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大好きなわたしだけのひと  作者: ホーリョ
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「ほら佐奈、早くして。私もう行くよ」


「お姉ちゃん待って」


私は慌てて制服を着る。生徒会の用事で早く行かなければならないお姉ちゃんを待たせるわけにはいかない。バタバタと準備して玄関で待っているお姉ちゃんに追いついた。


「いってきまーす!」


私が靴を履くのを確認して出発した。お姉ちゃんの後を慌てて追う。


「別に無理して会わせなくてもいいのに。こんなに早く行って何してるの?」


確かに、生徒会活動で忙しいお姉ちゃんと違って、部活にも係にも属していない私はこんなに早く家を出る必要なんかないのだ。でも、お姉ちゃんと一緒に居られるのはできるだけ長い方がいいじゃない。


「読書とか勉強とかかな」


「私の妹は真面目だな~」


「生徒会長のお姉ちゃんに似たんだよ」


私たち姉妹は、今でも美人なお母さんによく似た姉妹だ。自分で言うのもなんだが、姉妹ともに綺麗な顔立ちをしていると思う。私はお母さんから可愛さが遺伝して、お姉ちゃんは美しさが遺伝した。


だから、妹の私から見てもお姉ちゃんは美人だと思う。生徒会長の時の真剣な顔、一緒に遊ぶときの楽しそうな顔、私の頭を撫でるときの優しい顔、そのすべてに見とれてしまう美しさを感じている。


そして私は、いつの間にかお姉ちゃんに恋をしてしまった。


でも、自信を持ってお姉ちゃんに恋をしているとは言い切れない。女子中学生の何割かは、同性の友達への「好き」を恋愛対象としての「好き」と体が勘違いしてしまって、自分が同性愛者ではないかと悩むことも多いという。私も、お姉ちゃんへの「好き」は家族の「好き」なのかもしれないし、実際にその「好き」も多分に含まれていることだろうからずいぶんと迷ってしまった。


でも、今なら言える。私、橋本佐奈は橋本香織と恋人になりたいのだ。姉だろうが同性だろうが知ったことではない。


もう学校が見えてきた。一人で登校すると地下鉄もバスも時間がかかるのに、2人だとあっという間に感じてしまう。県下一の進学校だからか、朝早くから学生たちがすでに活動していた。


生徒会のメンバーだろうか、お姉ちゃんを見つけて駆け寄ってくる。私だけのお姉ちゃんの時間はこれを持って終了した。


「会長、おはようございます」

「おはよう」


お姉ちゃんは私の頭を撫でる。


「じゃあ、佐奈。また後でね」

「うん」


本当に人前で頭を撫でるのはやめてほしい。恥ずかしさと嬉しさで顔が真っ赤になってしまうのだから。私は生徒会長モードになった可憐な後ろ姿をひとしきり見惚れた後、校舎に入って行った。


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