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萌ぷらむ  作者: タクヲ
15/20

14.なまえ

 目の前で二人のイケメンどもが言い合ってる。

 そう、黒いのと白いの、二体のチビ龍が化けてるらしいヤツらが。

 その姿は本当に違和感のない少年に見える。普通以上に整ったお顔ではあるけど、瞳孔が縦長だったり耳がとがってたり変な髪色だったりと言ったファンタジーな小説や漫画にありがちな特徴は見当たらない。

 ただ、目立たないかというと、そんなことは全然ない。言ったようにお顔が少々整いすぎてるし、二人とも全く日本人には見えない。それでどうこう言う人はいないだろうけど、充分目立つ。

 それに黒い奴の地黒具合もすごいが、白い奴なんか、これでもかというぐらい白い。銀髪(プラチナブロンド)と白い肌、赤い瞳が怪しすぎる。

「ほら、帰るよ。認識阻害だって完璧ではないし、考え無しにマナを消費してるとまた昏倒することになるよ」

「はっ、これくらいでどうにかなるもんかよ。メイワク?って言うのもちょっと分からん」

 自信過剰、唯我独尊、迷惑の意味さえ理解できないだと?なんだってこんな奴に名付けなんか・・・

「それよりだ、名前だよ。お前がもらってオレがまだなのは我慢ならない。今、ぷらむがその話をしてるのを確かに聞いたぞ。こっちに来たときにぷらむと一緒に居た、そこの令嬢だろう、イロハモエってのは」

 レイジョウ?・・・私を令嬢と言いましたか?

 口調は居丈高。しかし私なんかを令嬢などと言う。そして、つづく言葉が、

「今すぐオレに名前ってのをよこせ」

 だって。

 なんだこれ。

 なんだよもう、なんで私がやるのが決定してるみたいになってるんだ。

 百歩、イヤイヤ、百万歩譲って名付けを請け負ったって、なんだ今すぐって。

「なんだ?オレの勅を拒否するのか?ワケが分からん」

(うわーーー!こいつっ!このまっ黒野郎、乙女のモノローグを平然と盗み聞きしたぁ!もう絶対名前なんかやんない)

「・・・あ」私。

「うっっ」黒いの。

 さっきまで練習半分で念話をしてたんで、思わず念話で聞こえる感じでまくしたててしまった。

 これで、奴が不敬だなんだって、怒りだしたらどうしよう。

 盗み聞きって思わず言ってしまったのも、広世さんのこともあって私が早とちりしてしまった可能性も、よく考えたらある・・・かも。

 でもなんか、うっ、とか言って白いのと広世さんを順に見てちょっとキョドってる。

 ほんのちょびっとだけ、かわいげがないこともない・・・・・・のか?

 対して、広世さんは黒いのをにらみ、白いのはヤレヤレってな感じ。

 しょうがない・・・・・・とは言わないけど、話ぐらいは聞いてやってもいいかもしれない。


 私だって昨日から色々考えたんだ。

 もちろんこいつらチビ龍とか変質能力とかの秘密についてもそうだけど、大体は広世邸でパニックを起こしたこととその後のイライラの原因、つまり自分の内面のことだ。

 っと、もうパニックもイライラも要らないから、余計なことを思い出すのは止めとこう。

 まあそこらへんから思った結論は、自分って女は嫌な奴だなー、と。

 常々、ほっといて、とか言ってるのに結局は人の目が気になってるし。

 自分は大した人間では無いけどそれで良いんだとか言いながら、気に入らない奴や自分基準で劣ってると思う相手を見つけて頭ん中で順列なんかつけて見下して、自己保身してみたりさ。

 あのパニックになったのだって、自身が人外の怪物なのではないかというのが恐怖のもとなんだと思うんだけど、その対象だったチビ龍どもは、人外ではあるものの言葉の通じないモンスターではなかったのだから、なんというか、別にこいつらに対して私が何か罪悪感を感じる事はないんだけど、失礼ではあったかもしれない。

 もっとも奴らはそんなことは何とも思ってないどころか私のことなんか全く眼中にない感じだったけどね。

 それなのに、広世さんとどういうやりとりをしたのかは知らないけれど、名前をよこせなどと目的が出来た途端ぐいぐい来る。

 そこはなんか気に食わないが、逃げ回る方がめんどくさそうだ。

 それに冷静に考えてみたら、感情より利得を考えると軋轢なくお近づきになった方がいいんではないかと思う。

 ・・・やっぱり嫌な女だな、私って。

 とか何とか考えてたんだけど、広世さんはアッケラカンとしたもんだ。 

(ええと、ここでのんびりするわけにはいきませんので、ゆっくり紹介は出来ませんが・・・・・・あー、と言いますか、あなたたちの萌ちゃんへの紹介はわたくしができる限りしておきますので、あなたたちは今すぐ帰って下さい)

 と、一旦私に向かってた広世さんが白と黒のイケメンどもに向き直って指示する。

 だがまあ、直ちに言うことを聞く奴らでもなく、まず白いのが、

「そうは言ってもぷらむだって僕らのことを良くは知らないだろうし、ちゃんとあいさつと自己紹介ぐらいはしておきたいところではあるけどね」とか、

「オレはそういうのはどうでもいいが、オレはオレのやりたいようにするだけだがね」

 そんなことを黒いのが言う。

(そういうのはお家に帰ってからでいいですから、早く帰って下さい。あんまり聞き分けがないとわたくしも怒っちゃいますからね)

 しかし広世さんがそう言うと、意外にあっさりと二人とも来たときと同様に文字どおり風のように去って行った。


(やれやれですね。ではあらためて彼らのことをお話しておきます。銀髪の彼が龍の姿で白くてシッポが二股になってた方ので、よく聞いてみると彼らはその世界での唯一神とか創造神に近い存在で、ここからがよく分からないのですが固有名が必要ないというか名前をつけて呼んではいけないとかいった感じらしいのです。ですが代替わりした当代では二柱であることや尊称もいちおうあると言うことらしくて、白い彼は“タエザルカガヤキ”とか“シロキヨウコウ”とか呼ばれてたそうなので「白日」と書いて「ワイト」と呼ぶことにいたしました)

 ふ~ん?

(ちなみに本人にこの名前をわたくしが言って承認と感想を求めましたところ、なんだか固まってしまってしばらく黙ってしまいましたので、そんなに気に入らないのならまた他のを考えてみますと言いましたところ、激しく頭を振ってそれで良いと言ってましたので、正直彼の感想はよく分からないのですが)

 左様ですか、まあいいんじゃないかしら。私がとやかく言うことはない。

(それで黒い方のことですが、わたくしはやっぱりぜひ萌ちゃんに名前を考えて欲しいのですが、その是非はともかく話を聞いていただくだけでもいいんですが・・・)

 もう私は名付けは引き受けても良いかなとは思ってるけど、なんでそんなに私にこだわるのかが謎だ。

 とりあえずうなずいておくけど。

(それはまあ、いいんだけど、あのチビ龍ども・・・彼らのもうちょっと詳しい事、例えばなんで突然あんたの部屋に現れたのとかも教えて欲しいかな)

 名付けに参考になるかどうかは分からないけど、知りうる限りの事を知りたい。

(あ、ハイもちろん、ですがわたくしもまだあんまり良くは知りませんので、先程も申しましたが、よろしければ今日もまた我が家にお越し頂いて一緒にお話しできればいいのですが、どうでしょう)

 はいはい、それはもう私もお願いしたいところだけど。

(わかったわよ、そこまで望まれるのもよく考えたら悪い気はしないし。じゃあとりあえず黒い彼の事を聞いてもいい?)

(はい!ありがとうございます!)

 お礼はあの高飛車な奴のお眼鏡に適うものが考えつく事が出来たら、だね。

 とにかく現時点で広世さんが知ってたこととで私が聞かされたことは、

 白い奴ワイトが“タエザルカガヤキ”とか“シロキヨウコウ”って呼ばれてたらしいのに対して、黒いのが“ゲンショノヤミ”とか“トコシエノクロ”とか呼ばれてたらしい事。

 性格は見たまんま口が悪くて高飛車だけど、裏表はなく案外かわいいところもあるかも、との事。

 私の印象もそんな感じだから、まあそのとおりなんだろう。

 ただ、三度(みたび)になる広世家への訪問で色々聞けるはずだし、もうちょっと詳しく聞きたいなんて言ってはみたけど、正直言って名付けに関してはそんなに情報は要らないでしょう。ただの興味から知りたいってだけなんだ、悪いね。


 しかし、もう身体の調子が悪いわけでもないし、不本意ながら、名前を考えるなんて真面目にやるなら大変な事を引き受けてしまった。もちろん引き受けたからには手抜きをするつもりはないから、一人でじっくり考える時間が欲しいところだけど・・・

 さっきのゴタゴタで一つ良かった事は大変不安定になってた私の心が逆に落ち着いた事。

 あの私の暴走と○○未遂は、広世さんが止めてくれなければどうなってたか。完遂できたとは思えないけど、少なくとも大変な事をしでかそうと思ったことは確か。

 そもそもそんな異常な思考に至ったのもずっといろんなどうしようもない思いでひどくイライラしてたのが一因だと、思う。広世さんがなんかヘンなことも言ってたがそれはまあよく分からないから置いとこう。

 そんなこんなで乱れまくってた私の心が今は表面上は落ち着いてる・・・気がするのは、奴らが突然現れてかき乱しまた唐突に去って行ったからなんだろう。


 まあとにかく、とりあえず一人になってちょっとの間でもいつも通りの時間が欲しかったんだけど、メガネをこわしてしまって自分の能力の制御がおぼつかない私は広世さんから離れるのが怖い。

 どうしたもんだろ。

 よし、ひとつ試しに聞いてみたいことがある。

(広世さんさ、今も(しずか)さんのピーちゃんだっけ、あの、のぞき見妖精、ここにいるよね?)

 ちょっと気になってたことだけど、言ってしまえば、まあ、当てずっぽうだ。けど確信に近い。

 あんのじょう広世さんはビックリしてる。図星ですかね。

(え、あ、その・・・そんなはずないと思うのですけど・・・あっ!!、本当にいます。あれえ、いつも学校に着いてきたりはしないのですが、萌ちゃんどうしているって分かったんですか、すごいです)

 そうなんじゃないかと思ってただけ。彼女がまだ姿が見えないピーちゃんをどうやって認識してるのかは謎だけど、洞察力の自慢をしたいわけでも驚かしたいわけでもない。

(じゃあさ、学校早びけして今から会いに行ってもいいか、きいてくんない?)


挿絵(By みてみん)


ダメだなあ、またもや投稿間隔の記録更新をしてしまった。

でもまた続きがあることだけしか約束できません。

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