77.刹那と沙月
「大丈夫だよ」
部活帰りの最中、俺は刹那にそう言われた。
「嘘つけ、一緒の班だとわかった瞬間に顔が真っ青になってただろ」
あの時はちょくちょくあっちこっち移動したりしながら刹那の近くを何度も通ることで刹那を気にかけていた。
「確かにそうなんだけど、私だっていつまでも永遠に守ってもらうわけにはいかないから!同じ班の子と一緒に行動してくれるようにお願いしてもらったし、石田君とは2人きりにならないように気をつけるから永遠はちゃんと全体を見てて」
そう言いながら真剣な眼差しで見つめてくる刹那。そこには先程までのただ怖いといっただけでなく、恐怖を感じていながらもそれに対して立ち向かう強い意志を感じた。
「そうか、俺の方から見つけて頼もうとしてたけど、刹那の方でも対策を立ててくれてたんだな。ありがとうな」
そう言って俺は刹那の頭を撫でる。
「一応、俺の方でも石田とは話をつけてきた。話を聞いた感じすっかりと自己の傲慢さがなくなってあいつなりに色々と変わったらしい。もうあんなことは起こらないだろうけど、何かあったらすぐに教えてくれよ。刹那の身の危機にはすぐに対処するから」
「ありがとう、私も女子からの話で石田君がさらにかっこよくなったて聞いてるから多分大丈夫だと思うよ。それに私達のことでクラスを巻き込むわけにはいかないし」
どうやら、女子の方でも石田の変化ぷりは伝わっているらしい。ていうかそうなってしまったら石田に全て劣っている気がしてきた。
刹那も自分のことでクラスに迷惑をかけるのは気に病むようで、もし万が一が起こった場合でも刹那はこちらが気づかない限り何も言わない気がした。
「それでも、俺は刹那の事が一番大切だから。本当にどうしようもなくなったときはちゃんと教えてくれよ」
そう、俺が副部長になろうが、クラスの文化祭企画の責任者になろうが刹那が優先事項であるのは変わらない。
「うっ!・・・・うん!私も永遠が一番だからたとえ他の人がどう変わってもそこは変わらないから」
刹那は恥ずかしさと嬉しさが混じり合ったような表情で顔を赤く染めながらも、はにかみながら「ありがとう!」と俺に感謝を伝えてくる。
その刹那のかわいい笑顔を直に見てしまった俺の顔は一気に熱くなった気がして顔を背けた。
翌朝、いつも通り刹那と一緒に登校してると、
「にしても石田君って本当にまるくなったんだね」
「あれ?刹那も直接目にしたことがあるのか?」
「いや?ないけど」
「じゃあ、どうやってそういったことを知ったんだ?」
まさか、連絡を取り合っていたとか!?と俺が考えていたのが表情に出ていたのが面白かったのかぷっと笑いだし、
「いやあ、友達に教えてもらっただけだよ。後は、なんか・・・・夢で見た気がする?」
「いやなんで、夢で見たんだよ。夢でも脅されたりしたのか?」
「ううん、全然そんなことなくって、謝罪に、変化の経緯やら、私とは関わりを極力避けるといった内容をなんか言っていた気がする」
と刹那が不思議そうに顎に手を当てて考えている。夢の内容ってそんなに細かく覚えているものなのか?しかも俺が言われたことや言ったこととほぼ同じ夢を見るってなんなんだ。しかも疑問形。俺はなんとなくこの会話を続けるのは危険だと判断した俺は話題の転換を試みる。
「そういえば、刹那と沙月って結構仲がよかったんだな。沙月があだ名で呼ぶくらいだし」
刹那のことを「せっちゃん」と呼ぶくらいだからな。かなり親しいのだろう。刹那はけっこう誰とでも親しくしているためクラスメイトの名前をろくに覚えていない俺には人の判別がつけられなかった。
沙月のこともこうやって関わることもなければ誰か認識することもなかったに違いない。どうやら俺は関わりがないと人の名前も覚えられないらしい。
「沙月とはね去年のクラスでかなり仲良くしていて、いつの間にかあだ名がついてたの」
「1年の時かあ、そういえば俺達クラス違ったもんな」
「うん、そうだね今はこうして同じクラスだけど去年は寂しかったな」
「うん俺も・・・・あっ、だから昼飯の時間は一緒にいられるように俺の弁当箱をだしにしたんだな」
「わっ、あわわ、恥ずかしいけど・・・・そういうこと・・だよ」
顔をカーッと赤くして小さく呟く刹那。
そう、刹那と付き合う前までは俺の弁当箱は刹那に管理されていた。
今になってようやくわかってそれが理由だったのか・・・・かわいいなぁ刹那は。
ちなみに今は自分の弁当は自分が持っている。同じクラスだし、お互いに特に用事がなければ基本一緒に食べたりするからな。2人というよりかは愛華や晴生も入り込んできて一緒に食べるのだが口では不平な言葉ばかりが出てくるも、そっちの方が気楽に食べれてありがたい。最近は視線も攻撃的なものは減ってそこまで気にならなくなったが、夏は冷房の効いた教室内で食べているので2人で食べるのはかなりの難易度になるので避けたいところである。それに話していて楽しいからな。
「って、違う!今は沙月の話をしてたのに!」
と顔をブンブンと横に振っている刹那。
「あっ、そうだったな」
「といってもこれといったエピソードとかないんだよね。なんか席がよく近くって沙月もよく家事をやってたりするみたいだからその話中心で気が合っていつの間にか仲良くなってた」
「そうか、沙月も家事をやってるんだな。なんか面倒見よさそうだからなんか納得だな」
「だよね、すごく明るくて誰にでも親しくグイグイいって元気いっぱいのかわいらしい女の子って感じだもんね。家事のこととかも結構共有したりしてるんだよ」
「そっか、じゃあ今まででも沙月の教えてもらったこととかがこっちにも反映されてたりするんだな」
「そうだよ!例えばね」と話していく刹那。俺が思った以上に数があって、やっぱり刹那は今でも家事のことで努力しているのだと実感した。
気づけば俺の手が刹那に伸びており、頭を撫でていた。
「いつもありがとな」
「ふふっ!どういたしまして!」と爽やかな笑顔を浮かべる刹那。この笑顔に他に勝るものはないだろう。さっきまで褒めていた沙月には申し訳ないが。
にしても、沙月が家事か・・・
家事と言われて俺は昨日の沙月の家を思い出していた。寂しさをまとっており人気が全く感じられなかった家。
それになんとなくではあるが、家に近づくにつれて沙月の覇気がなくなっていった気もした。
・・・・気にしすぎか。今は目の前のことに集中することにしよう。文化祭があるからな。
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今後もよろしくお願いします!
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