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萌ぷらむ  作者: タクヲ
5/20

5.なんだろう・・・、結局、手をつないだまんま・・・

投稿できるまでの日数がだんだん長くなってる

仕事が忙しいとかちょっと体調を崩したとか有るのですけど、

まあ、私の能力不足が一番の原因だよね

 とりあえず無言で歩く私と広世ぷらむ。

 私はもとよりおしゃべりは苦手で、興味はあれど知り合ったばかりのかなりわけ分からん相手に、何を話して良いやらわからないよ。

 彼女も周りの目があるうちは口を開く気は無いようだね。ただし、ものすごくうずうずしている。


 ようし、とりあえずこの手は放してもらおうか。

 そんな小首をかしげてもダメ。・・・普通に手を開いても放してくれない。

 手をブラブラさせても放さない。

 ブンブン振っても、って何でこんなんで泣きそうな顔になる。

「あの、手ぇはなそうよ」

「萌ちゃんがつないできたんじゃないですか」

 らちがあかない。

 ・・・・・・てゆうか、喋ったね。まだいっぱいおともだちがいますよ・・・

 と思ったけど、口は開いているけど聞こえる声と動きがちぐはぐだったような・・・

 こいつ、しれっとまた念話使いよった。しかも下手くそか。

 こうなると朝の廊下でのやつは、私に気付かれるようにやったのか、それとも・・・

 やっぱり考えなしに行動してるように思えてくる。

「萌ちゃんひどいです」

「ああーーーーー、また、頭ん中、のぞいたぁ?」

 つい声を上げてあんまり聞かれてはいけないことを言ってしまった。

 これではおあいこだ。気まずい。

挿絵(By みてみん)

 ええいもう、この子の事あれやこれやは今はいい。これから行く彼女の家で話が聞けるはず。

 聞けるよね。

 ・・・確認してみる。今、周りに人は・・・いない。

「一つ、訊いておきたいん、だけど」

 私のゆっくりゆっくりなしゃべりを黙って聞いてくれる。そんなところも含めてホントに良い子みたいだから、無下に突き放すことが出来ないのが、またもどかしいのです。

「私が今日、あなたのうちに、おじゃまするのは、あなたやあなたの周りのことに、興味があって、言ってしまえば、たぶん秘密、にしてることを、教えて欲しいって、事なんだけど」

 はあはあ、これくらい喋ったところで息切れなどしない。しかし、心が息切れを起こしてるような気がする。

「もちろん、つり合うかどうか、判らないけど、私のことも話すし」

そしてその答えは、

「はい、問題ありません。母から、萌ちゃんには私の知っていることを何でも教えても良い、と言われています。」

 すらすらと、あっさりそう言う。しかし「秘密」であるというのは否定しない。それなのに「教えてもいい」という。

「それから、母は仕事があるので、遅くはならないと思いますが私たちが帰宅したすぐにはいないと思います。ですが、母からも萌ちゃんにはお話があるそうなので、少々長くなるかも知れませんが良いでしょうか」

 私はうなずく。帰宅はそんなに遅くならない限り問題はない。


 しかし手を放さないね。こちとら何でもなくてもパーソナルスペースは広めなんだ。向かう先は彼女の家だし一緒に歩くのは一向に構わない。その彼女がやたらテンションが高いのも謎だがまあ良いでしょう。しかし近いよ。せめてこの手をどうにかしたい。なーんーでー私から手をつないだ!?

 もういいや。でもなー、目的地まで歩きで短くは無い距離がある。

 学校からの所要時間は私の家も彼女の家もそう変わらないだろう。私はいつもノロノロキョロキョロしながらの登下校なのではっきりしないが、普通に歩いて40分くらいか。

 それなら彼女もたぶん自転車通学の許可とかおりるはず。てか、色々ややこしい事情があるみたいだし、お嬢様だし、車の送り迎えであってもおかしくはない。なんで徒歩通学なのだろう。

 私はもちろん散歩を兼ねてるからだよ。

 まあ、些細なことだけど、彼女の謎は増えるばかりだ。


 やっぱりペースを乱されたままだと長い道のりが苦痛だよ。

 もうこうなったら、できるだけいつものように散策を楽しむしかない。

 今歩いてるこの道はまだ私の通う通学路で、彼女の家に向かう分岐点までしばらくある。

 

 そうそう、あの家の庭で今にも咲きそうに膨らみきっている花のつぼみ。しばらく前から気になっているそれは、葉っぱと全体の姿からなんの種類かは見当はつくけど、たぶん見たことのない品種だ。花が咲くのが待ち遠しい。

 ええっと、広世さんのこと無視してる感じになってるけど・・・まあ、私の前を私の手を引っ張りながら歩いてんだから、あんまり私の方は見ていない。


 とことことこ・てふてふてふてふ・・・・・・


 宅地の間に小さめの畑が見えてくる。私の家の近くまで行けば宅地より田畑の方が多くなるんだけど、学校の周りはほぼ家と商店などで、田畑や果樹園ましてや山林とか牧地などはない。あって小さな家庭菜園規模のものになるね。因みに農業・酪農に関わる栽培地・育成地をまとめて圃場(ほじょう)というよ。覚えておくと良い。たぶん役に立たない。ひひひ。

 いらん話はともかく。私はおばあちゃんの野菜畑を手伝っているのもあって、よその畑も規模の大小に関わりなく興味がある。通学路にあるこの畑も毎日勝手にのぞいては観察している。

 この畑の主は完全に自家消費するだけであるのと小中学校の通学路に隣接しているので子どもが多く通りかかるのもあって無農薬栽培であるらしい。無化成肥料ではないみたいだからいわゆるオーガニックではないのだが。大変興味深いので、たまに作業をしているところに通りかかったらお話をうかがうこともある。

 えぇ?、コミュ障の私が赤の他人のしかも大人に自分から話しかけるとかどう言う事かと。

 いや、私だって知識探求のタメナラバこれしきの事何でもナイデスヨ、ホホホホホ。

 ・・・嘘です。最初はあちらから声を掛けていただきましたです。その畑の主様によると、ある日作業をしていたら、それに気付かずに立ち止まって興味深げに眺めていた私がいて、それで声を掛けていただいた、と言う事です。いいじゃん。それから時々こっちからも話しかける事もあるのは本当だよ。

 ちなみにこの畑の主様はダンディな中年おじさまで、私がおしゃべりが苦手で目も合わせずにいるのに、やっぱり度々居るのを気遣ってくれて、いつも適度な距離感でいてくれるんだよね。わかってる大人っていいよね。

 ま、長々と回想しておいてなんだけど、今日はここに寄ってる余裕はないね。おじさんも居なくて正直良かった。


 とことことこ・・・

 てふてふてふてふ・・・


 またしばらく歩くと、灰色の真っ平らな垂直の高い壁が右側の視界を奪う。

 コンクリートブロックのビンボーくさい塀・・・。

 わりと新しい家でこんなのを建ててるところは見かけないから、もれなく古びていて汚くもある。

 オシャレだったりかっこよかったりするブロック塀が無いわけじゃないらしいけど、目の前のそれはただの積み上がったコンクリートブロックだ。

 防犯・防音・プライバシーの確保と、人通りの多い立地のここでは致し方ないし、どんな塀を家の周りに建てようと個人の自由なんでしょうけど、ジャマで不細工な目の前のこれは少々事情が違う。

 初めてこの塀をジャマだなと思ったとき、ふと能力(ギフト)で観たら、思った以上にダメなものだったんだ。

「この塀、ちょっとの地震で、倒壊、するかも知れないんだよ」

 私は手をつないだ彼女にだけ聞こえるちっちゃい声で言う。

 彼女はいきなりそんな事言われてすぐに反応できない。まあ聞こえてはいたみたいだから、いい。少しして、なにか言おうとしたけど手を挙げて制しておく。

 今日は手を引かれるままこの塀の横を通ったけど、この塀の危険を知ってからは別のルートを通ってた。そもそもいつも学校へ至るルートは色々な道を通る私。最短ルートの一つを通らなくても別にいいんだけど、危険塀については要相談の検討中、と言ったところだ。事は命に関わる重大事なれど、私が個人でどうかなるものでもないから、面倒だよね。

 知ってしまったからには、どうにかしたいけど、他人と関わるのがどうにも苦手な私。事情を説明して直接動いてもらうのはおばあちゃんか先生の大人でいいんだろうけど、最初にどう説明する?

 これ、人が多く関わる案件になるのが確実だから、私の能力を使ってその回答を得ようとするのはたぶん無理なんだよな~。

 前にも言ったとおり、私の能力で消費されるエネルギーは事前にはわからない。けど慌てたりしてなければ大体の感じは推察がつく。要は欲しい結果に到までに関わる事象の規模と、その結果による影響の大きさ。大体はこの二つ。それが掛け算になるのか足し算になるのか、はたまたもっと複雑なのかははっきりしないし、実際思ったより多かったり少なかったりの差が激しかったりして困るんだけど、今回の場合のは間違いなく多くなる。と言うか完全にキャパオーバーな案件です。

 何せ個人的で単発なお悩み解決だけで、ちょっとおなかがすくんだから、大人数が関わる上に、最悪人の命がかかる事になると、完全にダメなやつです。

 ちなみにキャパオーバーの案件に、うっかり能力を使うとどうなるか。

 はい、それは昨日の私を見ればわかるとおり、回答を得る前にブレーカーダウン、ぶっ倒れる事になります。結果が何も得られないのに何かしらのエネルギーを大量に持ってかれるわけだから大損なんだよね。

 だからこの件につきましては、普通にどうにかせにゃならんと言う事。はあ、悩ましい。


 てふてふてふてふ・・・

 とことことこ・・・


 あ、めずらしい鳥みっけ。鳥って街でも平気でめずらしいのがいたりするよね。もちろん街中と田舎ではいる種類は違うんだろうけど。あの鳥は姿と色をしっかり覚えといて、後で調べないと。

 あ、あれ、いつの間にか広世さんが後ろにいるね。

 あと、そろそろ、私と彼女の通学路の分岐点なんだけど。

 んん、まあ道が分からないわけではない。このまま行こうかね。

 


挿絵(By みてみん)

萌ちゃんは口の悪い男子にチビデブメガネブスなどと言われてます。背が低くてぽっちゃり気味なのは本当ですが、人並み以上の可愛らしい女の子です。始めから設定上そうですが、イラストはうまく描けてるかどうかは・・・

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