第1話 プロローグ
「えっ!お見合い、ですか?」
突然の問い掛けに、思わず敬語が出てしまう。
6か月余りの社運を賭けたプロジェクトを無事成功に導き、10日間の特別休暇が与えられて自宅でゴロゴロし始めた初日の朝。
父から、改まった口調で『お見合いしてみないか?』と声を掛けられた。
ん〜、お見合いか〜。
悪くないかも。
一昨日の事。
7年間も付き合った彼女に、捨てられた。
振られたのではない。『捨てられた』んだ。
それを聞いた父が、心配したのだろうか?
「いや、違うんだ。お見合い相手を紹介して欲しいという話は、以前から有ったんだ。お前、早耶ちゃんに振られたんだろう?急な話だし、良かったらだけどな。」
「いいよ、受けるよ。10日間の休みの間で予定組んでくれるかな?」
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「えっ、お見合い、ですか?」
突然の問い掛けに、思わず敬語が出てしまう。
依頼された仕事の修羅場を乗り切って、編集さんから10日間の休みを頂いた日の朝。
母から、改まった口調で、『お見合いしてみない?』と声を掛けられた。
母からの突然のお願いに、悪くないかも?と思ってしまった。
半年前に頂いた、初めての纏まった、仕事。
元々、引き籠もりがちだったのに、部屋から一歩も出ないで仕上げたのが、一昨日。
その、仕上がった日に、突然彼氏に呼び出されて、捨てられた。
振られたのではない。捨てられたんだ。
それを聞いた母が、心配したんだろうか?
「違うのよ〜、初おばさんにお見合い相手の紹介を頼まれてたのよ〜。あなた、俊君に振られたんでしょう?急な話なんだけど、良かったらなんだけど。」
初さんが?おばさんと言うよりはお婆さんだろうと突っ込みたかったが、話が長くなりそうなので我慢した。
「いいよ、受けるよ。10日間の休みの間で予定組んでくれるかな?」