17.たまねぎふぁんたじー(1)
広世ぷらむのお母さん、静さんはまだ忙しくて帰宅するまでもう少し時間がかかるそうだ。
そして今、昨日と同じように広世ぷらむの個室にて、広世ぷらむ、自称龍神の白い方白日、同じく黒い方永玄、そして私がなんとなく微妙な空気のもと顔をつきあわせている。
チビ龍どもは人の姿ではない元の姿でベッドの上でくつろいでいる。
広世ぷらむは勉強机の椅子に、私はクッションスツールに乗っかってたたずむばかり。
思えば何とも言いがたい状況ではある。
いちおう昨日と今日広世ぷらむがチビ龍どものことについて知ったことを、彼らと広世ぷらむの双方から一通り話してもらいはした。
広世ぷらむがウソやだますような話をできるとは思わない。けど、全く得体の知れない上、間違いなく強大な力を持ち態度もこちらを見下したチビ龍どものはなしが全部が全部真実かは私はちょっと疑ってはいるけど、何も言わずに聞いておいた。
とりあえず、その内容をかいつまんで話しておこうと思う。
まずはこの広世家と精霊界という別世界についてからかな。
それが彼らがここに現れた理由だと言うんだよ。
この日本列島においてまだ国も定まらない大昔、歴史と呼べるものの記録もない頃だからおそらく数千年以上前のはっきりわからない頃から広世家につながる一族はあって、そんな遙か以前から一つの目的を持ってとあることをずっとずっと続けているらしい。
その目的というのが、ただただひたすらに優秀な血統を取り入れて子孫を強化し続けること。
たいして珍しくも無い事のように聞こえるけど、これは権力や財力なんかの力を得るための手段では無く、これ自体が目的であることが事を特殊たらしめてるんだ。
例えば権力や財力が目的で縁故を結ぶなら身体的や頭脳的な能力等の強化を求めるばかりより、段階もあるだろうけど他に色んな効率的で有効な方法が様々ある。が、目的が血の強化自体である以上、やることは優秀な人材の探索と選別に勧誘、ほぼこれだけに尽きることに。
むしろ下手に権力者に近づくことは純粋に目的を遂行するための障害になると考え、遠ざかることを選び、実際やむなく権力者を利用することはあっても縁故を結ぶなどはもちろん直接触れ合うことさえさけ、人目のあるところでその力を振るうことも無かったそうな。
まあ広世家の成り立ちはそう言ったところで、それ自体も大変興味深いんだけど、今問題なのはその活動の中で相当な昔の、とある行いのこと。
広世家の先祖が今も連綿と続けている活動をもってその家を存続させ続け遙かな刻を刻む中で、一つのとある出来事があり、それが今ここに2人の自称龍神がいる原因になる理由らしいのだけど、広世家に所蔵されているそれらしい記録との齟齬は無いそうだから一応事実確認は取れてるらしい。
精霊界という、こことは隔絶されながら隣接しているような不思議な別の世界があることは、大昔から知られていたんだって。もっとも妖怪や精霊とかの迷信としてで、実在するものとして信じていた者はほんの少数らしいけど、その少数の中に広世家の先祖もいたということ。というか積極的にアプローチしていたらしい。
彼らの一族の強化への飽くなき探究心は手を出す範囲の境界を知らず、それが海を隔てた遙かな地であろうと、存在の不確かな伝説上の存在であろうとお構いなしであったとのこと。
龍や精霊それから妖怪だとか、そういうものなんかね、実在するかはともかく知らない人はいないじゃん?そういう伝承上だけで存在が確認できないものが、なぜ連綿と言い伝えられてるか、そんな事を大真面目に考えたりしちゃってるところが、彼らのすごいところでね。
まあつまりは精霊界とその頂点の存在である龍神の実在することを突き止めてしまったんだね。
しかし実在すると言ったって、この世界にいるわけでもあっちの世界に行ったり出来るわけでも無い。接触する機会もなければその血を己が一族に取り入れることは叶わないので知り得た知識も無駄になると思われた。
しかし、だ。細かいことは記録が残ってないから分からないことだけど、どういう巡り合わせか、自称龍神本人の言うところ万年単位の希な事である龍神がこちらの世界に気まぐれで出現しているところに巡り会うという奇跡的な引き合わせがあったらしい。当の龍神はこちらの世界にわざわざ来て交流をしようってんだからもちろん人の姿で。
そしてなんだかんだで結ばれて子まで成したという話なんだけど、さっきこいつらって性別無いって言ってたよね。まあ、男でも女でも無いって事は男でも女でもあるって事なんかな?そもそも異種族どころか異世界間婚だもんな、可能不可能を考察するのもあほらしいし、実際子を成したって話なんだから、気にするのも間違いなのかも。
そもそもこの話があいつら、おもにワイトが話して聞かせたことなんだよね。最初に言ったちょっと疑わしいってのはそうゆう事もあるの。
まあとにかくここは本当のこととして聞いておくとして、昔、広世のご先祖と何やら不思議な力を持った男を龍神として縁組みがあったことは記録にある事実らしい。
おしいことに、細かいところが記録に残って無いってのは、しかたが無いんだろうけど、そこがまた知りたいところで残念至極。だって男と女のラブロマンスやんか、誰だって知りたい。私だって女の子だもん、まあ自分自身の色恋沙汰とかは想像つかないのが正直なところではあるけど、あやしいチビ龍どもの身辺事情よりラブロマンスの方が知りたいよ。記録も無い、当人も知らないではしゃあないけど。
ともあれ、なんやかやあって龍神とこの世界の人間の女性との間にできた子どもが目の前にいる二人だというのだ。
そして、産まれた子が人間からすれば異形であることを知られる前に父親共々姿を消し、精霊界へ帰る。
ここで一つこの話の重要な要因として、チビ龍どもによると精霊界とこの世界では時間の流れが違うという話。
隔絶した二つの違う世界の時間の進み具合が早いとか遅いとか言うのも変な話だし、そもそも私たちの宇宙の現在私たちが知っている物理法則から言っても時間の進み方というのは私たちが主観的に感じているだけの・・・・・・イヤ、そういう話では・・無いね?
私たちの世界とは別のほぼ隔絶されながら隣り合わせで繋がりが無くもない世界が実在するのは間違いないらしい。なら双方を含むさらに大きな世界?領域?が有るのだろう。ならば互いの時間の進み方が相対的に違うというのもあるのかも知れない。
ともかく、精霊界の時間の進みはこっちよりすごく遅いと言うことらしい。さらに龍神というものの成長速度も人間に比べてそれはもうものすごく遅いと。
つまり、私たちの世界でずいぶん昔に広世の先祖の女性と龍神との間にできた子どもは産まれてすぐにあちらの世界に行って、そっちで今までいたわけなんだけど、その時間がこっちで数百年あっちで百年ほど、だからチビ龍どもは百歳ほどと言うことになるが、人間の感覚で言えばだいたい十数歳、私たちとおんなじぐらいと言うことなんだって。
そして最近彼らに混血で有るが故であるらしいが詳細の分からない不調が無視できない程になってしまったので、療養と見聞を広めるために今ここに居るということらしい。
あーーなんだ、まあ、一応つじつまは合ってるのよね。
でも、ワイトがウソをまじえて話してるのは分かってんだよ。
それがどの部分であるのかは分からないし、何の確証も無いんだけど。
広世ぷらむの言う、スキルになるんだろうな、私のウソを見抜く目はヤツらにもちゃんとはたらいてると思う。
てか、ワイトのやつ、私が何か気付いてるのを分かってて、その上で平然としてるね。
ちなみに自分たちの話を話してくれてるのはワイトだけで、永玄は初対面のとき同様、そっぽ向いて黙って話を聞いてるんだかいないんだか分からない。
つまりワイトは気さくで話し上手なようでいて実はウソつきで自尊心も高そう。
一方永玄は高飛車な態度と口下手でとっつきにくいが実はチョロくてちょっとカワイイ。
てな感じじゃ無いですかね。
タイトルに意味は無いです。
今回もずいぶんなお待たせでした。申し訳ない。
と言いますか、まだしばらくおっそい執筆速度が続きそうなので定量(わたくし規定)にとどいてませんがとりあえず上げときます。
漫画家荒川弘大先生も仰っています。農家にとってGWとはガッデムウィークであると。
もう、もう、筆者バタンキュー寸前のヘロヘロリーですわ。
まあ彼の大先生は大変な状況下でも筆を執り続けるのでしょうが、私なんかダメダメですわ。
今回は、じゃなくて今回も、こんなところで許してね。
次回は挿し絵が入る予定です。




