47.デート前の一悶着
俺は刹那の前に立ち、目の前に立つ男を睨みつける。
「刹那に手を出すな!」
目の前の男性は一瞬驚いた表情を浮かべたが、すぐに余裕な表情に戻る。顔は怖面で、体は服の上からでも筋肉質なのがわかるほどである。
「君は彼女のなんだい?」
と淡々と質問してくる。
刹那は俺の左腕をぎゅっと掴んでおり、体が震えているのが伝わってくる。
「俺の彼女だ!お前刹那にさっき何をしようとした!」
と叫ぶ俺。思いっきり睨みつけるのだが、
とはいえ、俺は内心焦っていた。思いっきり喧嘩をふっかけてようなものなのだが、相手を見たら一目でわかる。
勝てねぇ。威勢を張るが体というのは正直で足が震えていたがそれでもここを動くわけにはいかない。
相手は巨漢で筋肉質、そしてさっきから浮かべる表情は余裕のまま崩れない。おまけに威厳というか、風格というか強者のオーラがこちらにも伝わってきている。
どうする?今の俺では勝てない。かといってこの人混みの中を2人で逃げ切れる自信はない。一応能力を使えば身体能力を上げられるが、そのためには俺以外の誰か他の人が怪我をしなければならない。
だが、そんなことで他人が怪我をするのはあってはならないことだし、刹那ならなおさらだ。
とするならば・・・・これしかないか・・
俺は自己回復し続けて相手の攻撃を食らい続ける。やつから刹那を守り続け、周囲の異変を察知した人が警察に電話して到着するまで、俺が耐え続ければいい。
その考えに一瞬だけ悲痛に泣き叫ぶ刹那の顔が浮かんで、胸がチクりとしたが、すぐに振り払う。
覚悟は決まった。
俺は無言でやつを睨みつけた。
目の前の男は「はぁー」と溜息をついて手をのばしてくる。
そんな光景に体が固まって動けなくなってしまう。
ははっ、覚悟を決めたのに恐怖で動けなくなってしまったようだ。ほんとに情けない。
とはいえ、この立ち位置なら刹那に殴りかかることはないだろう。
だんだんと近づいてくる手が目の前に迫ってきており、俺は思わず目をつむる。
そして歯を食いしばった・・・・
ところが、俺はいつまでたっても殴られることはなく、なぜか俺の頭にゴツゴツとした大きな手が乗せられているのがわかった。不思議に思い目を開けると、目の前の男性が無表情で俺の頭をポンポンしていた。
「へっ?」
と思わず不抜けた声を上げる。刹那も驚いているのか目を丸くしている。
そんな俺達が面白かったのか、男性は吹き出して笑い出した。
「ハハハハっ!いやぁ、怖がらせてすまない。一応私はこういう者だ」
とそういって胸ポケットから取り出して俺達に見せてくる。
警察手帳だった。
「「すみませんでした!」」
と男性に刹那と2人で頭を下げる。さっきの場所から少し離れてベンチに男性は腰を下ろしている。
「いや、そんな謝らなくてもいいよ。今日は休暇でね少し用事があって駅に向かっているところだったんだ。そしたら、君とぶつかってしまってね。君たちを怖がらせてしまった、こちらこそ本当に申し訳ない」
と深々と頭を下げる。
「顔を上げてください!俺達が早とちりしたのが悪いんですし、俺なんか暴言を吐いて・・・」
「そうですよ!そもそも私がぶつかってしまったし、私も話し掛けられたのにずっと俯いていたから・・・」
と頭を下げられたので慌てて顔を上げてもらうように促した。
「ハハハっ!私も少し君、えっと・・」
「冬海 永遠です。」
「永遠君か・・・それで永遠君を少し試すような真似をしてすまない」
はい?
「試すって?」
と刹那が俺の代わりに尋ねる。
「永遠君が彼女をちゃんと守る意思があるかどうか確かめさせてもらったんだ」
と申し訳なさそうに答える男性。
「だけど、そんな試す必要はなかったようだ。永遠君の目を見たらすぐにわかった。大切な彼女を自分を懸けてでも守るという強い意思がはっきりと表れていた。永遠君がどれほど彼女さんを大切に想っているのかがよくわかったよ」
と指摘されて少し背中がむずがゆい。
隣を見ると、顔を真っ赤にして体をもじもじさせている。
「いやー若いっていいね~」
そんな俺達を見て男性は高らかに笑う。そして意を決したかのような顔立ちに戻り、
「君たちは少し時間はあるかい?そこの近くのカフェでお詫びに少しご馳走してあげるよ」
と提案されたのだが、
「いえいえ、流石にそこまでは・・」
と断りを入れようとしたのだが、
「いや、少しだけ聞いて欲しい話があってね。特に永遠君に」
「俺ですか?」
うんと首肯する男性。なんか雰囲気が一気に変わった気がする。
刹那と少し話して、話を聞くことにした。
「わかりました。話を聞かせてください」
「ありがとう。それじゃ、行こうか」
と俺達はカフェに向かうのであった。
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最初はナンパ野郎にしようと思ったけど普通にいい人にしました。
結果デート回が先送りに・・・・
次回から2話は少し暗めの話になるかもです。
ですがその後ちゃんとデートしますので!




