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萌ぷらむ  作者: タクヲ
17/20

16.なまえなまえなまえ

わかってるんだー、こんなまぎらわしいタイトルあかんの。

でもまあ今さらだよな。

挿絵はちょっと失敗っぽい。

でもこれ以上手間はかけん。

 さて、困ったぞ、ちょっとゴタゴタしたんで名前がまだ考えられてない。

 あの黒い奴のだ。

 今から広世さん家でやらなきゃいけないことは色々ある。が、まず奴に名付けるのを片付けるのが一番になるにちがいないんだ。

 他の件が先約だと言ったってきくわけないんだよ。

 で、今は玄関脇の応接室で鉛筆とノートをだして、うなってるとこ。

 学校にいたって勝手に来るんだから家に入ったらもうすぐに来るに違いないと思う。

 なのでちょっとでも一人で考えようとしてみたけど悪あがきなんだろうね。

 ああしかし、やつらときたら私の想像をはるか上を行くハチャメチャだった。

「ああっもおーっ、待ちなさい、萌ちゃん捕まえてくださいっ挟み打ちです」

 何事か。

 ドアを開け声と走る音のする方を見る。

 美少女が2人・・・。広世ぷらむと・・・あと誰だ?

 ところがその知らない方の地黒ながらカワイイよりカッコイイ感じの美少女が、捕まえるまでもなく私を見て立ち止まる。

「お、イロハモエだ」

 だから誰だよおまえ。

 まあ、私はとくに付き合いのない他人の顔も名前も覚えるのは大変苦手だし。

 相手は私のことを知ってても私は知らないことはよくある、が。

「おい、早く名前をよこせ」

 ・・・・・・ああ、つまりそうゆう・・・イヤイヤしかし・・・

「ドユコトデスカコレ」

「あの、萌ちゃんがお時間が欲しいと仰いましたのでわたくしはわたくしで二人のことを色々聞こうと思いまして、話をしてましたら、色々なことが分かりましたので萌ちゃんも後で聞いて欲しいのですが、一つ大変な事が・・・なんと二人とも性別がないというか男でも女でもないって仰るんです」

 じゃあ、やっぱりこいつは。

「そもそも人の姿は実体感がある幻影で、見た目はある程度どうでもなるとか、本当に身体を変えてしまうと自身の性質とか存在まで変質してしまうとか、わたくしよく解らないのですけど萌ちゃん解りますか?」

 はあ、まあ言ってることは分からないでもないけど、やってること自体がぶっとびすぎて現実感がなくて、どうにも反応しがたい。

「それと、龍神がそういう存在なだけで、あちらの世界に性別というものが無いわけではないので男と女というものが分からないわけではないそうでして、なんだかわたくしたちに合わせて色々試していてこんな事になってるみたいなのですが、つまりこいつは別世界の龍神の黒い方で、あっちでワイトも女の子になってます」

 はぁ~、盛大にため息つかせてもらいますわ。

 いま、私は、あ、ん、た、の、名前を考えさせられてんだ。

 余計な情報を増やしたら悩む時間が長くなるだろ。

 何?ヤツらについて詳しく知りたいって言ったのは私だって?

 それはだって名前考える参考のためじゃなくって、ただただ私の好奇心で知りたいだけだもん。

 もう、男か女かなんて知るもんか。マジメに考えるのもバカらしくなってくる。

「いいからもうちょっと一人で考えさせて」

 そう言って二人を追い払う。

 奴が暴れてたのは、また外に出て行こうとしてたからだそうだ。

 捕まって、広世ぷらむとワイト(女)に奥の部屋へ引きずられてていった。

 なんでも広世家の近縁者としてここで暮らすために、各所へ手続きや周知根回しなんかがすでに始まってるとのこと。それは当然最初に人の姿をとった男子としてだろう。誰が担ってるのかは知らないけど彼らのために奔走するその手間を台無しにしかねないその考え無しの自由奔放さに呆れる。

 ノートを広げたのはいいが、広世さんが離れてるんで目を開けてられない。能力(ギフト)様が暴走するのはいただけない。仕方ない目を閉じて黙考だ。


 奴は名前はないけど“ゲンショノヤミ”とか“トコシエノクロ”とか呼ばれてたって言ってたよね。

 原初の闇に永の黒か。

 永の黒・・・黒より玄、かな。神獣とかの色だとクロをあらわすのは玄じゃなかったっけ。

 永玄・・・いいんじゃないかな。

 何て読もう。

 えいげん、じゃあなんかの号とかならいいんだろうけど、違うよね。

 ながくろ、も違うな。

 んー、んんー。

 いい読み方が思いつかん。

 永玄の字面は悪くないと思ったけどいい読みが思いつかない。他のを考える?

 でもトコシエノクロかゲンショノヤミからとるのが手っ取り早くていいよね。一から考えるのなんてメンドウ過ぎる。ヤダ。

 そしてゲンショノヤミではちょっと名前にしにくい、と言うかちょっと名前としてイメージ悪い。

 やっぱり永玄がいいような。

 ながくろ・・ながぐろ・・・・・・


 ええい、ちょっと目え開けて、他の読み方がないかネットを見てみる。名前だけに使うような読み方もあるからね。

 ・・・・・・ええーっと、有るね色々。

 ひさのり・・つねはる・・・・・・

 んー、どうだろ。すごく普通、と言うか合わない。


 んー目を開けててもちゃんと制御を意識してたら問題ないような気もするけど、集中できない。やっぱり目を閉じるのだ。


 それにしても、広世さんはすぐに思いついたみたいに言ってた。

 その出来はともかく・・・ちょっとくやしい?

 白日でワイト・・・

 ワイトは単純に白、ホワイト、だよな。

 ワイトというと人間とかお化けとかの意味もあってややこしいけど、絶対そんな事まで知らないよね。たぶん。


 いや、うん。白い奴の名前はいいんだ。あれでいいと思うし彼女もいい加減につけたわけでもないでしょう。

 私も引き受けた経緯は不本意でも、やるからにはちゃんとやらねば。

 とは言っても行き詰まってるから脱線してんだよな。

 文字は永玄でいいと思うんだ。もうこれで決定にしよう。

 ワイトみたいに単純に色のクロの他言語からもじったって、ブラック、ネグロ、ノワール、シュバルツとかからじゃあどうなんだろう。・・・案外いける・・のか?

 ・・・・・・

 やっぱ、ろくなのが思いつかなかった。

 ・・・・・・・・・

 そうだ、永玄の読みを縮めればいいんじゃん。

 がく、がろ、なろ・・・・・・!!

 ふひゃっ、よし決まりだ。

 あいつの名前は・・・


 と思ってた所に勢いよく扉を開けてその本人が入ってきた。

 すごいタイミング、と言うより、たぶん私が名前を決めたのをどういうわけか感知して来たんじゃないかと思う。もうね、こいつらの行動にイチイチ驚いてなんかいられるかって。

 しかし、まだ女の子なんですけど。いちおう名前は男の子のつもりで考えてんだけど。

「ややこしい、元の姿になって」

 と言ってみる。

 聞き入れてくれるとは思っていなかったのに、瞬時に黒いチビドラゴンが目の前に現れる。

 うるさいイメージの奴がなぜか無言だ。

 私はノートに書いた「永玄」の文字を掲げながら宣言する。

「あんたのなまえは、なぐ、だ」

 いちおうダメ出しは受け付ける気でいた。

 が、奴はすぐに向こうへ駆けていった。きっとかたわれの所へ行ったんだろう。


 広世ぷらむはワイトの名前をつけたとき、彼の名前に対する感想がよく分からない、って言ってたけど・・・


 私わかってしまったんだ。

 あいつがすごく感動してるのを。

 あんな大きな感情を他人から感じたことはない。人、じゃないけど。

 どうしよう、すごく・・なんだろう、むずむず?する。

 私自身も何とも言いがたい感情で、ちょっと変だ。


 それにしても、広世ぷらむは自分のテレパシーでは頭で思ってるだけの言葉は拾えるけどそれ以上ではないと言ってたけど本当なんだな。きっと感情はわかってない。と言うかテレパシーがどうの言う以前に人の感情を思うのが苦手なニブチンじゃないのか。

 まあ、ワイトの名付けの時の感情が永玄と一緒だったとは限らないけど、たぶんきっと同じだったんじゃないかと思う。


 挿絵(By みてみん)


挿絵(By みてみん)

ちなみにきまぐれで広世ぷらむ、白日、永玄それぞれ画数占いにかけてみたら、見事に全滅で、凶、凶、凶。三人共に、各々の字も名字も名も総画も全部凶。まあ、気にしない気にしない。

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