57.女の子を泣かせた罪は?・・・
「落ち着けたか?」
「うん、なんとか」
あれから宥めること約20分刹那のひたすら抱き締め続けた。
刹那はなんとか落ち着きを取り戻した。
「刹那、本当にごめん」
俺は今の体勢のまま謝罪した。
ただのやり返しになるはずが、思いっきり恐怖を与えて泣かせてしまった。これでもデート中だって言うのについ楽しくなりすぎていて浮かれてしまった。刹那への配慮が足りておらず引き際を見誤ってしまった。
「ううん、私もごめんなさい。ちょっと永遠のことからかいすぎた。あんまりにも私がからかい続けるからやり返したくなったんだよね」
「確かにいつもよりからかわれたけど、それもまた刹那と過ごせて楽しかった。だけど俺がしたことは刹那を怖がらせて泣かせてしまった。俺が受けたものとは比にならないよ」
「そうまでさせた私もよくなかった。なんか今日が楽しすぎてちょっと浮かれてたのかもしれない」
どうやら互いに同じだったようだ。
「俺も同じだよ。刹那とのデートが楽しすぎてだいぶ浮かれてた」
「そうなんだ、やっぱり似たもの同士だね。私達!」
「かもな」
お互いにクスクスと笑い合う。
俺は刹那を抱き締める形を取っているため、直接顔を見て確認することはできないが声音や様子から元気になってくれたのは間違いないだろう。
「それじゃあ、そろそろ」
そう言って離れようとしたのだが、
「だめ」
と背中に腕を回されホールドされてしまった。
「えっ、立ち直ったんじゃ」
「確かに私も悪かったけど、女の子をこっぴどく泣かせたことは許しません」
「そ、そんなぁ」
とまさかの許されてなかった。あっ、でも今までの会話を思い返しても泣かせたことに対する許しはしてなかったな。
くそ、ちゃんとそこはしっかりしてやがる。
「というわけで、永遠には罰を与えます」
「んな、それは理不尽な」
「何か言いました?」
と急にトーンがダウンし、冷たい声音になる。怖すぎて心臓が止められてしまったのかと思った。
刹那さん、怖い。まじで油断すると泣きそう。
だけど少し俺への配慮をしてくれてもいいんじゃないんですか。しかしそんなことを言い出した時には俺の命はないことが予想されるので、
「何も言っておりません。なんなりとお申し付けを」
ははっ、刹那様に従え~。
「それでは罰を言い渡します」
「はい」
まじで何が来るんだ?どうか生存だけはお許しを。あっでも絶交宣言も勘弁してください。寂しくて死んでしまいます。
「もうちょっとだけこのままがいい」
・・・・・はっ?
「・・・それだけ?」
「ムッ、それだけとは何ですか。怖い思いをした女の子をしっかりと安心させるのが男の子の使命でしょう」
いや、使命までは行き過ぎだ。まぁ、俺にとっては使命だけど。
「わかった、誠心誠意をもって償わせていただきます」
「んっ・・・・」
と再び抱き締める力を強くする。それに伴い刹那が少しいやらしい声を上げたがそこは全力をもってスルーする。
「ふふっ、私の大好きな永遠だぁ。落ち着くなぁ」
と甘えた声に戻った刹那。既に安心してるんじゃないか?
「いつまでやるんだ?」
「うん?私がいいって言うまでね」
マジで!?俺としては嬉しい限りなのだが、なんとまぁかわいい罰である。
こんなかわいい刹那を愛でられるならいつまででもいいか。・・・・・周りの目線は多少・・いやかなり感じるがそこは無視させてもらおう。刹那のことが第一である。
「ふぅ、楽しかった」
「俺も、刹那が楽しんでくれてよかったよ」
俺達はデートが全て終了し家に帰ってきた。ちなみに罰という名のご褒美をいただいた後には、残りの見てなかったエリアを周り、最後にイルカショーを見て帰ってきた。水が飛ばないような位置を選んだはずなのに少し水しぶきが飛んできて驚いた。今時のショーも立体的になって進化してるんだなとのんきにそんなことを思った。
だって、ショーの中身なんてほとんど覚えてない。覚えてるのは隣でショーを楽しそうに目をキラキラさせていた刹那ばかり見てしまっていたからな。
さて、ここからだな。俺は高ぶる気持ちを落ち着かせながら、
「刹那、こっちに来てもらっていい?」
「行くよ」という返事が来て、上から階段を降りてくる音がする。
これから起こる反応が楽しみで、少しそれでもやっぱり不安でドキドキしているのが自分でもわかる。
ドアがガラガラと開けられる。
「どうしたの永遠?」
と不思議そうな目でこちらを見つめてくる。
「刹那」と俺は本日主役の名前を呼ぶのだった。
今回も読んでいただきありがとうございます。
今後もよろしくお願いします!
~水族館を出る際~
「永遠、ちょっとトイレ・行きたい・・」
「わかった、待ってるから、慌てず行っておいで」
「・・・」
「・・・」
「・・・」
「流石に尾行はここまでにしてもらってもいいかな?」
「マジかよ、あんだけ2人だけの世界を作ってイチャイチャしてたくせに・・・」
「胸焼けが酷すぎるから、もう帰るわ、ごちそうさま」




