願います。」


新電波塔タウンの隣のビルのレストラン。

桜井と来た、あの、レストランだった。

お見合いや商談の控室に使われる個室で、僕と父は緊張しながら仲人様の説明を聞いていた。


「歓談しながら食事の後、お見合いの御二人だけでお過ごしいただきます。ここでお茶でも移動して『お散歩』でも、聡一郎様が主導してくださるようお願いします。

何れにしても、5時位までには由紀様をお返し願います。お送りせずに、この場でお別れして大丈夫です。

万一、由紀様をお気に召さなくてもその場でお返事するのはご遠慮下さい。男性からお断りするのはマナーに反しますのでご承知願います。交際開始前に由紀様と直接連絡を取るのも同様です。どうしても合わなそうでしたら、私を通してくださるよう願います。私の連絡先はこちらです。」


初さんから名刺を渡され、父と顔を見合わせた。


「わかりました。用意がよろしければ始めて下さい。」


父の言葉にうなずきながら、


「では、お席にご案内させますのでこのままお待ち下さい。」


初さんがウェイターを呼んで、促された僕たちはテーブルへと案内された。


……………………先日、桜井と来た席だった。

改めて廻りを見渡すと、特等席だったんだな〜と実感した。野郎二人で来る場所じゃ無いわ。当日は浮きまくってたんだろうな?


「では、綾辺様をお連れします。お待ち下さい。」


初さんが離れたところで、父と顔を見合わせて、


「先方も母子家庭なんだね?」


「そのようだな。うちは父子だがな。」


「僕のお相手を間違って気に入ったとか言って取らないでね?」


「お前こそ、母親の方を気に入ったとか言うんじゃないぞ?」


「「!ふっ、ハハハはははつ、」」


「……………………なにか、とても楽しそうですね?お連れしましたよ?」


背後から案内されて来たので、気が付かなかった。

ウェイターに促されて対面に掛けたお二人を見て、由紀さんと目があって、息が、詰まって、しまった。


初対面なのに、あ〜、僕は、この人と、結婚するんだと、『わかって』、しまったから。

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