68.刹那が消えた!?
俺は大慌てで布団から飛び起き、愛華から事情を聞いた。
夜、刹那と軽く話した後それぞれ眠りについたのだが、朝起きたら、刹那の部屋にも、リビングにもいなかった。朝風呂でも入っているのかと思ったのだが、当然風呂場にはいなかった。トイレにもいるわけでもない。
しかも連絡を取ろうにも刹那のスマホは部屋に置きっぱなしらしく連絡が取れなかった。
「出掛けてるんじゃないのか?」という俺の疑問に対して、愛華が難しい顔をして、
「それが靴はあるみたいなの」
と俺の考えは否定されて、冷や汗が背中にどっと出てくるのがわかった。
急いで階段を駆け下りて玄関に向かい確認したのだが、確かに愛華の言うとおり靴は残っていた。念のために横の棚を開けて他の靴がないか確認する。その中には、俺が昔使っていた靴が入っていたのが見えたので、後ろにいる愛華には見えないように俺の体で隠しながら見たが、刹那の靴は1足も減っていなかった。
愛華にもそのことを伝え、「晴生は?」と尋ねると既に外に出て探してくれているということだった。
「まさか、誘拐?」
とふざけたことを言う愛華に振り向いて、思わず睨みつけてしまった。
だけど俺はその行動をすぐに後悔した。目の前には瞳を真っ赤に腫らした愛華の顔があった。刹那のことを本気で心配してくれてるのがわかる。
今も肩を震わせている愛華の肩を掴みながら、
「まだそうと決まったわけじゃない、誘拐だとしたら荒らされた痕跡や侵入した痕が残っているはずだけ
どそんなものはまだ見つかっていない。それも最悪の可能性として考慮しつつも、靴がちゃんと残っていることからまんべんなく家の中を探そう」
と愛華を一旦落ち着かせる。
そして落ち着いた愛華は1階を俺は2階を捜索することになった。刹那の部屋や両親の部屋など隅々まで探したが刹那は見つからなかった。
俺は内心「ほんとに誘拐された」という最悪の考えが浮上してきて焦り始めたが、廊下に出て一旦愛華と合流しようとしたその瞬間、俺の視線はあるものに釘付けになった。
まさかな・・・。そう、視線の先には「進入禁止」と書かれた紙が貼ってある現在物置と称している俺の部屋だ。
俺は震える手をなんとかドアノブに伸ばし、ガチャリと回しゆっくりと開ける。
これでいなかったら、本当に・・・・頼む!そこにいてくれ。
1日ぶりに入った俺の部屋は隠した俺の物が散乱しており、その先には俺達の心配など何も知らない刹那が俺の布団で穏やかに眠っているのであった。
「ハハっ、まったく心配しすぎて損したじゃん」
そんなことが口からこぼれながらも、眠っている刹那の元に歩み寄り、側に座って頬に手を伸ばしてすっと撫でた。刹那は撫でた俺の手を掴んできて枕にでもしているのか頬をすりすりと押しつけてくる。
そんな気持ちよさそうに寝ている刹那を見て、先程までの緊張感はどこかに行ってしまった。
「へへへ」
と今もどんな夢を見ているのかは知らないが目をへにゃりとさせながらニコニコ顔で眠っている。
そんな刹那を見て、癒やされながら刹那の頬をフニフニしていると、
「永遠ー、刹那いたー?」
ああああああああっ!やばいよ、この状況!
と俺が焦っている間にも階段を上ってくる音は止まらない。
「永遠ー聞こえるー?」
と大声で俺の名前を呼ばれ、とりあえずこの部屋を出ようとしたのだが、
「だめぇ、いかないでぇ」
と今の叫び声で半覚醒したのか寝ぼけながら腕をがっしりと掴んでくる。俺は腕を振り払おうとするのだが全然振り払えないどうなってるんだよ!
階段を上りきった音がして、「あれ、あそこってたしか・・・」と開けぱなしのドアに気づいた様子でこちらにスタスタと歩み寄ってくるのが聞こえる。
入られるのはまずい!ここに刹那がいたというのは問題はない・・・いや問題だが、なんとか誤魔化すことは可能だ。しかし、部屋に入られ、俺の私物があちこちにあるのを見られたら確実に終了だ。とりあえず、部屋から出て愛華に見られないようにしなければならない。
だからもう刹那を引きずってでも部屋から出ようとして俺が立ち上がった瞬間、
「いまはぁ、いっしょにぃ、ねてるでしょぉ」
とそのまま布団に引っ張られてしまった。立ち上がった瞬間の出来事だったので踏ん張ることができずにそのまま刹那の抱き枕にされてしまった。俺は刹那と向き合う形になってしまったので後ろの様子は目で捉えることはできない。ていうか抱き枕にされて色々とめちゃくちゃ押しつけられるので刹那は温かくて柔らかいなぁ・・・とバカなことを考えているときだった。
「あれ、永遠?・・・・・・・・・と刹那!」
あっ、終わった。どうやらこっちに完全に気づいたようでドタドタと部屋の中に入ってくるのがわかった。
「なんで2人がここにいるのよ!てかなに2人で寝てるのよ!・・・・・・ってまさか・・・あんた・・」
といけない方向に話が向かおうとしているので、今も隣で「とあぁ、へへへ、とあぁ」と寝ぼけている刹那はスルーして、
「違う!俺は断じてそんなことはしていない!後で刹那にでも聞いた後、俺を煮るなり焼くなりしてくれ!
とりあえず、この状態のまま報告させてもらうけど、刹那がこの部屋で寝てた。俺がそれを見つけて起こそうとしたら抱き枕にされた。以上だ。ほんとにそれだけだ!」
と若干脚色した弁明で愛華に試みる。
すると、後ろで深い溜息が聞こえた後、
「とりあえず、刹那が無事でよかったわ。そんなに焦らなくてもその様子を見れば何もしていないのはわかるわよ。」
「そうか」
ちゃんとわかってくれたようで安心した。
「じゃあ、私は晴生を呼び戻してくるから、永遠は寝ぼすけ刹那をなんとか起こしてきなさい。先に下行って待ってるから」
とだけ言って立ち去ろうとする。
あれっ?もしかしてこの部屋の様子に気づいていないご様子ですか?やったあバレてねえと心の中でガッツポーズをしていると、
「あれっ、この自転車・・永遠のじゃない?なんでここに・・・・」
と異変に気づいた愛華は部屋を出ようとするのはやめて中を見渡し始めたようだった。
何か見つける度に「あれ?これも永遠のじゃない?」という言葉が愛華の口からこぼれ、最後には、
「もしかしてここって永遠の部屋?」
愛華が結論にたどり着いたことで、俺と刹那の平和な日々が崩れる音がした。
今回も読んでいただきありがとうございます。
今後もよろしくお願いします!
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