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返済非推奨

鈴木の生け贄が6人になった時、俺の逃亡生活を終らせた青年が暴れる学ランの少年を小脇に抱えた状態で現れた。


「初めまして、君たちの研修を担当する事になりました、牛山 大樹です。

君たちは明日より逃亡犯対策課 探索追走係に配属になります。」


少年を抱えたまま挨拶をしてきた。


「サーセン、質問いいっすか~?」


「はい、何でしょう?」


「その荷物なんすか?」


パリピが少年を指さして聞く。


「あ、これ?

素直にここに来なかった子だよ。

チャチャッと捕まえて来たんだよ。」


少年は暴れることなくぐったりしている。


「この子を含めた10人が今回俺の後輩になります。

逃亡犯対策課 探索追走係ってどんな仕事かの説明は明日にしてまず、君たちの職場兼とりあえずの住処に案内するので俺に着いてきて下さい。」


講義室を出て講義館外の駐車場に出る。

逃亡犯対策課と側面表記されているマイクロバスを見つける。


牛山が少年を地面に置き、バスのドアを開ける。

少年のほっぺをつっつきながら

「まず、これに乗り込んでね。」と俺らに搭乗を促す。


乗車人数11人ぴったりの席に奥から詰めて乗り込む。

最後に少年がよろよろしながら乗り込んだのを確認すると牛山がバスを出した。


しばらくバスに揺られると遠くに見覚えのある建物が見えて来た。

始めにつれて来られた体育館だ。

そこに行くのかと思えば、体育館の手前の施設に入った。


「逃亡犯対策課にとうちゃーく。

降りてー降りてー。」


敷地内には建物が4つ、広い駐車場、広いグランドがあるようだ。


「ぐるっと柵に囲まれている範囲が全て逃亡犯対策課の施設になります。

目の前にある建物が事務棟。

その横のが訓練棟、奥にあるのが倉庫。

駐車場横にあるのが今から行く寮だよ。」


だだっ広い駐車場は殆ど乗用車で埋まっている。

車通勤している人が多いようだ。


駐車場を跨いで寮に入る。

入ってすぐに20人くらい入れる談話室に連れて行かれる。

全員が座るのを確認すると牛山が説明を開始する。


「君たちは今日からしばらくはこの寮に住む事になります。

安心したまえ、寮って言っても共同生活をする訳じゃないぞ。

ワンルームマンションだと思ってくれたまえ。

飯は自分の部屋で自炊か外食だな。」


がたいのいい奴が手を上げる。


「はい、なんだね?」


「自分たち死んでから物食ってませんけど飯っているんですか?」


「んー厳密に言うと要らない。

けど、食う事を全力でお勧めする。」


牛山が自分の腕輪を操作し数字を表示させる。


「これ、返済額って説明受けてるかもしれないけど、厳密に言うとお金じゃないのよ。

魂の重みとか徳とかっていうもんに近いかな。

物を買えば減る、給料を貰えば増える、でも魂に経験を積ませた場合にも増える。

飯を食ったり、きれいな景色を見たりな。

俺は結構、映画館に行くぞ。」


俺の方を見てサムズアップしてくる。

俺は趣味のついでに捕獲されたようだ。


「はいはい~、パイセン、質問いいっすか~?」


「なんだね、鈴木君。」


「パイセンのお財布、メッチャマイナスなんすけど、返済してないんすか~?」


「してないよ。」


「マジっすか!」


「うん、ここの職員ってマイナススタートしかいないんだけど、返済完了してるのって2割いないのよ。

公にはしていないけど寧ろ返済を推奨していない。」


「どういう事ですか?」


俺が聞くと牛山は一瞬考えて答える。


「お前ら全員死亡してから10年以上経過しているんだけど・・・

死亡後の年数が長いほど魂の馴染みが強いんだわ。

馴染んだ労働力はなるべく離したくない。

だから稼いだら使え!転生するな!」

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