コント「集団面接」
登場人物
青年(若山):大学四年生で就職活動中の男子
面接官A:会社の重役
面接官B:面接の進行担当
鈴木:就活中の男子
藤原:就活中の男子
茂木:就活中の女子
青年、スーツを着てパイプ椅子に座っている。他にも三名の若者が並んで座っている
「いやあ、今日は集団面接か。緊張するなぁ~」
声「では、次のグループ、お入りください」
青年以外の他の三名、立ち上がって、部屋へ行く
青年「何かみんな俺よりできそうだな~。俺大丈夫かな~」
立ち上がり、三名の後に続く
面接官が二人いる
面接官A「ではお座りください」
四名、座る
面接官B「では左の方から座ったまま自己紹介をお願いします」
鈴木「私は鈴木和良と言います。御社の営業に興味があって、応募しました。よろしくお願いします」
面接官A「ふーん」
藤原「私は藤原武と言います。大学では四年間剣道をやっていました。根性はある方だと思います、よろしくお願いします」
面接官A「ふーん」
茂木「茂木恵子です。専攻は経済学です。在学中はアルバイトをたくさんしてきました。よろしくお願いします」
面接官A「ふーん」
青年の心の声(うわー。どうしよう。緊張して頭真っ白だよ~。あ、そうだ、今の人たちの言ったことを少しずつパクッて言えば、それらしくなるわ。よし、この手で行こう)
青年「私は若山春樹と言います。ええと…大学では四年間、経済学をやっていました。御社の営業に興味があって、アルバイトをたくさんしてきました。よろしくお願いします」
面接官A「えっ!うちの会社に興味があってアルバイトをたくさんしたの?ほんとに?」
青年「あ、はい。そうです」
面接官A「ほほう~」
青年(何だ。これ!めちゃめちゃ反応いいじゃん!よーし、今から全部これで行ってやる!)
面接官B「では次に我が社を志望した理由を左の方からお願いします」
鈴木「私は新しい御社の方針を知って、入りたいと思いました。あの方針はまるで創業当時のようですよね」
面接官A「ふーん、ほんとかね?」
藤原「私は御社の開発中の新製品の空飛ぶバイクを知って志望しました。時代を先導する商品になると思います」
面接官A「あれがね」
茂木「私は御社の高木社長の考え方にひかれました。従業員一人一人を脳裏に浮かべ、家族のように思う考え方が好きだからです」
面接官A「それ、ネットで調べられることだよね」
青年「私は御社の空飛ぶバイクにひかれました。そのとき私は従業員一人一人が脳裏に浮かび、まるで創業当時の商品のようですよね」
面接官A「え…君はバイクにひかれて臨死体験をしたのかね」
青年「え…いや…」
面接官A「従業員はまるで商品だ?人は物じゃないんだよ。恐ろしいことを言うねえ」
青年「いや、とんでもないです!」
面接官B「では次。学生時代を通じて続けてきたことで、何か自慢できるものはありますか」
鈴木「私は柔道を中学時代から続けてきました。県大会で優勝したこともあります」
藤原「私は高校時代から映画を撮影していて、監督をしたこともあります」
茂木「私は昔から国内旅行が好きで今でもよく行きます、ガイドブックをつくれるくらいの知識はあると思います」
青年「私は中学時代から柔道の映画を撮影していて、県大会で監督をつくれるくらいの知識はあると思います」
面接官A「そんなに?大作に取り組んでいるね!それにすごい自信だ。ほんとかね」
青年「ほ、ほ、本当です」
面接官A「その映画のタイトルは?」
青年「ええと…あれは…たしか…ですね…中学柔道県大会監督育成物語です」
面接官A「ん?何か言葉をつなげただけみたいなタイトルだな」
青年「違いますよ!違いますって!違います」
面接官A「ん?随分熱心に否定するね」
青年、にこっと作り笑いして
「いや、まあどうでもいいんですけどね!」
面接官B「では次に皆さんに質問をします。わかった人から答えてください。我が社で性能のいい車を開発しましたが、国内では売れませんでした。皆さんが営業担当ならどうやって売りますか」
茂木「はい、私なら競争相手が少なく、車の少ない国へ行って、そこで頑張って売ります」
面接官B「なるほど」
藤原「私は車のデザインが問題だと思うので、設計者に依頼してデザインを考え直してもらいます」
鈴木「私はインターネットで英語の広告を出して世界に売ろうと思います」
面接官A「ふーん。どれもありきたりだな」
青年「私はデザインが問題だと思うので、インターネットで車が少ない国へ行って、頑張って英語の広告のデザインを売ろうと思います」
面接官A「インターネットで行くの?」
青年「あ、はい…VRの時代が…すぐそこまで来ているので…人間は仮想空間に移動して…あの、生活をすると思いますから」
面接官A「そこまで考えていたのか!」
青年「ええ」
面接官A「英語の広告のデザインを売る?」
青年「ええ、この際、思い切って売るものを変えた方がいいと思いまして。ほら!デザインを売れば、知的財産になるかな、と」
面接官A「なるほど。君は開拓者だねえ!いいアイディアだ。よし、君採用!」
青年「ありがとうございます!」 完
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