71.カラオケだー!
勉強はどこ行った?
「やっほーい」
と勢いよく席に座る愛華。俺達4人が今いるところはカラオケである。
勉強会はどこ行った?と思う人達・・・・そうだよな俺もそう思う
朝の一悶着以降の経過を要点をつまんで説明しよう。
朝ご飯を済ませた後、午前中で愛華の課題は完璧に終わったので、午後から遊びたいということだった。
「テスト勉強もしろよ」と訴えたのだが、「それはそうでけど、一旦気持ちのリフレッシュは大事だ!てかもう今日は勉強したくない!」と完全に愛華のスイッチが切れてしまったので午後からは外で昼を食べた後、愛華の意見でカラオケにやってきた。
昨日はほぼ一日中勉強してたし、それに今日は朝からかなり精神をすり減らしてしまった。午前中勉強してたがやはりどことなく暗い雰囲気が残っていたし、少し喋りづらい空気が漂っていた。
俺のせいでせっかくの楽しく、集中して勉強に取り組める勉強会だったのに壊しかけて本当に申し訳ない。
愛華が刹那を引き連れて早速とタッチパネルに手を取り曲を選び出したので、2人の飲み物を聞き、晴生とドリンクを取りに行った。
ドリンクを注いでいる最中に一緒に来ていた晴生が隣にスッと立って、
「別にお前のせいでこうなったわけじゃない。だからそこまで気負う必要はない。今は楽しもうぜ。ちなみに今回が初カラオケだ」
最後にどうでもいい情報を残しながら俺の背中を軽くバンッと叩き、注いだコップを片手に自分達の部屋に戻っていった。
そうだな、今は純粋にこの時を楽しむことにしよう。自分の気持ちと向き合うのはまた今度だ。
ただ・・・
「なんで、コップを3つ残したんだよ・・・」
とぼやきながら3つを溢さないように運んでいくのであった。
俺達は4人吹奏楽部だ。さてここで1つ問いたい。楽器をやっている人間が音楽に多少精通しているからって歌が上手いことにつながるのだろうか。
答えは個人差による、だ。ハイでもノーでもない。そもそも音楽の感性や知識は養われているかもしれないがそれを楽器で表現するのと声で表現するのは多少通ずるところはあるかもしれないが、異なるところもある。元からの声の性質にもよるかもしれない。
なんでこんなことを主張するのかって?
俺は今歌い終わった歌の点数を見る・・・・86点・・・・・・・なんていうか微妙だろ?
俺はカラオケにそこまで行ったことないが、これまでだいたい80点代しかとれたことがない。最高でも89点で90点という数字を俺は見たことがない。
耳を塞ぎたくなるほど下手くそでもなく、かといって上手いというわけでもない。なんとも説明が上手くできない微妙なライン。まぁ今後の人生の中で俺の歌がどうかなんて話が発生することはないんだけどな。
ちなみに他の目安は愛華は80後半から良ければ90前半。そこまで高い音が得意というわけじゃないが女性の低い音域間が特に上手いと聞いていて思う。ただし、本人は大好きなアイドルの歌で高得点を取りたいらしく熱を込めて歌っているが90を越えたことはないとのこと。
刹那は、上手い。聞いていてとても心地よい透き通った声だし、表現もそれなりに上手く、時々その世界に引き込まれるんじゃないかとなってしまうときもある。点数もほぼ90点代。本人は純粋に歌っているのを心の底から楽しんでおり、本には点数のことなんかは気にしてないようだった。
にしても歌っている刹那は楽しそうで、見ているこっちも楽しくなってくるし、マイクを片手に歌う姿は綺麗だった。
晴生に関してはここで明言するのは本人の尊厳のためにやめておこうと思う。なんかかわいそうだからな。別に音痴とかそういうのじゃないんだよ。だけどなんか声的にね、ドンマイとだけ思っておく。
「おい、なんか知らんけど絶対嫌味なことを考えているだろ。ムカつくから殴らせろ」
「そ、それは、理不尽すぎる」
いきなり難癖をつけて俺の顔の前で握りこぶしを固める晴生。俺はその拳を俺に向かないように必死に押さえておいた。
にしても考えていただけで殴られそうになるとは、こいつテレパシーでも持ってんのか?
とりあえず晴生の前で晴生の嫌味を考えるのはやめよう、そう決めた。
しばらく個々で歌を回し続けていると、
「ねぇ、刹那一緒に歌おうよ」
「いいけど、私ハモりとかわかんないよ・・・」
「そこは大丈夫だから!ほら始まっちゃうよ!」
渋々としていた様子だったが無理矢理刹那にマイクを握らせて一緒に歌い始めた。どうやら歌う曲は初めから一緒に歌うようだったようで刹那がソプラノで愛華がアルトパートを担当していた。
サビ前まではそれぞれ一人ずつ歌っていたが、サビになると2人のハーモニーが綺麗に混ざり合って奏でていた。
わざわざ愛華がアルトで練習してきたとは思えないので、その場で歌っているのだろうが即興とは感じさせることのないほどのクオリティだった。一つだけ思うことがあるならば、正直選曲した歌詞が今朝方の俺には嫌というほど響いてくるからちょっとしんどいなとだけ思った。もちろん愛華はそんなことは狙ってないと思うが。
「「イェーイ!」」と歌い終わってハイタッチする刹那と愛華。
「刹那はやっぱり上手いねぇ」「愛華だっていきなりハモってきてびっくりしたよ」と感動を分かち合っている。
一通り終えた女子達は、「次は男子でね」とマイクとタッチパネルを渡される。
とはいえ、俺達にはパートやハモりは即興でできないので俺と晴生でオクターブで歌うことにした。曲はよく知られた男性2人が歌う、公開されている動画では手の影絵を使った演出がなされている曲だ。
勢い込んで、高い音域を狙ってみたが、そんなホイホイと出るものではなかった。なかなかひどかったと思ったが、複数人で歌うのも新鮮でいいなと思い、今度は練習しみようかなと思った。しかし、
「またやろう」
晴生に言ったのだが、
「遠慮しておく」
ぶっきらぼうに言われてしまった。どうやら晴生にはカラオケ自体が向かなかったようだ。
「じゃ、最後はこれね」
と言って愛華がニヤニヤした顔で俺と刹那にマイクを渡してくる。
「はぁ!お前これが狙いで・・・」
「はいはい、もう始まっちゃうからねぇ」
戸惑う俺と刹那の背中をグイグイと押して画面の前に並べて立たせた。
「愛華ったら、しょうがないなあ。永遠一緒に歌おう!」
横を見ると刹那の無垢な笑顔に俺は「そうだな」と笑い返した。
流れてきた曲は映画の主題歌として有名な男性のシンガーソングライターと女性のシンガーによって歌われた曲。男女でのカラオケでのデュエット曲として人気の高い曲の一つである。
ピアノの特徴的な音の運びからイントロが始まり、一番は刹那のソロ、サビで合流した後、二番は俺のソロだった。そしてサビで再び合流。その後は掛け合いをし合って、刹那のソロ、最後のサビは2人で歌いきった。
隣に立って歌う少し顔を赤く染めた刹那は楽しそうでそして綺麗だった。自分の声が刹那の声と混じりあって一つの形となったときは嬉しかった。この時だけこの空間にいるのは俺と刹那だけだった。この世界にもう少しだけいたいなぁとそんなことを思った。
歌い終わって、「楽しかったね、永遠!」とはにかみながらとびっきりの笑顔を向けてくる。そこには先程まであった綺麗さよりもあどけないかわいらしい笑顔だった。俺はそんな刹那の頭を撫でながら、
「うん!楽しかったよ、刹那」
2人で「また来よう、今度は2人で!」と刹那とそんなことを約束したのであった。
「ねぇ、2人だけの世界を作ってるあいつらはおいて帰らない?」
「お前のせいだから。諦めろ」
「はぁ、しょうがないわね。でも良かったわ、楽しんでもらえて。2人ともいい顔」
「そうだな・・・お前やっぱり気にしてたんだな」
「・・なんのこと?さて、さっさとあの世界をぶち壊すわよ」
「はいはい、いってら~」
読んでいただきありがとうございます!
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新作を短編として出しました!ジャンルはローファンタジーです、たぶん内容的には。
ファンタジーと称しておきながら、日常と戦闘の比率は7:3です。
幼い少女(小学生低学年)黒華と刀哉のほのぼのとした日常を過ごしながら、戦いが入り混じる話となっています!
【短編】 戦いの時だけロリっ娘(マジの幼女)が武器に変化するのですが!?
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ぜひ読んでみてください。反応が良ければ連載してみようかなと思っています!




