表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
55/64

【Decisive battle③(決戦)】

 2階に裏口があるとはさすがに用心深い。

 場所は聞いていないが屹度奥にあるに違いないし、おそらく見張りを置いているだろうから、そいつが位置を教えてくれるはず。

 裏口と言うのは、リネン室の奥にあった。

 案の定、部屋の前に立っていた見張りが銃を向けて教えてくれたので、これを倒して中に入ると奥に脱出用の梯子が備え付けてある狭い穴があった。

「追加で、もう1人降りる!」

 手にアイロンを持って叫ぶと下から男の顔が覗いたので、顔を引っ込めて思いっきりアイロンを投げた。

「あーっ!」と言う悲鳴が聞こえたので勢いよく穴の中に入り、飛び降りる。

 意外に深かったので、梯子を使わずに飛び降りていたので、足を広げて減速して降りた。

 下に着くとアイロンを顔面に食らった男が、痛さを堪えて銃を向けて来たので側頭部に蹴りを叩き込んで寝てもらう。

 気が付く頃には、アイロンが当たった痛みも消えている事だろう。

 2階から地下通路に降りると、そこは暗い地下道があった。

 ガイドはいない。

 突然航空機のエンジンが掛かる音がした。

 飛行機で逃げるつもりだ。

 邸宅の周りを囲む広い空き地は、飼っている馬のためにあるのではなく、この飛行機のためにあったのだ。

 慌てて通路を進むが、少し先に行くと扉が閉められていた。

 鉄ではないが、やけに頑丈な扉。

 ワルサーP-22で一応撃ってみるが、鍵や丁番の位置が分からないので、当てずっぽうで撃ってみたところでビクともしない。

 こういう時、やはり22口径では無理だ。

 引き返すか!?

 いや、それでは時間が掛かり過ぎて逃げられてしまう。

 トーニがチャンと俺の跡をトレースしてくれていれば良いのだけど……。

 思う間もなく、地下通路にドスンと言う音が2つ。

 ブラームとトーニだ。

「遅くなりました」

 先に来たのはブラームだが、彼の9㎜弾でもビクともしない。

「どけどけ!開かなくなったドアの修理は、このトーニ様にお任せあれ!」

 トーニは持っていたU.S. AS12をドアに近付けると、まるでドアに切り取り線を入れるようにドンドンと連射していく。

 俺の撃った穴は直径約6㎜。

 ブラームの撃った穴は直径約1㎝。

 ところがトーニがU.S. AS12で開けて行く穴は直径約10㎝で、その周囲にもダメージを与えている。

 これが散弾の威力。

 見る見るうちにドアに切り取り線が入り、仕上げに俺たちが一斉に蹴ると、その線に沿ってドアが壊れた。

「イエーイ!!」

 喜んでハイタッチを求めてきたトーニに釣られて、思わずハイタッチをしてしまったが、ブラームはしなかった。

 “しまった。軽率だった”

「なんで、オメーはハイタッチに応えねえんだよ!」

 トーニがブラームに言うと、「今まで我慢して言わなかったのだが、お前臭すぎるから触りたくない」

 扉の向こうには直ぐ階段があり、そこを駆け上がると倉庫があった。

 もう飛行機はここを出て、飛び出そうとしている。

「ヤロー!逃がすか!!」

 トーニがU.S. AS12で散弾を打ち込むが、飛行機との距離は優に100mを越えているから効果は無かったが無駄ではなかった。

 散弾銃の連続発射音にマルタが気付いた。

 マルタは直ぐに飛行機の存在をサオリとキャスに伝え3人は馬で飛行機を追うが、先頭を走っていたキャスが飛行機に近付いた時、ダニエルたちが窓から銃を発砲したため驚いて急に止まった馬から落ちてしまった。

「ダニエル……」

「どうした?」

 俺の呟きに、直ぐトーニが反応した。

「ピパはダニエルと一緒に逃げるだろうか?」

「非常事態ですし、あの飛行機は4人乗りですから操縦手の他に3人乗れます」

「3人……」

 確かに操縦手の他にピパ、ダニエル、それに捕まっているクラウチ社長で人数は4人になるが、あの飛行機からは3種類の銃声が聞こえる。

 まさか掴まっているクラウチ社長まで、犯人グループの逃亡を助けるために銃を撃つなんて普通では考えられない。

 まあ4人乗りと言うのは安全を考慮した人数と言う訳で、座席さえ気にしなけば最大積載重量分人が乗る事は可能だ。

 キャスが落馬した後、サオリが抱えていたドローンを投げた。

 プロペラか操縦席の窓を狙えば、離陸を遅らせる事が出来る。

 そして離陸をやり直す場合は、向きを変えて俺たちの方に突っ込んで来るはずだから沢山の火力を使える。

「トーニ、頼みがある」

「なんだ?」

「この近くに川か水路がないか調べてみてくれ」

「やっぱ、臭うか?」

「ああ」

 俺はトーニの質問には答えると、大きく口笛を鳴らし、キャスが乗っていた馬を呼んだ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ