19.たまねぎふぁんたじー(3)
永玄とワイトには女神降臨でフリーズしてるところ悪いんだけど、質問がある。
女神様そのものについては本当に考えたくもないのであっちへポイだ。けど、気になることは聞いておかねば。
「あのさ、とんでもないのが、すごく、手軽な感じで出てきて消えたんだけど。よくあることなの?」
お顔のイメージはハッキリしてたし、実際面識があるのかと思ったのだ。
すると即座にワイトが、
「初めてだよ!!ボクらは先代以前の龍神の記憶にある知識を少し引き継ぐことが可能だし、世界の重要事項として教えられてもいるから、女神様のお姿も知っているし御存命なのも知っているけど、実際にお目にかかったのはこれが初めてだ」
そう言った後彼は「ああ尊い」だの「どうすればまた・・・」だのブツブツ言ってるし、永玄もちょっと恍惚、は言い過ぎでもぼーっとしてる。ふたりともちょっとキモい。
女神様からは叱られてた感じなんだけど、これでいいのか。
「あ、あの、わたくし何が起こったのか分からないんですけれど。あの萌ちゃんがそのまま大人になったような方がワイト達の世界の女神様で、萌ちゃんとあなた達が女神様の話をしてたからお出ましになったって事なのかしら」
なんだそれ。
「そうか、彩葉萌、貴方はやっぱり女神様と何かしら因果があるんじゃないかなあ」
おい止めろ。
「案外、本当にそうなのかもしれないわよ」
えっ!?
いきなりもう一人声がしたので誰かと思えば広世ぷらむのお母さん静さんでした。
この人は普通の登場ができないのでしょうか。
ここは彼女たちの家なんで、どんな感じでもおかしくはないんだけど、毎回ちょっとビックリする。
そんなでも不快には感じないのは彼女の独特の雰囲気なんだろうね、いいなあ。
「先ほどの創世の女神様は確かに別格で高次元のいわゆる神的な存在のようでしたし、私も彼女と萌ちゃんはとても似ていたと思うんだけど・・・。萌ちゃんは何故そんなに嫌がっているのかしら」
「お母さんお帰りなさい。やっぱりピーちゃんで見てましたか?」
「ただいま。今は異常事態だもの、もちろんずっとあなた達の周りは監視してるわよ。それと、萌ちゃん、はいこれ」
そう言って一本の、ちょっとイイ感じのメガネを差し出す彼女。
「あ、お邪魔してます。えっと、これは?」
「萌ちゃんの新しいメガネよ。確認だけど、萌ちゃん近視や乱視はないのよね」
うっ、彼女にはなんもかも知られてるっぽいので仕方ないけど、色々すっ飛ばして話されるので困る。
「え、ええっと・・はい。今日、学校で、こわしてしまったメガネは、単純に能力抑制のためだけのモノで、今も視力的には、問題、ないです」
能力の方も昨日聞いた優先順位とかによるものか、はたまた他の要因によるものか分からないけど、動く気配はない。無防備の状態には不安はあるけど、メガネ無しで暴走するよりましだと思ってた。
「公的に視覚発動系の能力者に貸し与えられてるメガネ状器具を製造してるのは我が家の統括する工場なの。そこではそれ以外にもいわゆる能力者に関するサポート器具やらなんやらを作ってるのだけど今はその話はいいわね。それで、このメガネはね、さっきも言ったけど昨日からぷらむの周りはずっと見てたから、壊れちゃった萌ちゃんのメガネの替えを勝手だけど急いで作らせてもらったわ。大変だったわね。はいこれ、遠慮しないで使ってね」
「え、でも・・・」
「ああ、そうそう、理由はあとでちゃんと説明するけど能力抑制力は元のよりかなり強力になっているけどすぐに使っても問題は無いはずよ、デザインはまあ、ありきたりのものだけどそこそこイイ感じのフレームを選んでるから、さ、さあさあ」
お、押しが強いいー。
でも、ホントにイイ感じのメガネなのだ。ここは素直に使わせてもらおう。壊れちゃって困ってるのも確かだし。
「うん、似合ってるわよ。よかったわ、まあ、萌ちゃんならすぐにそんなものに頼らなくてもちゃんと自分で制御できるようになるわ」
「わあ、本当によい感じです。萌ちゃんカワイイ」
広世さんうるさい。静さんはなんか気になることも言ってるし。・・・まあ、
「あ、ありがとう、ございます。あの、お代金は今度ちゃんとお支払い、いたし、ます」
「まあ、まああ、あのね萌ちゃん?前にもちょっとお話したけど、我が家が能力者のケアをするのはお仕事の内なの。お金とか気にしないの。・・ああ、あのね、萌ちゃんが公の変質能力保持者保護管理機関を避けて誰にも秘密にしてきたのは理解してるし、自分でも自分の事を詳しく知るのを避けてるのも聞いて分かってるわ、そして貴方が貴方のしたいようにするのを全力でサポートすると言ったのを、違う事はないと誓う。でもね、萌ちゃんが今ここに居る理由は、それらを冒す危険を承知で真相を知りたいと思ったからでしょう?前にも言ったとおり質問には何でも答えるから、まずお金とか大人の仕事の事とかは考えないで、お話を始めましょう」
むううー、そうなんだけど、確かにそうなんだけど、なんかふにおちない。
けどもう、気構えてもしょうがないらしい。
あとお金の話は、個人的にお金は持ってるから対価は払った方が気楽なんだけどなぁ。まあいいか。
広世さんの頭の上に沢山のクエスチョンマークが見える気がするけど、これは、まあ、ほっとこうか。
「それじゃあ、あの、話しかけてた女神の事からでイイですか」
「そうね、あなた達も一緒に私と萌ちゃんの話を聞くので良いのね」
広世さんとチビ龍どもは肯いてる。
あの存在については、本能的に考えたくないと思いながら、どうも好奇心に勝てないのと、話の流れ?的に、な。
「じゃあ、私が知ってる高次元存在というものについての説明から始めましょうね。と言っても私の感覚的な事で、科学的論理的な事は分からないのであしからずよろしくね」
「さて、日本の八百万の神々とかとはちょっと違うモノだけれど、さっき見たような超越存在的な神様ってのは、私たちが通常認識できるより数段高い次元存在なのよ。なので私たちの三次元的視点では遍く時空に偏在して見えるのね。さっきの女神様も出たり消えたりしてたけど、対象のことを完全に認識できたら、たぶん、いつでもどこにでも“居る”感じになるわよ。神様がこっちに同調してくれたりの条件が必要だけど」
「でもお母さん、四次元以上の物や事象は三次元のわたくしたちにはどうしたって認識できないってなにかで聞いた事があります」
そう言う広世さんに静さんは彼女の頭に手を置きながら「頑張ろうね」と言って解説の続きをする。
ふむ、娘の今後に期待しての事か、諦めなのかは知らないけど、今はスルーなのね。
まあ、この話は分からないところは「分からない」でいいんだ。たぶん。
「で、彼女だけどキャラクターはすごく人間っぽかったわ。なので私は彼女の場合もとは人間の昇華存在と仮定し、遙かな未来神であると想定します。神になったからには時間なんか関係なくなるので、私たちには今この次元にも居るように認識できるわけね。ここまでいいかしら?」
やっぱり広世さんは「わかんにゃい」と口調まで崩れているが、静さんは「はいはい」とまた彼女の頭をポンポンしながら続ける。
「それでね、さっき見た神様について考察はしてみたのだけど、実は広世家として、龍神のおわす精霊界という世界の創世の女神様についてはある程度知っています。もちろんお目にかかったのは初めてですが、女神様が私の想定通り未来神であるならば、ワイトちゃん達の言うとおり、よく似ている萌ちゃんが女神様に何か関係がある可能性はあると思うの」
あれ?やっぱりこの話題は危険なんじゃあ・・・
それに、それは私が似てるの前提の話じゃん。
なんでよってたかってそれ前提の話やってんだろうね、私自身が似てないって言ってるのに。
・・・えっと、言ったよね、言ってなかったっけ。
「だって、世界創造を為したなんて神様の関わることだもの、未来で何がどうなってそうなったかなんて、今の私たちにはどうやったって解りはしないわ。なら感じたまま楽しい想像でお話しするのがいいわよね」
「いや、だから・・・その、ええと・・・。私が楽しくないので、そういう方向なら別の話題にしたいのですが」
皆しておかしな決めつけをしてくるし、想像でしかない話だったらもういいんじゃないの。
そもそも、女神様の話で私が引っかかってたのは、そおいう事じゃあなくて、彼女が言ってた、龍神が言ったから神みたいなモノになってしまった、って事とかだ。
創造主なんだから龍神より上位存在なんじゃないかと思われる彼女が否定しているのに龍神の影響の方が大きいの?とかそこら辺が気になるんだよね。
でも・・・まあ、やっぱり、あれのことは深入りするのはよくない気がするし。
それよりか・・・
やっぱりちょっと怖いけど・・・
自分のこととか(ほかにも色々あるけど)疑問の答えが欲しい。
ここは私のわがままで行ってもいいところだよね、よね?
「あら、そう?ちょっと面白くなってきたところだったんだけど、萌ちゃんがそう言うなら、しかたないわね。もともと萌ちゃんのために作ったお話の時間なんだし。でもそれなら、我が家の秘密はあらかた話したし、まあもっと詳しく知りたければいくらでも教えてあげられるけど、あとは精霊界とこの世界のこととか、それから能力の事とかかしら」
全部知りたいんだけど、でも。
「あ、はい、でも、さっきおっしゃってた通り、私は、私のこの能力自体は便利に使ってるのに、ちょっと御しきれないところや自分のなかの得体の知れないモノが怖くて、深く考えるのを避けてたのは、その通りなんです、そして本当はちゃんと知りたいというのも・・・それは、広世ぷらむさんと静さん、そしてワイトと永玄に会ったことで私の中の、何かが変わったからだと、思っているんですけど、もし知っているのなら、静さんが知っている私の知らない私のことを知りたいです」
やっぱりちょっと恐いけど、大丈夫だと感じるから大丈夫なんだろう。
それならそれで、今まで悩んで恐れて遠ざけてた事が、馬鹿馬鹿しいんだけど。
これは、目の前にある出会いが無ければなかった変化なんだからしょうがないよね。
そんなつもりはないのですが、投稿ペースが半年に一回になってしまってます。
こんななのに、ちょこちょこと読んで下さっている方がいたりして、うれしいやら悩ましいやら。
いや、こんないつ更新されるやら分からん作品を待ってる方が(ほんのちょっとでも)いるなんて、考えると変な汁があちこちから出そうです。
ああ、でもやっぱり、続きがあることだけしか約束できないです。
サブタイトルの頭のナンバリングをまちがってました。




