69.バレた・・・俺の時は止まったまま・・・
今回は少し永遠に抱える問題に触れます。
「一体どういう事でしょうか」
「「はい」」
愛華の冷えた声が部屋に響く。初めて聞いた愛華の怒りに俺と刹那は俺の部屋で正座をしながら下を俯いていた。
あまりの気迫に顔を上げることすらできない。きっと顔を上げれば、腕を組みながら鬼の形相をした愛華とさきほど帰ってきた晴生が軽蔑の視線をこちらに向けていることだろう。
「まずは、刹那から」
刹那の行方不明事件は刹那によると、夜中トイレに行った後、寝ぼけながら歩いていたら最近は俺といつも寝る場所となってしまっている俺の部屋に無意識に入り込みそのまま布団でぐっすりということらしい。
そして寝ぼけてた刹那は俺を抱き枕にしてしまったということだ。
なんともかわいい理由ではあるが、この説明でバレたところは刹那の家に俺の部屋が存在すること、最近は俺の部屋で一緒に寝ていることである。
「なるほど、わかったわ。そういうことなら仕方ないわね。だけど私は本気で心配したし、晴生も外を汗ぐっしょりになるまで探してくれていた。もちろん永遠も私まで睨んでくる勢いで心配してた」
「皆、ごめんなさい。ご心配をおかけしました」
と謝る刹那。
ていうか愛華よ俺が睨んでしまったことを根に持ってないか?
と思った俺だがそんな余計なことを言ってしまった日には俺の口が縫い合わされる未来が見えるのでやめておいた。
一通り、刹那の説明が終わったところでとりあえずお2方は納得してもらえたようだ。
「さて、ここからが本題、物置と称されてた部屋に永遠の物がたくさん置いてあったし、まるで永遠の部屋みたいだった。刹那が寝ぼけているとはいえ無意識で永遠の布団に入り込むレベルってことは一緒に寝たりもしてる?ていうか昨日からやけに永遠は刹那の家について詳しすぎる。それこそ一緒に住んでいるんじゃないかと思えてしまう」
と今度は標的が俺に切り替わる。
「・・・」
俺は何も言わないで黙っていた。
いやたぶん説明すれば2人はわかってくれるというのは自分でも一年間過ごしてきてわかっている。
ただ単純に俺が話したくない、認めたくないだけなんだ。俺がこの話をするためには過去と向き合って受け入れなければならない。それにこの話をしたら俺はこいつらを大切な親友として認めてしまうことになる。それだけは絶対に避けたかった。
「刹那の親は海外で働いているのは知っている。もし一緒に住んでいるならこのことは両親は納得しているのか?いや、たとえ納得していても高校生が同棲しているのは、色々と問題なのだと思うのだけど。もちろん2人はそんな問題を起こすような人ではないというのもわかっている。だけど世間の目は厳しい。他人に知られたら社会的にもまずいことになるぞ」
今度は晴生が口を開く。だけどその内容は俺を責めるというよりは心配しているという内容だった。相変わらずお人好しなやつだなとそう思ったのだが、今回だけは責めてきてほしかった。大切なやつだと認めてしまいそうになるから。
そう、俺は4年経って未だに家族の死を完全には乗り切ることができていないのだ。大切な人達がいずれは消えていなくなってしまうということがなによりも怖くて、家族の死すら受け入れられずにいた。
俺はまだ家族の墓まで辿り着けたことはない。
中学1年のときの夏、刹那のおかげで立ち直ることができたがお盆のとき刹那と刹那の両親と共に墓参りに行こうとした。太陽がギラギラと焼き付けてくる夏の蒸し暑い日、墓へと続く山道を歩いていたときだった、目的地に近づくにつれて俺の体は震えてきて、歩幅が狭くなり、呼吸が苦しくなった。
そして俺の足は完全に止まった。そこから先に動けなかった。隣を歩いてた刹那が異変を感じ取ったのか
青ざめた顔で前を歩く親を呼びつけた。3人がそれぞれ心配している様子が視界に入ったのを最後に俺の意識は途切れた。
薄れゆく意識の中俺は思った。大切な存在を失う恐怖、それがあまりにも痛くて辛すぎて苦しくてそんな経験はもうしたくなかった。
だから俺が出した結論は人との関わりを極端に減らして、大切だと思う人間関係を構築しないことだった。
自分でも現実逃避していることなんて理解していた。でもそうでもしないとやっていける自信がなかった。
あれから俺は自分で決めたことを忠実に守っていった。夏休み明けから学校に通い出して、クラスメイトが話し掛けてきても全部素っ気ない反応で返してやった。クラスメイトとは行事とかどうしても必要なときだけしか関わった。
もちろんこれは刹那、刹那の両親にもやろうとしたが半日も経たずにやめさせられた。というかやりたくなくなった。やった瞬間刹那の顔がぐちゃぐちゃに歪んで、とても辛そうで、寂しそうな表情を向けられ、俺の胸が思いっきり締め付けられてしまった。俺のせいで刹那がこんな顔になるのは見たくなかった。
それから4年間、刹那の前や家では普通に、学校などでは誰とも関わらない。そんなスタイルで生活していた。
その間、誰も俺の家族について触れることは極力避けてたし、墓参りにすら俺は行ったことがない。
本当に我ながら最低だなとは自覚してる。ずっと気を遣わせているのだから。
「永遠、ずっと黙っているけど説明してほしいのだけど」
「・・・」
そんな事情など何も知らない愛華の声で俺の意識は現実に戻された。言わなければならない、だけど言いたくなかった。いや言葉が出なかった。あれだけの年月が経ったというのに未だに心が体が言うことを拒否していた。何か言おうと思ってもかすれて言葉にならなかったのだ。
そして、今の俺にとっては一番の禁句となってしまっている言葉を愛華が言った。
「永遠の"両親"はこのことちゃんと知っているの?」
そんなさも当然いるかのように聞いてきた質問に俺の呼吸はだんだんと荒くなっていくのであった。
今回も読んでいただきありがとうございます。
今後もよろしくお願いします!
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