78.何のために
「なあ、晴生少しいいか?」
「なんだ?」
今日の部活を終えて片付け等が済んだ俺は晴生に話し掛けた。気づけば文化祭まで2週間となっており、部活の練習もクラス企画のお化け屋敷も順調に進んでいる。
というかクラスの方に関しては順調すぎて、予定よりもかなり早く進行できている。お金にもまだ余裕はあるし、このままいければさらにクオリティを高めることができるかもしれない。石田も宣言通り刹那には一切手を出すようなことはしてないし。
ていうか宣伝用に別で衣装を作り、刹那に着てもらおうという計画が秘かに実行されているらしい。石田からの報告と刹那に着させてもいいか的なことを聞かれて『刹那本人に了承を取ってくれ』とだけ答えておいた。
沙月も特にこれといった様子はなく、元気があり余り過ぎているのか周りに元気を無意識にばらまきつつも、実行委員としての務めを果たしながらクラスでの作業を手伝ってくれていた。
しかし、そんな沙月を見ても、先日に見てしまった家の雰囲気がなんとなく気になってしまったので多くの相談を受けている晴生に聞いてみることにした。
「お前、沙月のことについて知っていることはないか?」
「どうした?浮気かぁ?」
「おい」
「冗談だ」
にやけ面を浮かべながら手を自分の顔の横にまで挙げて「もう何も言わんから」とでも言ってきそうな晴生に溜息をつきながらも、嫌味を込めて睨み返しておく。
「それでどうしていきなりそんなことを聞くんだ?」
と今度は晴生から疑問を投げかけられる。
「いや、少し気になることがあってな。ただの思い過ごしなら全然構わないのだが、ここのところよくお世話にもなっているし、何かあるならなぁ。と」
という俺に対して晴生は目を細めた。
「それはお前の勘違いとかじゃなくてか」
と珍しくトーンが落ちて、真面目な顔立ちになる。
「わからない。できれば勘違いであってほしいところだ」
晴生は何かを考えているのかいつもみたいにおちゃらけた雰囲気は消え失せ顎に手を当てながら何かを考え込んでいた、というよりは迷っている?的な感じだった。
「そうか、俺は相談で聞いた話で基本プライバシーに関わることは教えられない、というよりそういった話を白河さんからは聞いたことはない。ただ・・・」
「・・・ただ?」
晴生は俺の目をまっすぐに見つけながら、まるで俺の心を見透かしているかのように言葉を告げた。
「今から話す話はあくまでどこからかやっていたのか一切わからない噂だ。何か根拠とか証明があるわけじゃないぞ・・・・・それにお前がこの話を聞くということは人との関わりを避けることはもうできなくなるがいいのか?」
晴生の言葉に俺は少し、いやかなり驚いてしまう。俺の首筋には冷房が効いている教室内にも関わらず汗が伝っているのがわかる。固まってしまい何も言わない俺に乾いた笑いをしながら、
「お前がそういう行動を取っているのはわかってたよ。なんでその行動を取るのかは俺にはわからない話だがな。だから基本お前から話すまで待っていたが、お前から人との関わりを持とうとしている・・・・これはいいことには違いないがちゃんと永遠自信はそのことを理解した上で行動しているのか?」
「ああ。自分でもそこは理解している。俺は人と関わっていこうと思う。俺自身が前に進むために」
そんな俺の言葉を聞いた晴生はホッと安心したように息をついた後、いつものようなダルがらみではなく優しい笑顔を浮かべた。晴生にも、もしかしたら愛華にもかなり気を遣わしていたのかもしれない。今の言動や表情を見てなんとなくそう思った。
俺は刹那にも告げた宣言を改めて晴生にも決意として表明する。
「それじゃあ、続きを話そう。あくまでも噂だ、そこだけははき違えるなよ。白河さんの家族は近所でもあまり見かけたことがないらしく、なんでも仕事熱心とのことらしい」
「なあ、刹那」
「どうしたの?」と向かいに座り首をかしげながらキョトンと聞いてくる刹那。
今日も授業に部活、クラス企画の準備と忙しい日々を過ごした後帰宅した俺達は夕飯を食べて一息ついていた。
「なんで、沙月は家事をしてるんだ?」
刹那は聞いていることがイマイチよくわかってないのか目をパチパチさせている。
「いや、悪い聞き方がまずかった。その自分でいうのも恥ずかしいけどさ、刹那が家事を始めたのって・・・その・・俺のためじゃないですか?・・・・」
「うん、そうだね」とさも当然かのように何事もなく答える刹那。
それに対して俺は何が自分のためにやってくれてるよねって、痛すぎだし、最低過ぎるだろ俺!
自分で言い出しておきながらめちゃくそ恥ずかしい。俺は頭に押し寄せてくるそれらの感情を隅に追いやりながら話を続ける。
「だからさ、沙月は一体何のために家事を始めたのかなって思ったんだ」
やっと俺の言いたいことが伝わったのか「ああ、そういことね」と頭をうんうんさせながら腕を組みながらムッと難しい顔になった。どうやら思い出してくれているらしい。
「そういえば昔、なんか言ってた気がする・・・」
「・・・」
「『家事をやっている私ってなんかいいと思わない?』とかだった気がする。あんまり覚えてないけど、ていうかいきなり沙月のことを聞いて、まさか沙月に何かあったの!?」
とガタンと座っていたイスが後ろに倒れてしまうほどの勢いで立ち上がって身を乗り出しながら聞いてくる刹那。
しかし、すぐに後ろで倒れたイスに気づいたようで立てて座り直した。
「いやぁ、ふと気になっただけだよ。いつも刹那が家事をしてくれるから本当にありがたいなと思ったのと同時に他の人はなんで家事をするのだろうかって思っただけだから」
「そりゃあ、私はもちろん自分のためにやってるけど、永遠がこうして見てくれて褒めてくれるから私もやってよかったなぁって嬉しくなるんだよ。だからいつも見てくれててありがとうね!」
とあどけない笑顔を浮かべる刹那にドキドキしながらも、高ぶる気持ちが抑えられなくて刹那の頭を撫でながら、
「いつもありがとうな。ちゃんと刹那の頑張りは見ているから」
「へへへっ」と気持ちよさそうに撫でられるかわいい刹那を眺めながら、先程までの会話を振り返っているのであった。
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