逃亡生活
初投稿作品です。
ふんわりした設定で進めているお話なので色々アレですが生暖かい目で見て下さい。
俺は死んだ。
死因は覚えていない。
気が付いたら自分の死体を眺めていた。
血とか流れていなかったように見えたので多分他殺じゃないと思う。
死体をまじまじと確認する前に遠くから「いたぞ!」と声が聞こえたので急いでその場を離れたので良く分からない。
なんで逃げたかと言えば何となく嫌な予感がしたからだ。
それから俺は幽霊として逃亡生活をしていた。
別に未練がある訳ではないが始めに逃げたことにより追いかけられる感覚からはなんとなく逃げている。
幽霊になってから分かったことは、死んだらお迎えが来ること。
死亡理由によらず死後5分以内にはお迎えが来るようだ。
病気・老衰なんかだと死亡前からスタンバってることもある。
未練なんかない奴はその時に連行されている。
おっと、連行なんて言い方は悪かったな、エスコートだ。
後、俺みたいに逃亡生活をしている未練たらたら野郎を捕まえる役目を負っている奴がいること。
お迎えさんが死亡直後に逃げたはいいがどうしていいか分からずボーとしている奴を偶然見つけて優しくエスコートしていることもあるが、そんなの希だ。
俺たちを捕縛することに躍起になっている追手がいる。
お迎えさん達は男女問わずスーツで、マニュアル的な対応をしている為、お勤めさんな感じ。
追手は無法者感が強い、格好も対応も様々だ。
同じスーツでもホワイトカラーな奴とかインテリヤクザみたいな奴とかがいる。
完全に見た目で判断が出来ない。
オタクみたいな奴がド正面から高速タックルを繰り出して来たりする。
高速タックルみたいな対応をされると分かりやすいが、
逃亡仲間を装って近づき、仲良くなった途端にいきなり殴り掛かる奴もいる。
ホステス風な女に鼻の下を伸ばしている奴が後ろを向いた瞬間にホステスが持っていたバッグで頭を殴って気絶させているのを見た時に、もし俺が捕まりそうになったら抵抗はしないようにしようと心に誓った。
俺は東京生まれ東京育ち東京亡くなりなので最初は東京都内を徘徊していたが、
人が多いところは死亡人数も多いので、お迎えさんの数が半端ない。
お迎えさんに見られると追手が来る。
生前は東京から出たことがなかったので長い時間を掛けて、日本一周をしてみた。
観光地は追手が多くゆっくり観光が出来なかったが、山や田舎の景色がいいところは穏やかに観光が出来た。
日本一周後は無駄に広い駐車場を完備している田舎の映画館に入り浸った。
昼間は人もある程度来るので注意していたが、
夜の最終放映中、クライマックスシーンに夢中になっている時、後ろから両肩を捕まれた。
俺の逃亡生活が終わりを告げた。
殴られなくて良かった。