表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

8/130

8.至上最低

 あの日は、7月初めにしては暑かった。湿度も高くムシムシしていて気持ち悪かった。

その日も刹那は俺の部屋の前で話し掛けに来ていた。


・・・うるさい・・黙れ・・・

ここに来て3ヶ月が経ちイライラがピークに達していた。そして俺至上最低な行動をとる。


俺は自室のドアを開く。

刹那は初め呆気にとられた表情をした後、すぐに笑顔になって、

「永遠!」


と、心の底から嬉しそうに名前を呼んだ。しかし、俺は・・・


「・・・黙れ」

「えっ・・・」


刹那の顔から笑顔が消える。そんなことも気にせず、俺は言葉をまくし立てる。

「うるさいんだよ!いつも、いつも、そうやって話し掛けてきて!お前に俺の気持ちのなにがわかるんだよ!家族が死んで俺独りの気持ちが!なぁ!」


「っ・・・」


「だいたい、お前の家族のふりみたいな様を見せつけられて、俺が喜ぶとでも、思ったのか?お前が俺にしてくることは全て迷惑なんだよ!お前なんかが、俺の孤独感を埋めれるわけないだろうが!もう、構うな!」


「うっ・・・うぅ・・」

刹那は何も言わず、涙を流しながら走って自室に戻っていった。


「クソ!何か言えよ!」

と吐き捨て、俺も自室に戻った。隣から刹那の泣いている声が聞こえる。

この日は昼も夜も飯はなかった。


 夜中、トイレに行こうと、部屋を出た。すると、廊下が刹那の声が聞こえた。

自室とは違い、音が廊下に漏れている。


「うっ・・ごめん、・・・ごめんなさい!」

謝っていた。

誰に?なぜ?足は止まり、刹那の部屋に耳を傾けた。


「私が、私なら永遠を救える、もう一度永遠の笑った顔を見ることができるって、そう思ってた・・・」


苦しい。俺の胸がズキズキと痛む。


「でも、それは私の気持ちを押しつけているだけなんだよね・・・ちゃんと永遠の気持ちを考えられてなかった。迷惑だよね。私なんか・・・・」


わけがわからなかった。刹那が泣く理由は俺への怒りでも全く無かった。

それどころか、ひたすら自分を責めていた。


そして、こんなにも俺のことを思ってくれていたことに気づいた。

何やってんだ俺は。くそぉ。

自分の中で色々な感情がぐちゃぐちゃになっていく。


俺は、静かに部屋に戻り、ベッドに潜り込んだ。そして、寝始める。

このぐちゃぐちゃになった感情が俺を押しつぶしてくる前に。


 翌朝、結局昨晩はあまり寝られなかった。もう一眠りしようかとも思ったが、

ぎゅるぎゅるっと、腹がなった。思い返せば昨日の朝から何も食べてない。

昨日のことだ、朝飯はないだろう。それどころか、これから飯は無しに違いない。


「とりあえず、リビング行くか」

朝飯を何にするか考えながら、リビングに向かう。


てか、リビングに行くのもなんか久しぶりだ。

そして、リビングのドアを開ける。

 今回も読んでいただきありがとうございます。

新たにブックマークの登録並び、評価をしていただきありがとうございます!

今後もよろしくお願いします!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ