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いい目

作者: 長万部三郎太

20年以上『大人』ってやつをやっているが、ここ数年は事情が違う。


秋の健康診断……。

特に悪い箇所がある訳ではないが、毎年最後の問診で「痩せましょう」と言われる。


一念発起したのが今年の正月で、文字通り“痩せる”をテーマに1年過ごしてきた。

事実、9㎏ほど減量することに成功している。



いよいよ明後日は健診だ。

そろそろ寝るかと思ったが、なかなか寝付けない。

夕方、軽めに済ませた食事が仇となったのだ。


胃が何かモノを求めている。


このままでは眠れないと確信したわたしは禁断の台所に向かい、そして冷凍庫から小さな『低糖質パン』を1つ取り出してレンジで解凍をした。


おもむろに蛇口をひねり、コップに水を注いでパンを流しこもうとした刹那、どこか懐かしいものを感じた。


パンと水……。

砂漠の町でWBから脱走したアムロがランバ・ラルと最初に出会ったシーンだ。


あの頃は「そんな食べ合わせはないだろう」なんて思ったものだが、30年以上たってすっかり大人ってやつになったわたしが、あろうことか同じモノを食べるとは。



その晩、二度目の歯磨きをするわたしは鏡に向かってこうつぶやいた。


「いい目をしている……。

 フフフ、それにしても(寝る前の飲食とは)いい度胸だ」



再びベッドに横たわり、スマホでそれとなくランバ・ラルのwikiを見る。


今の今まで『太めのオッサン』だと思っていたのに、今のわたしよりずっと年齢は下だし、体型もずっとずっとスリムだった。





(実話シリーズ『いい目』 おわり)

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