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92.いつも通りの日常・・・には戻らない

 今日は月曜日、本来であれば学校なのだが昨日、一昨日の文化祭のために休みである。

 そのため、明日も休みである。


 これまでの準備は大変だったが土日本番は遊び倒したのに、その後2日ともちゃんと休みをくれるなんてなんて甘い世界なのだろうか。嬉しい限りである。


 そして本日も明日も部活はないのでかなり久々にゆったりと休める日である。


 俺も刹那も遅い朝食を済ませてソファの上で撮り溜めていたテレビを見ながらだらだらと過ごしながら、「昨日は楽しかったねー」的なことを話していた。


「やっと、見終えたね」


「そうだなぁ」


「にしてもあの終わり方って毎回なんなの!おかげで次が気になって眠れないよぉ!」


「命を賭けてまで倒したはずの強敵が、ますます強そうな雰囲気を醸し出して復活してきたな」


「そうだよ!自分の命を散らしてまで大切な人を守って戦い抜いたのに!

しかも復活してくると予想した女の子がその場に残ったのにめっちゃ絶望な顔してるじゃん!

あの子大丈夫かな?・・・ていうかいったいいつになったら主人公はやって来るの!?

早く起きてよ!?」


 先程見終えたアニメに関して、刹那が色々とあぁだこうだと言っている。

 まぁ不安になるのは仕方ないとは思うよ。だってずっと主人公側劣勢だしね。


 ていうか敵側の数多過ぎで対処仕切れてないし、ほぼ無限に湧いて出てくるし。主人公側の戦力はどんどん分散されていくし、消耗していくしね。

 途中で増援が来たけど圧倒的に数が足りない。


 まぁ、あと少しで主人公起きてチートし出すから安心してくれ刹那。


 俺は小説の方で既に読んでしまっているのでこの先の展開を知ってしまっている。だから刹那と違ってそこまで感情的になることはない。


 というか例え気持ちを揺さぶってくるような場面が来たとしてもなぜかあっさりと感じられて逆に落ち着いてしまっている。


 今さらだが読まなきゃもう少しは揺さぶられたのかなあ?と思いながらも、刹那には


「そうだな、早く起きてほしいよな。いい加減まともな勝利のシーンを見たいものだ」


「だよね!来週は起きるかな!?楽しみ~」


 刹那は瞳を輝かせながら次の放映日をカレンダーの日付を確認している。


 俺は主人公が起きるのはあの週かな・・・とカレンダーに目を向けてそんなことを思いながら、隣の刹那を見る。


 キラキラとしている刹那はかわいくて見とれてしまう。この笑顔を俺は守っていきたい。隣でずっと・・・


 俺の手は自然と刹那の方に伸びて向こう側の肩を抱いて引き寄せた。


 刹那は「あっ・・・」と驚いた声を漏らして一瞬体を強ばらせたがすぐに緊張はなくなり俺の右肩に頭を乗せて体を預けてきた。


 ほどよい重さが右側に感じられる。刹那の体温や柔らかさや女の子の甘い匂いが鼻を刺激してくる。

 腕や首に掛かってくる刹那の髪がさらさらでくすぐったくもあるがそれ以上に心地よい。


「ふふっ、いきなりどうしたの?永遠」


 刹那が喜々とした声で尋ねてくる・・・そんな理由なんてわかってくるくせに。

 横をチラリと見ると顔全体は詳しくは見えないが刹那の口角が上がっているのがわかった。


「そういう気分だったからな」


「え~、気分で女の子を抱き寄せるなんて永遠の変態だぁ~」


「そうですよ、俺は刹那限定で変態さんですよぉっだ」


「きゃあー、襲われる!!」


 そういって抱き寄せられている中で刹那がもぞもぞと体を動かしてくる。


 ていうか刹那ちょっとテンション高すぎません!?刹那はそういった話には耐性がなかったはずなのだが。


 俺も何言ってるんだ・・・とちょっと恥ずかしくなってきた。家で良かった。

 この光景を他の人達にでも見られたら確実に見世物にされてネタにされて終わりだ。主にあいつらに・・・


 さっきから刹那がクネクネするため腕に柔らかいものが押しつけられたり、離れたり・・・柔らかい。


 流石にこんなことを続けられると俺の精神がガリガリと削られていくと何をしでかすか自分でもわからないので調子に乗りだしている刹那に軽くデコピンをする。


「調子に乗るな」


「あだっ!?」


 刹那仰々しくおでこを片手で抑えている。そして頬を膨らませて何かを求めるような目つきでこちらを見上げてくる。


 その見上げ方はずるいと思いながらも俺は刹那から求められているであろう行動を取るため刹那の額に手を伸ばす。


 そして刹那は嬉しそうに抑えていた手をどける。俺はどいたところをそっと撫でてやる。

 すると刹那は「へへへっ!」と嬉しそうに声を漏らしている。


「永遠には私のことはなんでもお見通しだね!」


「はいはい、刹那は甘えん坊さんだからな。たくさん甘やかしてあげないとすぐふてくされちゃうからな」


「もぉ~そんなんじゃないんだからぁ~」


 刹那をからかっていると、頬をプクッと膨らませているがその顔はとても嬉しそうである。

 俺は相変わらずだなと思いながら刹那とゆったりとした時間を過ごした。




 今日は刹那が昼ご飯を作ってくれるということなので俺はソファで小説を読み進めている。


 キッチンからはトントンと気持ちよい音を立てていた。

 次に火をつけてフライパンを炒めているであろう音と共に香ばしい香りがリビングにもこちらをやって来て空腹を刺激する。


 そして調理が終わったのだろうか水が流れる音が聞こえた。

 使った調理器具や準備のために使った皿を洗っているのだろう。

 俺は小説を読むのを止めて立ち上がり刹那に「運んでおくよ」と声をかけてテーブルに持っていく。


 料理をテーブルに並び終えたその時、背後でガシャーンと高い音が響いた。


 さっきまでの状況を察するに嫌な予感がして俺は振り返って確認するよりもほぼ無意識で先に能力を発動させていた。


 もっとも、自分が能力を使ったことに気づいたのは痛みに気づいた後だが。


「っあ・・・・・・!?」


 俺の両手には鋭くて激しい痛みが襲いかかってくる。

 相変わらず意識が飛びそうになるが俺は必死に耐えて意識をつなぎ止める。


 っはあ!、はぁ・・はぁ・・・・・相変わらず死ぬほど痛てぇ・・・手にはジンジンする感覚がまだ残ってるし・・・そんなことよりも刹那の安全を確認しなきゃ!・・・無事でいてくれ。


 長く感じる痛みを現実では1秒も立たずに経験し終えて、俺はすぐに先程感じた痛みから皿が割れて刹那が怪我をしたことがわかったのでキッチンに向かって声をかける。


「刹那!」


「永遠!?」


「大丈夫か!?」


 俺はキッチンに固まったまま佇む刹那の手を確認する。

 隣をチラッと見るとシンクには割れた皿が飛散していたので俺の予想は当たっていたことになる。


「皿落としちゃったのか?」


 俺は刹那が安心できるようにできる限り優しい声音で起こったことをする。


 刹那は首をコクりと縦に動かしながら頷く。


「うん、皿を滑らしちゃって割れた破片で怪我をしたんだけど、一瞬だけ痛いと思って目を瞑ったらすぐに痛みが消えて・・・・って!」


 説明していると刹那の言葉は詰まっていき何かに気づいたと言わんばかりにハッと顔を上げてジッと見てくる。


「だから!むやみに能力使っちゃだめ!って言ったでしょ!」


 俺を見つめてくる瞳はとても真剣で語気の強さからも本気で怒っているのがわかった。


「だって・・・」


「だってじゃない!・・・・・永遠に何かあったらって思うと心配なの」


「・・・」


「本当に、本当に・・・何もない?・・・もし辛いことがあるんだったら・・・ちゃんと知りたいよ」


 真剣な瞳は次第に潤んでいき声もだんだんしおれて弱々しくなっている。

 刹那は俺に何も起こっていないかを確認するためなのか俺の手を握り返してくる。


 すると刹那は一瞬目を真ん丸にしてまるで意識が抜け落ちてしまったかのように固まってしまった。


「刹那?」


「・・・」


 俺が名前を呼んでも全く何も反応を示さない刹那。なんだか心ここに在らず的な感じだった。

 

 それと同時に嫌な予感がして俺の体は謎の警告音を鳴らしていた。


 しかしそれがなんの警告なのかわからなかった俺はどうしたらいいか迷っていると、僅かな時間の経過の後に、「と・・・わ・・・?」と発する刹那の声が聞こえたのでハッとして、視線を俺に向けたかと思うと次第に顔が青ざめていき体も震わせながら、


「嘘・・・・でしょ・・そんな・・・・・じゃあ・・私は・今まで・・・」


 先程までとは異色すぎる刹那の様子に俺は「刹那!?どうした!?」と問いかけるのがそれに答えることなく虚ろとなってしまった目で刹那は、


「ごめん・・・なさい。ごめんなさい・・・ごめんなさい・・・・・・」


と涙を流しながら震える声でいきなり呪詛のように何度も謝り始める刹那が少し怖くなる。

 

 悲痛な声で謝られるほど俺の心がナイフでグサグサと刺されていくみたいだった。


 俺はそんな苦しみに耐えながらも、今もなお謝り続ける刹那を少しでも落ち着かせようと抱き締めて、


「大丈夫だ、一旦落ち着け。なんで刹那が謝るんだ、話してくれ、怒らないから」


 そう言って背中をさすろうとしたのだが、刹那は俺を押して離れて震える口を動かす。


「だって・・永遠が・・・・・・・・・・・・!?」


 その続きを言おうとした瞬間、頭を両手で押えだし「うぅっ・・・あぁ・・ああぁああー!」と悲鳴を上げた後「ご・・あっ・・・」と痛々しい叫びが切れ、糸がプツンと切れたように刹那はバタンと大きな音を立てて目の前で倒れてしまった。


 俺は突然の出来事に激しく動揺してしまい、体を動かそうにもまるで金縛りにでもあったかのように固まってしまっていた。


「刹那!!?」


 俺は目の前で倒れる刹那に対して名前を呼ぶことしかできなかった。

読んでいただきありがとうございます!


文化祭も終わってほのぼのな日常へ・・・とはいかずに最終章の始まりです。


最後まで書き終えたので、毎日投稿していきます。


面白い?続きが気になるかも?と思った方はブックマークや評価をよろしくお願いします!


今後もよろしくお願いします!


ここからシリアス(予定)の(予定)の部分が外れていきます。

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