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大好きなわたしだけのひと  作者: ホーリョ
6/8

私が違和感を感じ始めたのはもうすぐ期末試験かという7月中旬のことである。心なしかお姉ちゃんが疲れているように見えた。付き合いたてのころのような幸せそうな顔も奥に引っ込み、時たまにため息をつくようにもなった。


「お姉ちゃん最近疲れてない?」


「そう?やっぱりいろいろなところ行ってるからかな」


「勉強は大丈夫なの?」


「受験生だからもうちょっと気合い入れてやらないとね」


やっぱり恋愛と勉強の両立は難しいのだろう。3年になって初彼氏ができたお姉ちゃんにとってはなおさらなのだ。


「受験生に彼氏は不要だよ」


「そうかもね」


私の冗談っぽく伝える本音にお姉ちゃんは冗談ぽく、でも少し真剣に答えた。



私は登校すると真っ先に他の男子とわちゃわちゃしている佐山に話しかけた。


「佐山、ねえ佐山。」


私が男子に話しかけることなんて学期ごとの健康診断の頻度より少ないから男子たちは口をあんぐり開けて驚いている。誤解させる恐れもあるけど背に腹は代えられず、佐山を教室から連れ出した。


「森先輩について探って欲しいな。3組の文春って呼ばれるあなたに。ちょっと最近お姉ちゃんが疲れてるようだったから気になったの」


「ほう。3組のモサドと呼ばれる俺に助勢を頼むのか」


3組の文春って言ったことをやんわりと修正された。ただのあだ名なのに思ったよりも気に入っているんだな。中学生かよ。


「言っておくが俺はボランティアじゃないからな、対価はなんだ?」


「一日デートしてあげる」


「命を懸けて情報を収集してきます」


私が即答すると、佐山は寄りかかっていた壁からものすごいスピードで直立不動の敬礼を行い私に忠誠を誓った。



日曜日の朝、昨日夜遅くまで本を読んでたため、少し遅く起きてきた私が最初に目に入ったものは、部屋で外出の準備をしているお姉ちゃんだった。


「今日も出かけるの?」


試験明けの最初の土日だから仕方ないかもしれないが、土曜に続いて日曜もデートなんていくら何でもやりすぎじゃないか?


「うん、一緒に図書館で勉強しようって言われてるから」


「テスト前でもないのに真面目ですなあ」


「いろんなところ誘ってくるから、私が提案したの。たまには勉強しようって」


お姉ちゃんは少し困ったように笑う。


「そっか、いってらっしゃい」


「うん、行ってきます」


私だったらお姉ちゃんを困らせたりしないのに。だって、困ったらちゃんと私に言ってくれるから。私ならあんなに心にため込んだりさせないのに。



ねえ、やっぱり私じゃダメかな?ダメなのかな??妹だけど、女だけど、だめなのかな?私だったらお姉ちゃんを大切にできるのに、、幸せにできるのに。

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